奈良通がこっそり教える「大人の時間を過ごせる食の名店」4選

奈良へ何度も足を運んできた“奈良通”として知られる3人がおすすめの名店を紹介。民藝に囲まれていただく和食、路地裏の隠れ家的なバー、薬膳料理のランチ、フランス仕込みのビストロ料理に注目。

contents

馬の目

上村瑠奈 さん おすすめ
PRプランナー 上村瑠奈さん
広報PR支援の会社「viola」取締役。奈良在住。親族の日本画家上村松園、松篁、淳之3代にわたる作品を展示した奈良市登美ヶ丘の「松伯美術館」もお気に入りスポット。

料理と器、空間が調和する
奈良公園内の荒池(あらいけ)のほとりに店を構えて54年。店名の由来である馬の目皿
は、瀬戸で江戸時代後期以降に生産され、渦巻き模様が馬の目に見えたことから名づけられたといわれていて、店内には創業者である先代が蒐集した馬の目皿がぎっしり飾られている。さらに、先代と親交のあった画家であり書家、陶芸家としても活躍した故・佐藤勝彦氏が手がけたダイナミックな絵画や襖、掛け軸、器も多用され、雅でゆるりとした世界観をつくり上げている。
「民藝に囲まれて、季節のていねいな和食をこだわりの器で楽しめます」(上村さん)。現在は、2代目の大和直樹さんが夫婦で切り盛りし、肩肘張らない和食をいただける。

26年から昼のみの営業に。 コースは¥4,000のみ。
26年から昼のみの営業に。 コースは¥4,000のみ。

’26年から昼のみの営業に。コースは¥4,000のみ。料理5品に季節のごはんと味噌汁、漬物、デザートがつく。この日の料理は、ササガレイの天ぷらと百合根とエンドウの寄せ揚げのほか、胡麻豆腐、そら豆の含め煮、鯛のお造り、金目鯛の酒蒸し

春日大社一之鳥居のそば

春日大社一之鳥居のそば

荒池を望む個室もあり

荒池を望む個室もあり

Data
奈良県奈良市高畑町1158 
☎0742・23・7784
11:30〜15:00
手休日:木曜
2日前までに要予約

Bar Savant(バー サヴァン)

菅野麻子 さん おすすめ
ファッションエディター 菅野麻子さん
主にモード誌、カタログなどで活躍。’22年、奈良の煎茶道美風流に入門し、T JAPAN webにて「菅野麻子の奈良の通い路 和稽古ことはじめ」を連載したことも。大の旅好き。

路地裏にひっそりたたずむ隠れ家
商店街からはずれた小道にたたずむ一軒家。看板はなく、おそるおそる扉を開け、薄暗い土間からさらにくぐり戸を抜け、やっと店内へたどりつく。
「通りすがりではなく、落ち着いて飲める場所を求めて来てくださるかたに向けた店にしたいので、看板は出していないんです」と、店主・田中達さん。カウンターに座ると、白いジャケットにボウタイ姿がキリリと決まった田中さん越しに酒棚を望め、間接照明も相まって、オーセンティックなバーそのもの。昼から夜の雰囲気で飲むことができる。
「マスターのプロフェッショナルなサービスに加え、旅先でもひとりで立ち寄りやすいのは、おおらかな奈良の魅力のひとつだと思います」(菅野さん)。

築120年の古民家を改装

築120年の古民家を改装

酒棚が隠し扉になった庭を望む VIPルームも

酒棚が隠し扉になった庭を望むVIPルームも

❸奈良のブラン ドいちご"古都華"とサクラのジ ンのカクテル¥1,760(左)。通常 はシェイクで作るサイドカーを ステアで作ることで、香りや味 の感じ方も濃厚に。サイドカー ¥1,760(右) 

奈良のブランドいちご“古都華”とサクラのジンのカクテル¥1,760(左)。通常はシェイクで作るサイドカーをステアで作ることで、香りや味の感じ方も濃厚に。サイドカー¥1,760(右) 

