【韓国の“今”を感じる器めぐり】注目の現代作家の作品に出会える5スポット

伝統の香りを色濃く漂わせる、現代作家による作品。国内外で評価の高い作家たちは、信頼する場所にのみ作品を託すのが最近の傾向。確実に手に入れたいのなら、こちらへ。

案内してくれたのは

チェ・ジウンさん

チェ・ジウンさん

「朝鮮王朝宮中飲食研究院」で学び、料理家としても活躍。韓国文化コーディネーターとして日本の雑誌や書籍で韓国の食文化や伝統工芸を紹介。

@jieun_sukarac

本物に触れ、美の軸を定めて。器選びの旅はそこから

韓国らしい器と聞けば、多くの人がイメージする白磁。チェさん愛用の器も、ほぼ白磁という。 「清く、時に青みがかり、温かな乳白色もある。朝鮮王朝時代から愛され、作り手により表情を変えるその白は、やはり特別。心動くものに出会ったら、ぜひ手にとって。また、白磁にかぎらず新たな作家たちが意欲的に活動する今、韓国の工芸界は実におもしろい時期。骨董店も若い店主が増え、固定観念にとらわれない骨董の楽しみ方を提案しています。おすすめは、旅の始めに美術館を訪れること。白磁、青磁、古布や家具。本物に触れ、“美”に関する自分の軸を見つめ直して。日本のかたたちは“見立て”で素朴なものを生かすのが上手。私たちも学びたいところが多くあります。隣の国同士、“美”を通じて文化を交わし合い、仲よく平和に暮らしたいですね」

【梨泰院】LEEUM STORE 리움스토어

韓国工芸界の“今”がわかる

韓国有数の大企業、サムスン・グループの創始者のコレクションを中心に公開するリウム美術館。併設のショップには、気鋭の現代作家の作品が一堂に会する。「韓国古美術の常設展は入場無料。価値ある骨董に触れ、その流れでショップに行けば韓国の歴史と今を肌で感じられます」と広報のホさん。チェさんがキャリア初期から注目していた、イ・インファ氏の作品も。

古来のお守りをアートに。チェ・ヒジュ氏の作品。W100,000〜

古来のお守りをアートに。チェ・ヒジュ氏の作品。W100,000〜

オプションでポシャギでの包装も。W15,000

オプションでポシャギでの包装も。W15,000

店内には、新進作家から重鎮まで60名ほどの作品が

店内には、新進作家から重鎮まで60名ほどの作品が

韓国の料理家に人気のベク・ギョンウォン氏の作品。「左は野菜スティックなど高さのある食材を盛ると素敵」(チェさん)。各W300,000

韓国の料理家に人気のベク・ギョンウォン氏の作品。「左は野菜スティックなど高さのある食材を盛ると素敵」(チェさん)。各W300,000

イ・インファ氏の白磁。カップW120, 000、八角の重箱W215,000〜

イ・インファ氏の白磁。カップW120,000、八角の重箱W215,000〜

DATA
ソウル特別市龍山区梨泰院路55ギル60-16
서울특별시 용산구 이태원로 55길 60-16
10:00〜18:00
定休日 月曜(不定休あり。詳細は公式サイトで)
https://www.leeumhoam.org/

【龍山】Gallery LVS&CRAFT Sinyongsan 갤러리 LVS 신용산

食卓を豊かに彩る、人気作家の作品が並ぶ

日本の料理家たちにも人気の高いキム・サンイン氏、キム・ドンジュン氏の作品を多く扱う。「美しいものは、日々使ってこそ価値があります。こちらでは、伝統への敬意と現代作家らしいのびやかさを兼ね備えた作品に出会えるのが魅力」とチェさん。キュレーターのユジンさんの若く柔軟な感覚で選ばれた器は、作品としての風格を保ちつつ、食卓になじむたたずまい。

韓国の伝統的な飯床器を、キム・サンイン氏が現代的にアレンジ。 親しい間柄だというキム氏とチェさん。伝統を大切にしながら、現代の食卓になじむ器をともに考え、提案している。直径約11. 5㎝〜、W50,000〜

韓国の伝統的な飯床器を、キム・サンイン氏が現代的にアレンジ。親しい間柄だというキム氏とチェさん。伝統を大切にしながら、現代の食卓になじむ器をともに考え、提案している。直径約11.5㎝〜、W50,000〜

薪窯で焼かれ、青みが美しいキム・ドンジュン氏の白磁。湯飲み 各W150,000、 鉢W300,000〜

薪窯で焼かれ、青みが美しいキム・ドンジュン氏の白磁。湯飲み 各W150,000、鉢W300,000〜

キム・サンイン氏のプレートW40,000〜、手前の大皿(幅35㎝)W300,000

キム・サンイン氏のプレートW40,000〜、手前の大皿(幅35㎝)W300,000

龍山のランドマーク的存在のビル内で入りやすい雰囲

龍山のランドマーク的存在のビル内で入りやすい雰囲気

DATA
ソウル特別市龍山区漢江大路100 アモーレパシフィックビル2F
서울특별시 용산구 한강대로 100 아모레퍼시픽 본사 2층
月〜金曜10:00~18:00、土曜11:00~17:00
定休日 日曜(詳細はインスタグラムで)
Instagram:@lvscraft

