50代、「足」と「脚」の違和感の正体は? 一生自分の“アシ”で歩くための対策

未経験の痛みやしびれが出たり、つったり、つまずいたり。50歳前後になると続出する「足」と「脚」のトラブル。そこでアラフィーに多い症状や不調の正体と対策を徹底リサーチ。一生自分の“アシ”で歩くために、チェックしてみて!

“アシ”からのこんなSOS感じていませんか?

足と脚の悩みに関する読者アンケートで多くあがってきたのがこんなトラブル。思い当たるところ、多すぎる⁉

【SOS】何もないところでつまずく!

【SOS】何もないところでつまずく!

「普通に歩いているつもりなのに足が上がっていないのか、すぐつまずく」(56歳・会社員)、「職場のフラットな絨毯の床で足をとられることが増えた」(53歳・派遣社員)。

【SOS】就寝中のこむら返りで睡眠不足!

【SOS】就寝中のこむら返りで睡眠不足!

「就寝中、3日に一度はふくらはぎと足指が同時につって、治まるのに時間がかかり、そのあと眠れず困る」(46歳・フリーランス)、「体が冷えるとテキメンにこむら返りを起こすようになった」(51歳・会社員)。

【SOS】何もしていないのに、足がビリビリ!

【SOS】何もしていないのに、足がビリビリ!

「デスクワーク中に足先がしびれることが増え、脳疾患ではないかと心配に」(49歳・会社員)、「朝起き抜けに足がしびれていて、立ち上がろうとしたら転倒」(51歳・派遣社員)。

【SOS】足の裏に謎の違和感!

【SOS】足の裏に謎の違和感!

「体調がイマイチなときなどに、平らな道を歩いているのに砂利道を歩いているみたいな足裏の感覚異常があります。何かの病気なのかと不安……」(52歳・公務員)。

【SOS】階段の上り下りが怖い!

【SOS】階段の上り下りが怖い!

「年齢と運動不足で筋力が落ちたのか、階段を下りるとき脚がガクガクして怖い」(52歳・会社員)、「最近、脚が重くてうまく上がらず階段を上るのがつらい」(48歳・会社員)。

【SOS】どんな靴も痛くて履けない!

【SOS】どんな靴も痛くて履けない!

「足が常にむくんでいるせいか、夕方はどんな靴を履いていても痛い」(51歳・派遣社員)、「外反母趾がどんどんひどくなっていてハイヒールなんて絶対無理」(49歳・会社員)。

【SOS】膝が痛い! 股関節が痛い!

股関節が痛い

「変形性股関節症と診断されてから、痛い膝をかばうせいで腰痛まで併発」(49歳・アルバイト)、「運動不足解消のためにウォーキングしたら、翌朝、膝が痛くて歩けなくなった」(57歳・会社員)。

50歳は「足」と「脚」の曲がり角!

50歳前後になると“アシ”の不調が増えるのはなぜ? その理由を形成外科専門医の菊池守先生が解説。自分の「アシ寿命」の危険度もチェックしてみて。

\私が教えます!/

菊池 守先生

菊池 守先生

日本初の“足病医療の総合病院”「下北沢病院」院長。日本ではまだなじみの薄い足病医療の普及に尽力。日本形成外科学会認定・形成外科専門医。下北沢病院医師団の著書に『“歩く力”を落とさない! 新しい「足」のトリセツ』(日経BP)がある。

足&脚の軟骨や靭帯の変化が現れる50歳前後は、不調の現れ時!

