神経の専門家が解説!自律神経がカギ!心身を良い方向に導くには?【アラフィーのときどき心がツラい】

不安や焦りを取り除くには、心ではなく自律神経にアプローチするのが効果的。そのメカニズムを神経の専門家こと浅井咲子さんが解説。アラフィー世代が心がツラくなる理由も、神経の観点から紐解いてもらった。
教えてくださったのは…
神経セラピスト 浅井咲子さん

神経セラピスト 浅井咲子さん

米国ジョン・F・ケネディ大学院にてカウンセリング心理学の修士課程修了。’08年、セラピールーム「アート・オブ・セラピー」を設立し、講演や講座も開催。著書に、『不安・イライラがスッと消え去る「安心のタネ」の育て方』(大和出版)ほか。

自律神経が整えば、心身もよい方向に向かいます

親の死や介護、子供の巣立ち、更年期、体の衰え。読者アンケートから判明したのは、環境や体の大きな変化が、エクラ世代の心をツラくさせているということ。

そこから抜け出すべく、私たちは、「もっと前向きにならなければ」とか「気持ちを落ち着かせよう」など、心そのものをどうにかしようとしがち。けれど、「心という、漠然としたものをコントロールするのは、とてもむずかしいこと。もっと科学的な解決方法を取り入れるほうが、有効ではないでしょうか」と、神経セラピストとして、多くの人の悩みと対峙してきた浅井咲子さん。

浅井さんが提案するのは、私たちの体の中に、“確かに存在している”神経に働きかける方法。

「不安や落ち込みといった心の状態に加え、頭が重い、寝つけないなど体に生じる問題も、神経が深く関係しています。なので、神経を整えれば、心身がよい方向に向かう可能性が高まります」

体内に数ある神経の中でも、特に注目したいのが、内臓や血管といった体の機能を調整している自律神経。自律神経は、日中や活動中に活発化し、興奮や覚醒に携わる交感神経と、夜や寝ているとき、リラックスしている際に活発になり、安心感や心地よさなどをもたらす副交感神経に分かれる。

「さらに近年の研究で、副交感神経には、脳幹の後方から伸びて、主に腸や腎臓といったおなか周辺を通る背側(はいそく)迷走神経と、脳幹の前方から伸びて、主に耳やのど、肺、心臓などを通る腹側(ふくそく)迷走神経の2つがあることがわかりました。前者は、ひとりで休息したり、リラックスしたりするときに働き、後者は、他者とコミュニケーションをとったり、社会的な交流をする際に働きます。私たちは、一日の間で、交感神経、背側迷走神経、腹側迷走神経のいずれかが優位であるという状況を繰り返しながら、生活しているのです。そして、これら3つの神経がバランスよく切り替わることで、心身の健康は成り立っているんですよ」

交感神経は、集中力や活力の源になる一方で、不安や怒り、イライラ、焦りなどをもたらす場合もある。ただし、本来であれば、交感神経優位はそう長くは続かない。しばらくすると背側迷走神経や腹側迷走神経といった副交感神経優位に切り替わるため、不快な感情が消えていき、気持ちは落ち着く。

「そのことを、実体験を通してわかっていれば、たとえ今、強い不安を抱いていたとしても、『この感情は一時的なもの。ずっと続くわけではないのだから大丈夫』と、自分で自分をなだめられ、気持ちが追い詰められることはないだろうと思います。けれど、現代人は、交感神経優位な状態が、長時間続きがち。副交感神経への切り替えが上手にできず、背側迷走神経や腹側迷走神経が、きちんと働いていない人も多い気がします。特にエクラ世代は、その傾向が強いかもしれません」

一日中予定に追われて休む時間がなかったり、夜遅くまでパソコンやスマホといった強い光や電波を発する機器に触れていたりすると、交感神経のスイッチがオンのままに。また、親や子供の問題、自分の老後の心配などがストレスとなり、交感神経を活性化してしまうこともある。

「更年期前後に女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少すると、体はそれを補おうと、エストロゲンに似たアドレナリンを多く分泌するようになります。実はこのアドレナリンも、不安や焦りを増幅させてしまうんですよ」

つまり、エクラ世代は、心がツラくなりやすい年代ということ。

「そこから抜け出すには、交感神経の過剰な活性化を抑え、腹側迷走神経や背側迷走神経がきちんと働くよう、鍛えてあげることが大切。そうやって、3つの神経が整い、上手に切り替えられるようになれば、ツラい状況が改善されると思いますよ」

心がツラくなるのはなぜ

自律神経の仕組みと働き

※正しくは「副交感性神経系」「腹側迷走神経複合体」「背側迷走神経複合体」と呼ばれますが、記事内では省略し、「副交感神経」「腹側迷走神経」「背側迷走神経」と表記します。

自律神経の仕組みと働き

《交感神経》
日中や活動中のほか、ストレスや危険を感じたときにも活性化し、不安や怒り、イライラを誘発することも。血管の収縮や胃腸の働きの抑制、瞳孔の散大などの作用がある。

《背側迷走神経》
腸や腎臓などの働きに携わり、ひとりで休息したり、リラックスする際に活性化。過剰に働くと、動物の“死んだふり”状態になり、うつやひきこもりにつながる場合も。

《腹側迷走神経》
顔、のど、耳、心臓、肺の筋肉を支配。他者との関係性の構築や社会的な交流の際に働くため、この神経が上手に働かないと、人と会うのが怖くなったり、気疲れしやすくなる。

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