【新沙】chapter1 edit 챕터원 에디트

作家本人と語らいながら、作品を手にとれる

「最近、個展でしか作品を出さない作家たちが、例外的に大切に感じているショップのひとつ」(チェさん)。オーナーが目をかけた作家は、のちに海外で評価されることも多く、若手の登竜門的場所でもある。「実際に使うイメージがわくよう、暮らしの一角を切り取る感覚でディスプレイをしています」と話すマネージャーのソンさん。今の韓国のハイセンスな人々が、どういった空間を好んでいるかがかいま見える。

陶器に銀箔をはり、伝統的な祭器を象ったイ・ヘミ氏の作品。大ぶりのコンポート皿としても。(直径36×高さ19㎝)W2,700,000

陶器に銀箔をはり、伝統的な祭器を象(かたど)ったイ・ヘミ氏の作品。大ぶりのコンポート皿としても。(直径36×高さ19㎝)W2,700,000

壁一面の棚は月に2度模様替え

壁一面の棚は月に2度模様替え

海外でも評価が高い金工作家、 ユン・ヨートン氏の作品。アルミ製W220,000〜、銅製W440,000〜、銀箔W770,000〜

海外でも評価が高い金工作家、ユン・ヨートン氏の作品。アルミ製W220,000〜、銅製W440,000〜、銀箔W770,000〜

紙のように薄く繊細な質感が人気のパク・ソングク氏の白磁。碗W50,000、ピッチャーW45,000

紙のように薄く繊細な質感が人気のパク・ソングク氏の白磁。碗W50,000、ピッチャーW45,000

DATA
ソウル特別市瑞草区ナルト路65
서울특별시 서초구 나루터로 65
11:00~19:00
定休日 日曜(不定休あり。詳細はインスタグラムで)
Instagram:@chapter1_edit

【梨泰院】Sansuhwa Tea House 산수화

ソウル有数の人気茶楼で、優雅に器選び

韓国では中国茶流行(はや)りで、作家が手がける茶道具も人気が高い。ティールームを兼ねたこちらでは、お茶を味わいつつ器選びを楽しめる。「ぜひ手にとってほしいのは、ホン・ドゥヒョン氏の白磁とチョ・ジャンヒョン氏の青磁」(チェさん)。特にチョ氏の作品は、白磁びいきだったチェさんが改めて青磁に魅了されるきっかけに。オーナーのチョンさんによる流れるような功夫茶の作法も美しい。

伝統的な製法で焼かれ、彫りによる絵が美しいチョ・ジャンヒョン氏の小皿。W250,000〜。氏の作品は、ほぼこちらのみの取り扱い

伝統的な製法で焼かれ、彫りによる絵が美しいチョ・ジャンヒョン氏の小皿。W250,000〜。氏の作品は、ほぼこちらのみの取り扱い

薪窯ゆえの黒点の表情が美しいホン氏の白磁。カップは耳盃と呼ばれる骨董の杯をヒントに。壺W500,000、カップW150,000、ソーサーW40,000

薪窯ゆえの黒点の表情が美しいホン氏の白磁。カップは耳盃と呼ばれる骨董の杯をヒントに。壺W500,000、カップW150,000、ソーサーW40,000

お茶を楽しみながら器選びを

お茶を楽しみながら器選びを

チョ氏の茶杯W80,000〜、急須W750,000〜

チョ氏の茶杯W80,000〜、急須W750,000〜

DATA
ソウル特別市龍山区漢南大路20ギル21-14
서울특별시 용산구 한남대로 20길 21-14

12:00~19:00
定休日 日・月曜(詳細はインスタグラムで)
Instagram:Instagram:@sansuhwatea

【延禧洞】OJACRAFT 오자크래프트

作家本人と語らいながら、作品を手にとれる

日本でも個展を開催し、人気が高まっているアーティスト、オジャさん。自身の作品を展示するためにオープンしたのがこちらのギャラリーで、オブジェのほか、彼が手がける器や小物も並ぶ。「これまでの作家たちには見られなかった、古いヨーロッパをイメージさせるフォルムが個性的。それでいて、韓国古来の青磁を独自の解釈でとらえ直す作品を生み出すなど、彼らしい試みがおもしろい」とチェさんも注目。

墨絵も描くオジャさんは「色彩に頼らず美を表現したい」と話す。小ぶりなオブジェはW75, 000〜、プレートはW250,000〜

墨絵も描くオジャさんは「色彩に頼らず美を表現したい」と話す。小ぶりなオブジェはW75, 000〜、プレートはW250,000〜

窓辺に揺れるモビール。作品にはオジャさんの人柄そのままの優しげな空気が漂う

窓辺に揺れるモビール。作品にはオジャさんの人柄そのままの優しげな空気が漂う

試行錯誤を重ねた青磁の大皿。(幅65㎝)W2,800,000 

試行錯誤を重ねた青磁の大皿。(幅65㎝)W2,800,000

内装はオジャさんと妻で写真家のジェビさんによるDIY。まるで家に招かれたかのよう

内装はオジャさんと妻で写真家のジェビさんによるDIY。まるで家に招かれたかのよう

手ごろなオーナメントやお香立ても。各W20,000〜

手ごろなオーナメントやお香立ても。各W20,000〜

DATA
ソウル特別市西大門区延禧路11街ギル24 3F
서울특별시 서대문구 연희로 11가길 24 3층
13:00~19:00
定休日 月曜
Instagram:@oja.seoul

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