「年齢を重ねると、体のほかの部分と同様に“アシ”も老化していきますが、“アシ”は特に早く老化する傾向が。なぜなら常に全身の体重を支え、歩くたびに体重の約2〜3倍の負荷がかかり酷使されているからです。この日々の酷使と加齢によって軟骨がすり減り、靭帯はゆるんでいきます。これが顕著に現れてくるのが50歳前後です。足には全身の体重を支え、着地時の衝撃を緩和するために土踏まずの部分を中心にゆるやかなカーブを描くアーチがありますが、その靭帯がゆるむとアーチがくずれて扁平足になり、力のかかり方に偏りが生じるため、足の痛みやしびれなどが起きたり、外反母趾や足底腱膜炎などの病気の原因にもなります。また、膝の靭帯がゆるむと軟骨に負担がかかりすり減りを招くため、脚の痛みや変形などの原因に。こうして50歳前後ごろから“アシ”のトラブルが増えるのです」(菊池先生・以下同)。

あなたは大丈夫?「アシ寿命」チェックリスト

以下の項目で自分に当てはまると思うものにチェックをつけてみて。チェックがついた数で、あなたのアシ寿命がわかる!

□歩くとすぐに足がだるくなる
□足に冷えがある
□膝に痛みがある
□靴のかかとの内側がすり減っている
□巻き爪になっている、爪が変形している
□足がむくみやすい
□外反母趾がある
□長く歩くと指の関節がこすれて痛い
□足指にしびれを感じる
□よく転ぶ、つまずく
□足指でグー、パーができない
□足をそろえてしゃがむと、かかとが浮いたり転んだりする
□土踏まずがなく、足全体が地面につく
□人さし指のつけ根や親指の裏にたこがある
□床やフローリングを裸足で歩くと痛い
□足や脚がよくつる

チェックの数が0〜3の人は…

0個なら問題なし。1〜3個当てはまった人は“アシ”の衰えの自覚症状が徐々に出はじめているので油断は禁物。セルフケアを実践して現在の“アシ”状態をキープして。

4〜6の人は…

当てはまった項目が4〜6個の人のアシ寿命はそろそろ黄信号。少しずつ弱りはじめている兆候が。セルフケアを取り入れつつ、自分の“アシ”の変化をきちんと観察し、向き合って。

7以上の人は…

7個以上当てはまった人は、すぐ足のケアに取り組む必要が。特に10個以上当てはまった人は将来、歩行が困難になるおそれも。セルフケアだけでなく、病院での治療改善を。

足を守るために知っておきたい症状と対策

50歳前後になると増える“アシ”の病気や不調の症状から原因、対策までをご紹介。まずは足首から先の「足」のトラブルをピックアップ。

親指が外に曲がり、つけ根が突出【外反母趾(がいはんぼし)】

こんな症状

外反母趾

外反母趾とは足の親指が人さし指側に“くの字”のように曲がってしまう状態のこと。「親指の第1基節骨と第1中足骨で形成される“外反母趾角”が20度以上あると外反母趾とみなします。最初は変形した関節自体が痛み、進行すると出っぱった部分が靴に当たって痛みが出ます」(菊池先生・以下同)。

外反母趾角が20〜30度なら軽度、30〜40度は中等度、40度以上は重度。歩行時に親指が使われにくくなり、機能が落ちやすい。

原因

先の細い靴など幅の狭い靴を履くことで、親指のつけ根から先が圧迫されて変形することが大きな原因。また、足のアーチがくずれて扁平足になると横幅が広がるため、靴で圧迫されて外反母趾になりやすい。遺伝することもあり、生まれつき扁平足ぎみの人はなりやすい傾向がある。

対策

「関節が痛む場合、整形外科で足のアーチを整えるインソールを作るのがおすすめ。足への負担が減り、痛みが緩和されます。痛みがひどい場合は鎮痛剤を処方することも。そのほか、親指から小指のつけ根に包帯を巻いて変形を抑えたり、痛みが改善しない場合は手術をすることも。左のような足指のストレッチは進行を防げるので習慣に」

予防・緩和するには…

手で足指をできるだけ広げる

外反母趾

まず、手の指でできるだけ足指を広げる。左右の足のすべての指と指の間をしっかり伸ばして。

手を使わず足指の力で指の間を開く

手を使わず足指の力で指の間を開く

次に、手で補助をせず、自分の足指の力だけですべての指と指の間をできるだけ開く。

タオルを手繰り寄せるタオルギャザー

タオルを手繰り寄せるタオルギャザー

椅子の前にタオルを置き、浅めに腰かけ、5本の足指でタオルを手繰(たぐ)り寄せる。指のつけ根から曲げてタオルをつかみ、パッと離すを繰り返して手繰り寄せて。左右の足で各5〜10回。

