50代女性がかかりやすい帯状疱疹の予防法とは?簡単にできる!帯状疱疹後神経痛に効果的なツボマッサージも必見【小田ユイコ×友和クリニック院長 宇土 博先生対談 #2】

50代になるとかかる人が増える帯状疱疹(たいじょうほうしん)。9割の大人が体内に抱えているという帯状疱疹のウイルスが活発化しないようにするには? また帯状疱疹の治療が遅れるなどして症状を長引かせた結果、帯状疱疹後神経痛に悩んでいる方の治療法は? 長年産業医として活躍し、数多くの帯状疱疹患者の診療に当たってきた宇土 博先生にお話をうかがいました。
宇土 博先生

宇土 博先生

友和クリニック院長。医学博士。広島大学医学部大学院卒。広島文教女子大学教授、広島大学医学部臨床教授、産業医科大学、米国カンザス州立大学講師、日新製鋼産業医、日本産業衛生学会指導医。1979年、広島市内に職業病の診療所、友和クリニックを開設し、デスクワークで起こる頸肩腕障害や腰痛の予防・治療に当たるかたわら、新経絡治療による帯状疱疹後神経痛、発達障害、認知症、職業性うつ病などの治療に携わる。ウド・エルゴ研究所所長。腱鞘炎予防のボールペン、Dr.Gripの開発者でもある。
小田ユイコ

小田ユイコ

美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』『BAILA』などの女性誌や、WEBメディアで美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。
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赤みを帯びた帯状の発疹とともに、神経痛をともなう帯状疱疹。放っておくと痛みが慢性化し帯状疱疹後神経痛になることも。

どんなに忙しくても「頑張りの限界は3ヵ月まで」と肝に命じる

小田#1で、帯状疱疹は免疫力の低下で起こる病気だと教えていただきました。予防するためにはどうしたらいいのでしょうか。

宇土先生:免疫力を上げる方法は食事の改善や適度な運動、メンタルケアなどさまざまありますが、いちばん重要なのは「疲れをためない」こと。個人差がありますが、人間が耐えられる疲れには限界があります。普通の50代は、通常1ヵ月、長くて3ヵ月。それを超えて疲れるような生活が続くと、免疫力が大幅に低下します。帯状疱疹だけでなく、ほかの病気にかかるリスクも上がります。

小田:あー、わかるような気がします。私自身、忙しい状況が3ヵ月近くつづくと「もう限界」って体が悲鳴を上げるように。そういうときが長年、神経節にジッと潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが「今だ!」と腰を上げるのですね。

宇土先生:そう。私は長年産業医をやっていますが、3ヵ月を超えて免疫力を落とさず頑張り続けられる人はいない。スーパーマンみたいな人でも6ヵ月が限度です。人生は波乱万丈ですから、睡眠時間を削ってでも頑張らなければならないときもある。でも疲れたなと思ったら、素直に休む、楽をすることが大事なのです。

小田:心配事があったり、使命感にかられていたりすると、自分が疲れているのを忘れてしまうことってありますよね。

宇土先生:血圧が高くて交感神経優位、つまり興奮状態だと疲れに鈍感になります。「もうそろそろ休んで欲しい」という体からのメッセージが抑え込まれてしまうんです。ふだん血圧が130の人が170以上になっていたら要注意。それと、「長くて3ヵ月」の目安を覚えておく。自分では疲れているつもりはなくても、頑張り続ける状況が3ヵ月続いたら、そろそろ危ないなという危機感を持つこと。

小田:疲れをあまり感じていない自分に危機感を持ったほうがいいということですね。

宇土先生:家族や友人の「ちょっと無理しすぎなんじゃない?」の声に、耳を傾けることも大事。自分では見えなくなっていることも、周囲の人は客観的に見ていますからね。

22時には寝て、効率よく疲れを回復させる

宇土先生:あとね、忙しいときほど、ときどき目を閉じてみるといいですよ。目をカッと見開いていると、体の声が聞こえないんです。心静かに座って、目を閉じてごらんなさい。首や肩がだいぶ凝っているな、今日は早めに寝ようかな、と気づくものです。

小田:本当だ! ただ目を閉じただけなのに、自分の体に集中できる。

宇土先生:そう感じたらしめたもの。22時には床に就くようにしましょう。23時から午前1時は、24時間のうちで成長ホルモンがもっとも出る再生の時間。疲れを効率よく解消するのに、睡眠を利用しない手はありません。

