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【夏の文芸エクラ大賞】世の中の動きと、本の最前線。宗教2世問題や少子化対策に切り込む
第6回目を迎えた文芸エクラ大賞で、この1年の売れた本&話題の本を総ざらい! 本誌エクラで本について執筆している文芸評論家とライター、本の現場を知る書店員が選考に参加。話題の本を、文芸評論家・斎藤美奈子さんが解説。
【夏の文芸エクラ大賞】今、アラフィ世代に読んでほしい!世の中の動きを表す本7選
文芸評論家・斎藤美奈子
出ればすぐ話題に! 70代になった人気作家、“W村上”の現在地
『ユーチューバー』
村上 龍 幻冬舎 ¥1,760
『街とその不確かな壁』
村上春樹 新潮社 ¥2,970
4月に刊行された村上春樹さんの6年ぶりの長編は、書店に特設コーナーが作られたりニュースで取り上げられたりと、盛り上がりを見せた。
「春樹ファンにとってここに出てきた“壁”や“穴”などの言葉はおなじみのもの。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を思い出したかたも多かったのでは。新鮮味には欠けましたが、売れ行きは好調でしたね」
一方村上龍さんの新作は70代の人気作家がYouTubeで女性遍歴を語るという内容。
「私小説的な作品で、主人公の経験はばかばかしいけれど現実のなまなましさが。龍さんは小説にYouTubeのような“現実にある新しいもの”を取り入れてきただけにその世界は開かれている印象。一方、春樹さんの世界は閉ざされている印象。対照的なおふたりですが、ずっとトップにいるのは力がある証拠ですね」
会話べたになったから!? “聞き方本”が増えている!
『人は聞き方が9割』
永松茂久 すばる舎 ¥1,540
『聞く技術 聞いてもらう技術』
東畑開人 ちくま新書 ¥946
『LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる』
ケイト・マーフィ 篠田真貴子/監訳 松丸さとみ/訳 日経BP ¥2,420
話し方や聞き方といったコミュニケーション論の本は定番の売れ筋だが、斎藤さんによると「最近はさまざまなタイプの“聞き方本”が出てきました」とのこと。
「『人は聞き方が9割』には“強弱をつけてうなずく”“一緒に笑う”など相手を気持ちよくするノウハウが。これが’21年から売れ続けているのは、会話に神経質なわりに基礎技術がないと感じている人たちが多い証拠かも。
『聞く技術 聞いてもらう技術』は“本当に困ったときどうやったら他人にSOSを受け止めてもらえるか”にまで言及。
『LISTEN』で語られているのは“孤独になりがちな今、人は会話でどう救われていくか”という本質的な問題です。
こういった本がヒットしているのは、メールやLINEなど書き言葉でのやりとりが増えて、聞いたりしゃべったりする機会が減ったから。そこへコロナ禍が加わって、会話に自信をもてない人が増えたからかもしれませんね」
ノーベル文学賞にも「#MeToo」の波が。82歳の女性作家、“アニー・エルノー”に注目
『嫉妬/事件』
アニー・エルノー 堀 茂樹、菊地よしみ/訳 ハヤカワepi文庫 ¥1,188
『シンプルな情熱』
アニー・エルノー 堀 茂樹/訳 ハヤカワepi文庫 ¥880
’22年のノーベル文学賞を受賞したのがフランスの女性作家アニー・エルノー。オートフィクション(私小説)の書き手として知られているが、「日本の私小説と違うのは個人的なことが社会問題につながっている点です」と斎藤さん。
「『事件』に描かれているのは20代のころの壮絶な中絶体験。当時のフランスでは中絶が合法化されておらず、多くの女性が大変な思いをした。だから彼女の受賞には意義がありますが、加えて別の意義も。
実は’18年にスウェーデン・アカデミーにかかわっていた男性のセクハラが発覚。#MeToo運動の流れもあり恣意的だった文学賞選考に改革が行われ、選考委員の顔ぶれや受賞作家がより注目されるようになりました。結果的に選考委員に女性が増え、マイノリティの受賞者が増える傾向に。エルノーの受賞は時代を象徴しているという意義もあるんです」
文芸評論家 斎藤美奈子
本の執筆だけでなく、新聞や雑誌などにも切れ味鋭い文芸評を寄せ、幅広く支持されている。
書評ライター 山本圭子
出版社勤務を経てライターに。女性誌ほかで、新刊書評や著者インタビュー、対談などを手がける。
書評ライター 細貝さやか
本誌書評欄をはじめ、文芸誌の著者インタビューなどを執筆。海外文学やノンフィクションに精通。
書評担当編集 K野
女性誌で書評欄&著者インタビュー担当歴20年以上。女性誌ならではの本の企画を常に思案中。
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