足のアーチを支える足底腱膜の炎症【足底腱膜炎(そくていけんまくえん)】

こんな症状

足底腱膜

足裏にあり、アーチを支える役割がある足底腱膜が炎症を起こすのが足底腱膜炎。「アーチが沈み込んで足底腱膜が伸びるときに引っぱられて痛みを感じる場合と、かかとをつくときに痛い場合があります。起床時に一歩踏み出すときなどにも痛みが生じがちです」。(菊池先生・以下同)。

足裏のつま先からかかとに扇状に走るのが足底腱膜。この足底腱膜が硬くなり、炎症が起きるのが足底腱膜炎。

原因

足底腱膜が加齢によって硬くなることで起きやすい。陸上競技などのスポーツや、長時間歩き続けること、立ち続けることなど足底腱膜に負担をかけるようなことも原因。また、扁平足や外反母趾など足に変形があると足底腱膜に負担がかかり足底腱膜炎になることもある。

対策

「整形外科ではインソールや、運動指導などで治療をします。運動としては、“壁ドンふくらはぎ伸ばし”や、左の図のような足裏のマッサージなど足底腱膜を伸ばす方法が効果的。これらで改善することが多いですが、3〜4カ月痛みが続く場合はステロイド注射を行う場合も。炎症が強い場合は湿布を処方することもあります」

予防・緩和するには…

足底腱膜のマッサージ

足底腱膜のマッサージ

床に座って両手で片方の足先をつかみ、ゆっくり足裏を反らす。次に足裏をつかんで手のひらでもみほぐす。これを片足1分ずつ。足底腱膜炎や、扁平足の予防・改善にも効果的。

足底への負担を軽減するスニーカーも◎

足底への負担を軽減するスニーカーも◎

指が地面をキャッチするのを助けるフィンガーインソールや、足底にかかる負担を軽減するアーチサポートを搭載したスニーカー。TELIC ソフトベル ¥13,800/フェローズ

爪が巻いたり、端が食い込む【爪の変形】

こんな症状

爪が内側に巻いて皮膚に食い込むようになるのが巻き爪。「親指に発症することが多いですが、ほかの指でも起きます。痛みがある場合とない場合があります。また、爪が巻いていないけれど端が皮膚に食い込んで炎症が起きている状態が陥入爪です」。(菊池先生・以下同)。

陥入爪

陥入爪

爪が巻いていないが皮膚に食い込んで痛い状態。外反母趾だと親指がねじれてきて爪が刺さって腫れ、痛みが強くなる場合も。

巻き爪

巻き爪

爪が内側に巻いて皮膚に食い込んだ状態が巻き爪。足指に強い痛みを起こすことがあるが、痛みがない場合も多い。

原因

巻き爪と陥入爪の大きな原因は靴による圧迫。次いで多い原因が足指を使わないこと。親指でしっかり地面を踏み締め、足指に正しく体重がかかっていれば爪が地面から押されるので丸まらない。でも足指が正しく使われていないと爪に均一に力がかからず爪は巻いていってしまう。

対策

「爪の食い込みをテーピングで広げたり、市販の爪を持ち上げるグッズで爪と皮膚の間に糸をはさんで食い込みを抑える方法などでケア可能。医療機関では爪をワイヤーで矯正したり、重症なら手術をすることも。インソールやエクササイズで足指が正しく使われるようにすることも大切」

予防・緩和するには…

爪

巻き爪や陥入爪予防には爪の切り方も重要。爪は先端から指の肉が見えない程度に切るのが基本。爪にある程度の長さがあれば足指に体重がかかっても爪が肉に刺さることがない。

