どんな心構え&準備が必要?「50代からの起業」を考える

アラフィー世代の中には「私も会社をつくってみたい」と思っている人もいるのでは?そこで、起業に対する心構えや押さえておきたいことなど、専門家にレクチャーしてもらった。
教えてくれた人
キャリアコンサルタント 松本すみ子さん

キャリアコンサルタント 松本すみ子さん

大学卒業後IT企業に25年以上勤務し、49歳のときに、有限会社アリアを起業。現在、NPO法人「シニアわーくすRyoma21」の理事長も務め、セミナーや講演などで、50代以降の働き方を指南。『55歳からのリアル仕事ガイド』(朝日新聞出版)などの著書がある。

起業は「目的」ではなく、目標達成のための「手段」

50代以降の働き方に精通し、自らも48歳で勤務先をやめ、起業した松本すみ子さん。

「近年、起業を取り巻く環境は、大きく変わりました。社会全体が、起業をポジティブにとらえるようになり、若い世代だけでなく、定年を迎えたシニア層も関心を寄せています。国や自治体も起業を積極的に後押ししていて、特に、女性や50歳以上の起業家へのサポートは充実しているんですよ」


つまり、今は、アラフィー女性が起業するのに絶好のタイミングということ?

「起業のハードルが下がっているのは確かです。ただし、重要なのは動機。『支援があるなら独立をしてみようかな』とか、『雇われるのではなく、社長になりたい』など、起業そのものが目的なら、やめたほうがいいと思います。会社を経営するのは、想像以上に大変なこと。何をやりたいかが明確で、それを成し遂げたいという強い思いがなければ、成功はむずかしいですよ」


まずは、自分のキャリアを振り返り、何が好きで何が嫌いか、強みと弱みは何か、どんなスキルや人脈があり、どういった方面に明るいのかなどの洗い出しを。

「そうやって客観的に自分のことを分析すると、起業が正解かどうか、見えてきます。なかには、会社をつくるより、転職や副業というスタイルを選んだほうがいいケースもあるでしょう。また、事業内容によっては、税務署に届け出を出すだけですむ個人事業主として始めるのがおすすめ。会社の売り上げが数千万円など、大きくなってから、会社組織に変えればいいと思います」

充実した将来のために今から仕事の仕方を考えて

手がけたい商品やサービスに独自性があり、市場調査の結果、勝算が見込め、開業資金や販売先・仕入先などのめどが立ってから、一歩を踏み出すのがベター。セミナーなどに参加し、起業のノウハウや実情などを聞き、勉強するのもおすすめだ。

「会社を定年退職したあとも、人生はまだまだ続きます。会社をつくる、再就職する、個人事業主としてマイペースで働くなど、かたちはさまざまですが、自分の好きなことを仕事として続けていれば、この先も楽しく、若々しく過ごせると、私自身、実感しています。将来のために、今から自分の生き方を考え、準備を進めてほしいですね」

50代からの起業とは?

起業の前に確認したい「5W2H」

起業成功の秘訣は、確固たる信念と情熱、実現性が高いビジョンがあるかどうか。それを確かめるのに役立つのが、この5W2H。事業計画書作成のたたき台としても使える!

1:Why(なぜ)

まずは、起業したい理由を明確にすること。自分の経歴やスキル、情熱をかけられるものなどを客観的に分析し、起業という道がベストなのかどうかの判断を。

2:What(何を)

次に考えるべきは、「何」を売るか。どんな特長や魅力をもつサービスや商品を提供するのか、しっかり考えて。これが、事業概要や企業理念のベースになる。


3:Whom(誰に)

成功の必須条件のひとつになるのが、「誰に」売るか=ターゲットを明快にすること。年齢層、性別、属性、ライフスタイル、嗜好など、具体的に設定するのが大切。


4:When(いつから)

意外と重要なのが、「いつまでに起業するか」といったスケジュールの設定。「準備できしだい」などと、のんびり構えていると、実現が遠のいてしまう危険性大。


5:Where(どこで)

活動と創業の場所をどこにするか、地域も含めて考えて。自宅を事務所にするほか、レンタルオフィスやコワーキングスペースなど、今や選択肢は多数。


6:How(どのように)

事業に専念するのか、副業や兼業で行うのかはもちろん、市場調査、販売方法、PR手段など、「どのように」商品やサービスを売るのかは、熟慮すべきテーマ。


7:How much(いくらで)

初期費用や運転費用はいくらかかり、どのように調達するかといった資金計画のほか、事業開始後の収益目標や売上・経費の見積もりなど利益計画は万全に。

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