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“ポスト”ハン・ガン!? 今、注目するべき女性作家3名【大人にこそ響く、韓国文学】
ハン・ガンのノーベル文学賞受賞を機に勢いを増している、韓国の文学。“ポスト”ハン・ガンと注目してほしい女性作家をご紹介。
【韓国文学の“今”を読み解く】その後の人生をも左右してしまう!?「受験戦争」を描いた小説
その後の人生をも左右してしまう!?【受験戦争】
青春小説はもちろんのこと、SFやエッセーなどでも重要な要素として描かれることが多いのが受験戦争。
学歴重視の韓国では、名門大学を卒業後大企業に勤めるのが成功とされるからだが、「試験の方法は変わってきています」と伊東順子さん。
「最近は名門国立大学でもAO入試(自己推薦型入試)で入る人が6割。早めにAOで決まる人が多く、一斉入試に挑むのはそれにもれた人たちです。ただこの方法には大きな問題も。AO入試で重要視されるのがポートフォリオ(履歴書)で、そこに海外留学経験やコンクールの受賞歴などをたくさん書くことが大事。つまり、子供にお金を使える裕福な親をもつと有利なんです。もとの一斉入試に戻そうとする動きもありますが……。
そんな受験システムから生まれる悩みも、いろいろなエンタメに反映されていますね」

『どれほど似ているか』
キム・ボヨン 斎藤真理子/訳
河出書房新社 ¥2,530
10編のSFのうち「0と1の間」は受験に狂信的な母と価値観が違う娘の話。タイムマシンをモチーフにわかりあえないふたりの対立を浮き彫りにしている。
『ミカンの味』
チョ・ナムジュ 矢島暁子/訳
朝日新聞出版 ¥1,760
中学校の映画部で仲よくなった女子4人。高校入試を前に個々の事情があらわになって……。『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者が厳しい試練の中での友情を描く。
ライター、翻訳者 伊東順子さんに聞きました
文学、ドラマ、映画……
物語の背景にある韓国社会事情とは?
韓国在住30年以上の伊東順子さん。彼女が考える韓国社会最大の特徴は「休戦状態とはいえ戦時下にあること」だという。
「昨年12月に尹(ユン)大統領が非常戒厳を宣布しました。すぐに解除はされましたが、改めて韓国は休戦状態とはいえ、準戦時下の国であることが思い知らされました。ふだんはみんな忘れていますが、やはり頭のどこかに緊張感がある。日本とはまずそこが違いますね」
朝鮮半島を南北に分断して起きた朝鮮戦争の前には、日本の支配下に置かれていた韓国。独立後は独裁政権が長く続いたため、その歴史は民主化への歩みと重なる。
「済州島4・3事件や光州事件など、口にするのがタブーとされたほど多くの犠牲者を出した民主化運動を経て、今の韓国がある。林立するタワマンやかっこいい俳優などキラキラした部分に目がいきがちですが、そこにいたるまでには苦難の歴史があり、それを描いたエンタメもたくさんあります。また、急速な経済発展がもたらした弊害もありました。’14年に起きたセウォル号沈没事故では、それが浮き彫りになりました」
250人もの高校生の命が奪われ、日本でも連日ニュースになったこの事故。当時韓国社会で広がったのは「沈みゆく船をテレビで見ているだけで子供たちを救えなかった」という大人たちの自責の念であり、国への怒りだったという。
「沈没の原因は船の過積載や船員の経験不足などでしたが、そこから見えたのは自由競争の弊害。大人たちは“子供たちがその犠牲になった”と感じ、事故への対応が信じられないほど遅れた国に憤ったんです。つまり、民主化が進んで経済が発展しても“国民に対する国の責任感は足りていなかった”と気づいた。この事故をいろいろなかたちで書いた作家は多く、“セウォル号以後文学”という言葉も生まれたほどです」
今もさまざまな問題を抱え、経済は停滞ぎみといわれる韓国。ただエンタメやファッションに関しては相変わらず活気があり、日本への影響も大きい。そんなこの国の底力について、伊東さんは著書『韓国 現地からの報告』で“とても勤勉な人々、それを可能にする強靭な肉体、その基本にある健全な食生活”と述べている。
「韓国には上昇志向の強い人が多い。今の暮らしをよくしたいと思うから、受験も仕事も資産形成も女性の権利向上もがんばるんです。デジタル化が進んでいるのも、中高年を含めた一般の人たちが“便利ならマスターすべき”とスマホなどを使いこなしているから。このことに関しては、日本の中高年は及び腰な印象があります。韓国の人たちはがんばりすぎて衝突を招くこともあるけれど、意欲的だからいろいろな面で発展していく。そんなお隣の国の文化に触れることは、自分の頭で違いや共通点について考えることにつながります。特に小説はそれを助けてくれるのではないでしょうか」
ライター、翻訳者 伊東順子
いとう じゅんこ●愛知県生まれ。’90年に渡韓。ソウルで企画・翻訳オフィスを運営。’17年同人雑誌『中くらいの友だち―― 韓くに手帖』(皓星社)を創刊。著書に『韓国カルチャー 隣人の素顔と現在』『続・韓国カルチャー 描かれた「歴史」と社会の変化』(ともに集英社新書)など多数。
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