爪

爪を短く切りすぎると、歩いたときなどに足指に体重がかかるたびに下からせり出す肉に爪が刺さり、ひどい場合は炎症を起こす。

踏み込める足にする足指エクササイズ

踏み込める足にする足指エクササイズ

手で片足の5本の指をつけ根からつかんで、足で拳を作るイメージで足指をギュッと曲げたら、足指をパッと広げる。左右とも行う。

足の角質が肥厚したり、芯ができたりする【たこ・魚の目】

こんな症状

たこは角質が肥厚して外側に膨らんだもの。「たこはカチカチに硬くなって大きくなることもありますが、痛みはないことが多いです。一方、魚の目は角質の肥厚が内側に食い込み、芯ができます。痛みが出ることが多いです」。(菊池先生・以下同)。

たこ

たこ

足の使い方のクセで、ずれる動きを伴う圧力が繰り返しかかると、角質が外側に膨らみ硬くなってたこになる。

魚の目

魚の目

繰り返し1点に圧力がかかることによって角質が皮膚の内側に向かって硬くなり、三角錐状の芯ができるのが魚の目。歩くときに痛みを伴うことも多い。

原因

合わない靴を履くことや足の変形により同じ場所に慢性的に刺激が加わることが原因。ずれる動きが繰り返しかかって角質が外側に膨らむのがたこ。1点に集中した力がかかり角質が内側へと硬くなり芯ができるのが魚の目。加齢により皮膚の水分や脂肪が減るとよけいにできやすい。

対策

「たこや魚の目はフットケアサロンなどで角質ケアをすることで改善可能です。市販のヤスリや角質を柔らかくするクリームなどで自分でケアをするのもよいと思います。医療機関でインソールを作って正しく立てるようにし、同じ場所に圧がかからないようにするのもおすすめ」

予防・緩和するには…

たこ・魚の目

たこなど分厚い角質をピンポイントに削り落とせる。コーンカッター¥660/グリーンベル

たこ魚の目

指の上にできたたこや魚の目を靴の圧迫痛や摩擦から守るパッド。うおの目保護パッド 指の上用 9個入¥346/ドクター・ショール

指先や足の前半分にしびれがある【しびれ・違和感】

こんな症状

「50歳前後の人に多いのは、指先がしびれるという症状や、両足の前半分がしびれるという症状です。足の動きには問題がないけれどしびれがあるというケースが多く、レントゲン検査などの画像上では異常が見られないことが多いです。これは良性の加齢性のしびれの可能性も」

原因

50歳ごろからゆっくりすすみ、運動障害がないしびれは加齢が原因の良性のしびれの可能性も。急激にしびれがすすみ、運動障害があるなら腰部脊柱管狭窄症や糖尿病などの病気の疑いがあるので病院へ。

対策

「加齢による良性のしびれは病気ではないので治療は不要。気になるなら神経に働きかける薬で症状を抑えることも可能。足底腱膜炎(そくていけんまくえん)の足のエクササイズを取り入れるのもおすすめです。病気が原因のしびれは、その治療が必要です」

足指のつけ根が腫れ、痛みも出る【足指のつけ根の痛み】

足指のつけ根が腫れ、痛みが出る場合、関節リウマチの可能性が。「初期症状は朝の手のこわばりで、足に痛みが起きることも。両手足の同じ部位に症状が出ます。1〜2週間、足首や足の甲、足の指などに痛みが続いたら要注意。悪化すると関節が変形したり、動きが悪くなったりします」。

こんな症状

原因は免疫機能の異常。関節は滑膜という薄い膜で包まれ、中は滑液で満たされている。この滑膜が炎症を起こし、増殖して滑液が増えると関節が腫れて痛みやこわばりが発生。

対策

対策

「関節リウマチは発症して2年以内に関節の破壊が急速にすすみ、一度破壊された軟骨・骨・関節はもとに戻せないので早期診断・治療が重要。抗リウマチ薬などの薬物療法や、関節機能を保つためのリハビリ、手術などの治療法があります」

脚を守るために知っておきたい症状と対策

50歳前後に多い、股関節から足首までの「脚」のトラブル症状・原因・対策をご紹介。当てはまる症状があったら早めに対策を。

静脈の血液がうっ滞してコブ状に【下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)】

こんな症状

脚の血液が一部にたまって、コブのようになるのが下肢静脈瘤。「ほとんどの場合、ふくらはぎに起きます。軽度なら脚にもやもやした血管が見える状態になり、重度になるとコブのように膨らみます。足に血液がたまると起こるので午後から夕方に症状が強くなるのが特徴」。

