がんばりすぎは禁物!「夕方ツライ」の克服は、自分の体と向き合うことから

エクラ読者にとったアンケートではなんと7割以上が「夕方のツラさ」を感じていた。読者のアンケートを、第一線で活躍するふたりの医師が分析。不調の背景にあるのは自律神経とホルモンの問題だった。
教えてくれたのは…
ハーバード大学 医学部PKD Center 客員教授 根来秀行先生

ハーバード大学 医学部PKD Center 客員教授 根来秀行先生

専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、最先端医療の現場で国際的に活躍中。著書に『ハーバード大学&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』(集英社)など。
東京女子医科大学 東洋医学研究所所長 木村容子先生

東京女子医科大学 東洋医学研究所所長 木村容子先生

日本内科学会認定医。日本東洋医学会専門理事、専門医・指導医。体と心をトータルに診るこまやかな医療で女性たちから高い支持を集めている。著書に『女50歳からの「変調」を感じたら読む本』(静山社文庫)など。

今のアラウンド50の日常はかつてなくハード!

コロナ禍で誰もがストレスを感じている中で、責任世代のエクラ世代は周囲の人からのストレスまで引き受けがち。自分のことを後回しにしてしまうがんばり屋さんほど、「夕方ツライ症候群」に要注意! 自分の体も労って。

自分の体も労って

気力・体力の過信が、「夕方ツライ」を招いている

アンケートには、夕方からのツラさをせつせつと訴える記述がいっぱい。「コロナ禍で気を使うことが多い中、なんとか夕方までがんばっている感じですね」と木村先生。先生によると人にはもって生まれたエネルギー“先天の気”があり、その総量は加齢とともに小さくなっていくという。
「夕方ツライ症候群に悩むのは、もともとエネルギーボールが大きく、今までなら多少の無理がきいた人たちでしょう。アラ50になって体は老いに向かっていることに気づかず、つい今までどおりにがんばって、夕方ガス欠状態になってしまうのです」

女性ホルモンが減少する更年期には、体の調整のために余分にエネルギーが使われ、若いころなら無意識にできていたことがしんどくなる。ホルモンのアンバランスで自律神経も乱され、それまでなかった不定愁訴も現れやすい。


加えて、職場での責任、子供の進路や親の介護など、外的重圧も増大。昨年からはコロナ禍も加わり、エネルギーの消耗に追い討ちをかける。
「夕方には活動を促す交感神経が下がり、リラックスを促す副交感神経が優位になるので、夕方にテンションが下がるのは自然なことです。ただ、家事や育児を担っている女性は、夕方もうひと踏ん張りするために、交感神経をもう少し上げる必要がある。そのための余力を残しておくには、睡眠と食事でしっかりエネルギーチャージをしながら、優先順位をつけてがんばりすぎないことです」

自分のエネルギーの許容量をしっかり見極めて

加齢によって小さくなるその人のエネルギーボール。30代・40代に比べて、アラ50が小さいのは当然。過去の自分、あるいは周囲の人と比べて悲観するのではなく、今の自分のエネルギー量を見極めて、ふだんの生活や仕事を見直したい。

自律神経の機能低下でエネルギーが枯渇する

根来先生は、夕方のツラさの背景に慢性的な睡眠不足があると指摘。

「加齢や夜型の生活で、交感神経優位の時間が夜まで侵食すると、夜中に副交感神経が上がらず、睡眠の質が低下します。すると、睡眠中に毛細血管を介して届けられる栄養、酸素、ホルモンが全身の細胞に行き渡らず、老廃物の排出も滞る。そのため睡眠中に細胞が修復されないので、十分なエネルギーを生み出せず、朝になっても疲れが抜けません。そのような生活サイクルが何日も続くと、日中の交感神経まで落ちて、自律神経のトータルパワーも低下。すると、夕方には極端にだるい感じになり、やる気も起きなくなるのです」


自律神経の機能低下は、ホルモンや免疫にも悪影響を及ぼす。

「体には、体内環境を一定に保つ“ホメオスタシス”という仕組みが備わっていて、神経系、内分泌系、免疫系の3つでそのバランスを保っています。睡眠の質の低下やストレスなどで自律神経が乱れれば、内分泌系のホルモン分泌も乱れる。免疫系も弱るので、新型コロナウイルスの感染リスクも高まります。不調の連鎖を食い止めて夕方ツライ症候群から脱却するには、睡眠を見直して、自律神経と連動している体内時計を整えることです」

どうやら夕方ツライ症候群克服のカギは、睡眠と食事を中心にした生活習慣の見直しにあるようだ。

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