バックバーの7 割はウイスキー。希少な銘柄も

バックバーの7割はウイスキー。希少な銘柄も

Data
奈良県奈良市椿井町30の3
☎0742・23・8568
14:00〜22:00LO
定休日:火曜、第4水曜
チャージ¥1,000
https://bar-savant.com

薬膳料理 茉莉花(ジャスミン)

吉田麻子 さん おすすめ

料理研究家 吉田麻子さん
奈良・学園前育ち。大阪で日本料理の料理教室を主宰。和食を中心とした料理本の執筆や企業のレシピ監修、雑誌やテレビのメディア出演、イベント、食育など、多岐にわたり活躍。

旬菜と生薬で、心と体を慈しむ
店主・竹岡裕子さんの夫は、上海で生まれ、現地では外科医として働き、中医学に精通。店では、中医学に伝わる、食と薬は本来同じものであると考える「医食同源」と、心身と風土は切り離せないという「身土不二」をもとに、薬膳ランチを提供している。「季節に寄り添ってくれる食養生。体にいいだけでなく、おいしい」(吉田さん)。
内容は月替わりで、その時季にとりたい生薬や食材をふんだんに。春は中医学において肝に負担がかかりやすい季節であり、メインの地鶏と春野菜のスープには、発酵させた竹からとっただしをベースに、高麗人参や白きくらげ、クコの実、ナツメなど、肝臓の働きを助ける薬膳食材が取り入れられている。

入口の物販コーナーでは茶器 や茶葉の販売も

入口の物販コーナーでは茶器や茶葉の販売も

ランチの始 めに出される月替わりの薬膳茶 と小菓子。この日はアンチエイ ジングをテーマに、ローズヒッ プや陳皮、黒豆をブレンドした 薬膳ウーロン茶

ランチの始めに出される月替わりの薬膳茶と小菓子。この日はアンチエイジングをテーマに、ローズヒップや陳皮、黒豆をブレンドした薬膳ウーロン茶

春に摂取し たい生薬や食材

春に摂取したい生薬や食材

メイン料理 に薬膳小皿4品、ごはんがつい た薬膳ランチ¥3,000〜4,000

メイン料理に薬膳小皿4品、ごはんがついた薬膳ランチ¥3,000〜4,000

Data
奈良県奈良市興善院町16
☎なし
11:00〜13:00、13:00〜15:00の2部制(ショップ11:00〜15:00)
定休日:火・水・木曜
予約方法はインスタグラム(@jasmin.uji)のプロフィールを参照

LA PIE(ラピ)

吉田麻子 さん おすすめ

フランス仕込みのビストロ料理
オーナーシェフの久岡寛平さんは、16年間フランスのレストランで研鑽を積み、パリの「La Truffière」ではシェフとしてミシュランの星を獲得。帰国後は、「パークハイアット京都」の料理長を経て、’23年、地元・奈良で店を開いた。「奈良では、フランス料理=お祝いのときに行くという人がまだまだ多くて。日常的にビストロに行く文化を広めたい」と、店の業態はレストランではなく、ビストロに。「今まで奈良になかったこなれた感じ。雰囲気は気軽ですが、正統なフランス料理がいただけます」(吉田さん)。カンヌ近郊の二ツ星レストランで学んだブイヤベースをはじめ、上質で洗練されたビストロ料理が楽しめる。

昼夜ともにコースの前菜で選べ るパテアンクルート。夜のコース ¥6,000 〜

昼夜ともにコースの前菜で選べるパテアンクルート。夜のコース¥6,000 〜

久岡寛平さんとサ ービス担当の果恋さんご夫婦

久岡寛平さんとサービス担当の果恋さんご夫婦

ブイヤベース

“ごった煮”ではなく、鮮魚のポワレをオマール海老や魚介のうま味が凝縮したソースで仕立てたブイヤベース

2種類のアイスク リーム入りプロフィットロール・ チョコレートソース

2種類のアイスクリーム入りプロフィットロール・チョコレートソース

Data
奈良県奈良市鵲町15の3
☎0742・81・3170
12:00〜13:30LO、18:00〜20:00LO
定休日:木曜、不定休あり

撮影/伊藤 信 取材・原文/天野準子 ※エクラ2026年5月号掲載

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