正常な血管

正常な血管

下肢静脈瘤の血管

下肢静脈瘤の血管

脚の静脈にある弁は血液が足のほうに逆流するのを防いでいる。この弁が壊れると血液が静脈内にたまり、静脈の壁が拡張されて太くなって曲がりくねったり、コブ状になるのが下肢静脈瘤。

原因

脚の静脈にある弁が壊れることで、血液が逆流して静脈内に停滞。この状態が続くと静脈の壁が引き延ばされて太くなり血管が曲がりくねってしまい、重症化するとコブ状に。これが下肢静脈瘤。長時間の立ち仕事、座り仕事などでなりやすい。遺伝や加齢も関係。

対策

「医療機関での治療は医療用弾性ストッキングを用いてうっ血を改善する方法が代表的。そのほか、血管を固める硬化療法や、血管にカテーテルを入れて内側から血管を焼いてふさぐ血管内焼却法、弁が壊れた静脈をワイヤーで抜去するストリッピング術などがあります。症状を感じたら、まずは医療機関に相談を」

予防・緩和するには…

静脈のうっ血を防ぐ脚ぶらぶら体操

静脈のうっ血を防ぐ脚ぶらぶら体操

下肢静脈瘤を防ぐには、適度な運動をしてふくらはぎの筋力を高めたり、脚を上にして静脈内の血液をうっ血させないことがポイント。あおむけになり、両脚をぶらぶらさせる運動は特におすすめ。

医療用弾性ストッキングで静脈の血流を促進

医療用弾性ストッキングで静脈の血流を促進

医療用弾性ストッキングは市販の弾性ストッキングより締めつけが強く、足首からふくらはぎにかけて圧が弱くなっていて静脈の血流を促す効果が。下肢静脈瘤の治療を行う医療機関などで購入可。

膝の軟骨がすり減り、関節が変形【変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)】

こんな症状

膝の軟骨がすり減ることで、膝に痛みが出るのが変形性膝関節症。「初期には立ち上がったときや歩きはじめなどに痛み、休めば痛みがとれます。進行すると階段の上り下りや正座が困難になり、さらにすすむと、安静時にも痛みがとれず、膝がピンと伸びなくなり歩行が困難に」。

正常な膝関節

正常な膝関節

変形性膝関節症の関節

変形性膝関節症の関節

膝関節の骨が接する部分には軟骨(関節軟骨や半月板)が存在。この軟骨が加齢や肥満、使いすぎなどによってすり減り、変形や炎症が起きて痛みが発生。

原因

加齢や使いすぎなどによって膝の関節の軟骨が弾力性を失ってすり減り、関節が変形。肥満も原因のひとつで、膝に負担がかかるのでなりやすい。遺伝の影響もあるほか、骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することも。

対策

「下の図のような膝のエクササイズを行うと改善しやすくなります。また、医療機関では、膝にサポーターを当てたり、痛み止めの内服薬や外用薬を用いたり、膝関節内にヒアルロン酸の注射をするなどの治療をします。治らない場合は、膝の人工関節置換法や、膝の骨を矯正する膝周囲骨切り術のような手術も検討します」

予防・緩和するには…

膝裏でクッションやタオルを押す

膝裏でクッションやタオルを押す

床に座って片脚の膝の下にクッションや丸めたタオルを置き、膝を伸ばして膝裏でギューッと押す。これを繰り返す。左右とも行う。

股関節の軟骨がすり減り、痛みが発生【変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)】

こんな症状

変形性股関節症の主な症状は関節の痛みと機能障害。「最初は立ち上がりや歩きはじめに脚のつけ根に痛みを感じますが、進行すると痛みが強くなり、常に痛むようになったり、夜寝ている間にも痛むようになります。長時間立ったり歩いたりすることがつらくなることも」。