小田:俗に「美肌のゴールデンタイム」と言われる時間帯ですね。

宇土先生:美肌にもいいし、免疫力アップにもいい。その日の疲れを翌朝までもちこさないですみます。そうして疲れをコントロールすることこそが、これからの人生を健康に渡っていく力になるのです。

小田:帯状疱疹予防ワクチンは接種しておいたほうがいいのでしょうか。

宇土先生:50代以上のかたは接種されたほうがいいと思います。ただし、日本人は世界でもワクチン接種が過多な傾向にあることは知っておいてほしいですね。ワクチン接種を重ねると自然免疫のキャパシティがなくなってしまう。ワクチン接種を受けていないほかの病気、たとえばがんなどに対抗する免疫力が低くなってしまう可能性があります。帯状疱疹にならないためにまず実行すべきは、「疲れのコントロール」だということを忘れないでくださいね。

帯状疱疹後神経痛には経絡治療で「気」を巡らせるのが有効

小田:帯状疱疹が消えたあとも痛みだけ続く、帯状疱疹後神経痛になってしまったら、どのような治療がありますか?

宇土先生:帯状疱疹後神経痛は難治性の神経痛で、#1でもお話したとおり西洋医学では有効な治療法がありません。そこで、私のクリニックでは東洋医学の経絡治療を取り入れ、押し棒でツボを刺激したり、鍼治療を行っています。

小田:経絡って「気」の通り道と言われますが、いまひとつピンとこなくて……。

宇土先生:小田さん、「気」の正体は「電気」です。生物電気といいますが、人間は食べ物のブドウ糖を燃やして電気を発電しているんです。

小田:え~っ!!「気」って電気の「気」だったんですか?

宇土先生:はい。人間はおよそ100Wの電気を発電して、0.4Vくらいの微弱電流が常に体を巡っている。それが体中の細胞を活性化させているんです。経絡は、いわば電気の回路。どこかで滞れば、その部分が不調に陥ります。帯状疱疹後神経痛が起こっている部分では「気」が滞っているんです。

小田:スゴイ! 私たちって、電気仕掛けだったんですね。しかも自家発電。でも、ツボ押しや鍼でどうして「気」が巡るようになるのですか?

宇土先生:ツボや鍼から施術している人の「気」、つまり電気が送り込まれ、よどみを流してくれるのです。よく電気治療って行いますよね。あれと同じです。自分でツボを押した場合も、押した指から自分の「気」が入ります。これは決して「気のせい」ではなく、れっきとした「電気」の働きなんです。

小田:「気」がめぐると、なぜ帯状疱疹後神経痛がなくなるのですか?

宇土先生:自然治癒力が上がり、ウイルスが食べてしまった神経の「さや」を再生していきます。すると、むき出しだった神経にカバーがかかり、痛みが引いていくのです。

小田:中国4000年の歴史、恐るべし! 経絡を発見した人は、人間が電気で動いているってわかっていたんですかね。

顔まわりの「気」の巡りをよくするツボ

顔に帯状疱疹後神経痛が起こっている人に有効なツボ。肌のエイジングケアにも。押し棒を使えばよりしっかりとエネルギーが入る。電気エネルギーは指先などの先端から出やすく、押し棒などを持ってより細いところから出るようにするとエネルギーが増す。
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    手のひらから4cm下の手首の中央を、反対の手の親指で15秒押す。反対の手首も同様に。

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    手のひらの中央を、反対の手の親指で15秒押す。反対の手のひらも同様に。

緊張を解き、リラックスするツボ

帯状疱疹の予防にもなり、帯状疱疹後神経痛にも効果的なツボ。交感神経を鎮め、リラックス状態に。安眠のツボでもあるので、寝る前に押すのもおすすめ。押し棒を使えばよりしっかりとエネルギーが入る。
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    人さし指の爪の根元の親指側の角がツボの場所。

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    反対の手の親指で、ツボを30回揉む。反対の人さし指も同様に。

本格的な経絡治療には専門の知識と経験が必要。宇土先生はご自身のクリニックで患者の症状に応じた経絡治療を行っています。またZOOMなどオンラインでセルフケアの指導も行っているので、興味のあるかたはウド・エルゴ研究所の問い合わせフォームから連絡を。

今回、50代がかかりやすい帯状疱疹への理解を深められたと同時に、これから年齢を重ねていく上で免疫力がいかに大事かを思い知った小田。宇土先生が教えて下さった「疲れのコントロールが人生を渡る力」を胸に、これからは自分の体が発しているSOSに耳を傾けようと。そして、定期的に心身を休めるサイクルを作り、できるだけ守っていこうと決めました。

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