正常な股関節

正常な股関節

変形性股関節症の股関節

変形性股関節症の股関節

正常な股関節は軟骨によってすき間が保たれているが、軟骨がすり減ると、骨が壊れたり、棘のように増殖する(骨棘)ため動きが制限されたり、痛みが生じる。

原因

股関節の形成不全など、子供のころの病気や発育障害の後遺症が主な原因で、股関節症全体の80%といわれている。また、加齢によって軟骨がすり減り、股関節のスムーズな動作が障害を受けて変形性股関節症になることも。

対策

「痛みを緩和するために消炎鎮痛剤を用いたり、運動療法を中心とした保存療法を行う。筋肉バランスや姿勢の改善、適正な体重の維持など生活指導を行うこともあります。体のバランスを整えて股関節への負担を減らすためインソールを作るのも効果的。病状が進行している場合は手術を行うことも」

睡眠中や疲労時などに脚がつる【こむら返り】

こんな症状

寝ているときや、疲れた日、運動をしたあと、体が冷えたときなどに脚がつるのがこむら返り。「こむら返りを起こすと筋肉が痙攣して縮んでしまうため、筋肉のつりと痛みが伴います。多くは一過性ですが、痛みが続く場合や、その後も頻繁に繰り返すケースもあります」。

こむら返り

筋肉や腱には伸びすぎや縮みすぎを防ぐ筋紡錘(きんぼうすい)と腱紡錘(けんぼうすい)というセンサーがあるが、このセンサーになんらかの原因で誤作動が起きると筋肉が暴走し、脚がつってしまう。

原因

上図のような筋肉の収縮を感知するセンサーの誤作動のほか、足の冷え、筋肉の疲労や硬さ、ミネラル(特にマグネシウム)不足、脱水、下肢静脈瘤などが原因。布団から足を出して寝ていると冷えてこむら返りを起こしやすい。

対策

「レッグウォーマーなどで脚の冷え予防を。寝る前にコップ1杯の水を飲んで脱水を防いだり、壁ドンエクササイズなどで筋肉の疲労や硬さを解消するのも効果的。ひじき、ココア、ナッツ類、大豆、魚介類などマグネシウムが多い食品も意識してとること。下肢静脈瘤がある場合は下肢静脈瘤の原因と対策を参考に治療を」

予防・緩和するには…

脚がつったときは漢方薬も効果的

脚がつったときによい漢方薬が「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」。寝るときに枕元に置いておくのも◎。「クラシエ」漢方芍薬甘草湯エキス顆粒〈第2類医薬品〉12包入り¥1,341/クラシエ薬品

こむら返り

(原因別セルフケア)

足の冷え…レッグウォーマーなどで足を温める
脱水…寝る前にコップ1杯の水を飲む
筋肉の疲労・硬さ…寝る前の壁ドンエクササイズ
下肢静脈瘤下肢静脈瘤のケアを参照
マグネシウム不足…ひじき、ココア、ナッツ類、大豆、魚介類などを摂取

長時間の座り仕事や立ち仕事などで起きやすい【脚のむくみ】

こんな症状

脚がパンパンに張ってしまい、夕方ごろになると靴がきつくなってしまったりといった症状が起こるのがむくみ。「長時間の座り仕事や立ち仕事をしたとき、冷えたとき、塩分をとりすぎたときなどにむくみやすくなります」。

正常時

脚のむくみ

むくみがあるとき

むくみがあるとき

なんらかの原因で静脈やリンパ管の流れが悪くなり水分回収がうまくいかなくなると、細胞と細胞の間の細胞間液が過剰になり、むくんでしまう

原因

長時間同じ姿勢でいたり、体が冷えたり、筋力が低下したりすると脚の血液やリンパ液の循環が悪くなり、細胞間に水分が停滞してむくみが発生。塩分のとりすぎも原因に。また、肝臓や腎臓、心臓などの病気が原因の場合も。

対策

「長時間同じ姿勢を続けないよう1時間に1回は動くことを心がけて。脚のマッサージや、脚ぶらぶら体操のほか、市販の弾性ストッキングを取り入れるのもおすすめ。また、塩分は控えめに。症状がひどい場合は病院で検査を受けて」

予防・緩和するには…

市販の弾性ストッキングも利用を

市販の弾性ストッキングも利用を

医学に基づく段階圧力設計で脚をキュッと引き締め。膝上〜おなかまわりはゆったり設計。ウィークエンド シルクインレギンス オープン価格/メディキュット

脚のむくみ

リンパの流れ・血行を促進し、むくみを改善。スリムウォーク メディカルリンパハイソックス¥1,580/ピップ

一生歩ける「足」と「脚」をつくるセルフケア法5

一生自分の“アシ”で歩くために、今のうちから習慣にしておきたい5つのセルフケアをご紹介。コツコツと続ければ、一生自分の“アシ”で歩くことも夢じゃない!すでに“アシ”のトラブルがある人にも、まだない人にもおすすめ。

1.簡単エクササイズで、筋肉と関節をしなやかに

「アシ寿命を延ばすには、足首の柔らかさ、土踏まずの正しいアーチ、足裏の筋力の3つが重要」と、足病医療の菊池 守先生。この3つを回復させるエクササイズがこちら!

ふくらはぎと足首を柔軟に!【壁ドンふくらはぎ伸ばし】

「アキレス腱が硬いと、歩くときにすねの骨が十分に前に倒れないため足に負担がかかり、“アシ”のトラブルのもとに。この壁を使ったエクササイズをすると、アキレス腱が柔軟になり、足首とふくらはぎも柔軟になります。ぜひ毎日の習慣にしてください」

ふくらはぎと足首を柔軟に!【壁ドンふくらはぎ伸ばし】

壁に向かって腕を伸ばし、両手のひらをつける(椅子の背もたれをつかんでもOK)。両肘が伸びるくらいの距離を保って。

左足を1歩引き、つま先はまっすぐ前に向け、膝を曲げず、かかとは浮かさないように。

左足を1歩引き、つま先はまっすぐ前に向け、膝を曲げず、かかとは浮かさないように。

壁に体重をかけていき右膝をゆっくり曲げ、左のふくらはぎを伸ばして20秒キープ。

壁に体重をかけていき右膝をゆっくり曲げ、左のふくらはぎを伸ばして20秒キープ。これを3回。左右の脚を入れ替えて同様に。

土踏まずのアーチを整える【足首サッサ】

「膝裏からかかとへと伸びる後脛骨筋(こうけいこつきん)など複数の筋肉を鍛えることで、足裏のアーチを整えられるエクササイズです。足裏でふき掃除をするイメージで行いましょう」

足首サッサ

椅子に浅めに腰かけ、リラックスする。足は肩幅程度に開く。

足裏は完全に床につけた状態にし、足首はなるべくまっすぐに。つま先は少し小指側に向ける。

足裏は完全に床につけた状態にし、足首はなるべくまっすぐに。つま先は少し小指側に向ける。

かかとと小指を床につけたまま、足首を倒すようにして親指側を浮かす。膝は固定したまま行って。

かかとと小指を床につけたまま、足首を倒すようにして親指側を浮かす。膝は固定したまま行って。

そのまま小指でサッサと床を掃くように内側にこする。ふくらはぎの内側の筋肉を使う感覚で。左右とも同様に各3回。

そのまま小指でサッサと床を掃くように内側にこする。ふくらはぎの内側の筋肉を使う感覚で。左右とも同様に各3回。

足裏の筋力をアップ【足裏反らし】

椅子に浅めに腰かける。足は肩幅くらいに開き、すべての足指は床に下ろす。

すべての足指を大きく反らせる。アーチを強く引き上げる感覚で。このとき、指の間をできるだけ広げて。

そのまま親指だけを下ろす。ほかの指はピンと反らし、アーチを引き上げたままにしておくのがポイント。

アーチの力を抜かないまま残りの4本の指を下ろす。

最後にアーチに力を入れ、床をつかむイメージですべての指をつけ根から曲げ、ぎゅっとつま先を持ち上げる。これを左右各5回。

最後にアーチに力を入れ、床をつかむイメージですべての指をつけ根から曲げ、ぎゅっとつま先を持ち上げる。これを左右各5回。

2.靴選びは、足への優しさファーストで!

アシ寿命を延ばすために大切なのが靴選び。「靴は足長だけでなく、自分のつま先の形に合ったものを選ぶのがポイント。自分の足のタイプをチェックしてみましょう」。

【STEP1】自分の足のタイプをチェック

(エジプト型)

(エジプト型)

親指が一番長いタイプ。親指部分から小指にかけて斜めにカーブを描くオブリーク型の靴が合いやすい。

(ギリシャ型)

(ギリシャ型)

人さし指が親指より長いタイプ。つま先を頂点に左右対称のカーブを描くラウンド型の靴が合う。

(スクエア型)

(スクエア型)

親指と人さし指の長さがほとんど同じ。この場合はつま先が四角いスクエア型の靴が合う。

【STEP2】足の周囲をチェック

【STEP2】足の周囲をチェック

足の親指のつけ根から小指のつけ根に沿ってメジャーを1周した長さが足囲。EEやEEEなどで表示される。このサイズも選べる靴だとより足にフィット。

そのほか、ここもチェック!

•自分の足のサイズに合っているか
•かかとがしっかりしているか
•足指のつけ根の部分で指が曲がるか
•靴底が硬く、しっかりしているか
•歩いてみても違和感がないか
•つま先に1〜1.5㎝のゆとりがあるか

3.歩くときの正しい足の動きをマスターする

「歩くときの足運びが正しくないと、どこかしらに負担がかかり、“アシ”のトラブルが起きやすくなります。正しい足運びを覚えて、歩くときに意識してみてください」

1

左足を一歩前に出し、かかとから着地する。

左足を一歩前に出し、かかとから着地する。

2

前に出した左足の裏全体で地面をとらえる。

前に出した左足の裏全体で地面をとらえる。

3

体重を前に移動させ、体を前に押し出していく。

4

右足を前に出し、かかとから着地。左足は地面から離す。

右足を前に出し、かかとから着地。左足は地面から離す。

4.すでにある足のゆがみは、インソールで矯正

「足にトラブルがある場合は、医療機関でアーチを整えるインソールを作って靴に入れるのがおすすめ」。市販のアーチを整えるアイテムを利用してもOK。

医療機関で、ピッタリなものをオーダーメイド

医療機関で、ピッタリなものをオーダーメイド

こちらは菊池先生の下北沢病院で処方されている医療用インソール。「市販のものと違い、症状に応じて医師が処方し、装具士がその人の足に合わせて作成します。アーチの矯正をするため硬めのインソールを用います。保険適用となる場合とならない場合があります」。

\編集部おすすめ/

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5.たゆまぬフットケアで、トラブルレスな足に

「健康な足を保つには角質ケアや保湿も不可欠。角質のターンオーバーが乱れると乾燥してしまうので、以下の3ステップケアを週1回ほどを目安に行いましょう」

(ツルツル足を保つケア)

1

(ツルツル足を保つケア)

①足は蒸れやすいので、ケアの前に必ず洗って。ボディソープなどを泡立てて指の間まで洗い、水気をふき取る。

2

②尿素やサリチル酸など、角質を柔らかくする成分を含んだクリームを角質にしみ込ませるように足全体に塗る。

②尿素やサリチル酸など、角質を柔らかくする成分を含んだクリームを角質にしみ込ませるように足全体に塗る。

3

③最後にラップで足を覆うと潤いが閉じ込められ成分が角質に浸透しやすくなる。30分ほどしたらラップをはずす。

③最後にラップで足を覆うと潤いが閉じ込められ成分が角質に浸透しやすくなる。30分ほどしたらラップをはずす。

角質が硬くなりすぎているときはファイルも利用を

角質が硬くなりすぎているときはファイルも利用を

かかとの角質が非常に硬いときのための、プレケア用の目の粗いかかと削り。足指や足裏の角質が硬い部分にも使える。コバコ ヒールファイル¥2,090/貝印

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