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【井川遥さんインタビュー】「社会の中に自分の立ち位置ができた」良質なものづくりを追い求めた先に見えたものとは…
女優としての輝きを増す井川遥さん。キャリアを重ねる一方で、二児の母であり、ブランドディレクターでもある。忙しく過ごした30代を経て、洋服に求めることが変化していったそう。40代代半ばの今、何が彼女をさらに輝かせているのだろう。
日本の伝統文化を発信すべく大企業を退職して会社を設立。アラフィー女性の新しい働き方

TZEN 代表取締役 長尾千登勢さん
<起業までのヒストリー>
1991 |
大学卒業後、電通に入社。 クリエイティブ局で広告制作に携わる。 |
2015 |
iPR局(現PRソリューションズ局)新設に伴い、異動。 SNSやwebムービーなどを用いたPR業務を手がける 一方、海外でのイベントや海外クライアントも担当。 |
2020 | 12月末、電通を退職。 |
2021 |
1月、52歳のときに株式会社TZENを設立。 8月、『ATELIER MATCHA』をオープン。 |
会社組織にしたおかげでビジネスがスムーズに
約30年勤めた電通を退社し、今年1月、「TZEN」を設立した長尾千登勢さん。株式会社ではあるものの、社長のみの、いわゆる“ひとり会社”だ。
「あまり深く考えず、『独立=会社をつくるもの』というくらいの気持ちでしたが、会社組織にして正解でした。取引先や契約相手から信頼が得られやすいですし、金融公庫の融資もおりましたし。おかげさまで、やりたかった仕事が順調に進んでいます」
長尾さんがやりたかった仕事、それは、電通で培ったマーケティング力やITスキル、得意の語学を生かし、日本の伝統文化の普及をサポートし、海外に発信することだった。
「20代から茶道を始め、きものや器、生け花など伝統文化に触れる機会が多かったことに加え、電通でも40歳を過ぎたころから、大手企業や官公庁の海外案件を担当することが増えました。海外のイベントで茶道や工芸品、織物などを紹介すると、現地のかたから大きな反響があるんです。日本の伝統文化は、世界に誇れるすばらしいコンテンツだと、実感しました」


52歳での起業は、さまざまな要因が重なった結果
とはいえ、その魅力が海外で広く認知されているとは言い難く、国内でも先細りが目立つ。原因のひとつは、PR不足。語学やITスキルなどへの不安が、普及活動の障害になっているのではないか。そう感じた長尾さんは、自身のキャリアを、伝統文化の担い手のために役立てたいと思うように。
「電通の案件として扱わせていただいたケースもありました。ただ、中小企業や個人が多く、クライアント登録の条件を満たしていないとか、金額的にむずかしいということも少なくなくて。ボランティアで、個人的にお手伝いしてもいましたが、本業も忙しかったので、不完全燃焼ということもありました。どちらも100%やることがむずかしいなら、会社をやめて、伝統文化のサポートに専念しよう。そんな思いが、だんだんと強くなっていったんです」

会社人生約30年で培ったスキルや人脈が生きている
52歳での起業は、さまざまなタイミングが重なった結果でもあった。
「ひとつは、娘が大学生になり、だいぶ手が離れたこと。『これからは、自分のための時間が増える!』って(笑)。2つ目は、会社が40代以上の社員を対象に早期退職制度を打ち出したこと。しかも、電通の子会社と業務委託を結べば、今までやってきた仕事が続けられ、委託料が支払われるんです。ある程度の収入が確保できるという安心感も、独立の後押しになりました」
3つ目は、自分を見つめ直す時間ができたことだ。20代、30代の日々を、「高速道路を猛スピードで走っていて、途中にパーキングエリアや出口があるのすら気づかなかった」と、振り返る長尾さん。
40代でリーダー職に就き、まわりを見る余裕が生まれたことで、「素敵な場所があるから、ちょっと降りてみよう」と思えるようになったとか。ふと立ち止まり、歩んできた道を振り返ると同時に、行く手に思いを馳せる。それができるのが、アラフィーという年齢なのかもしれない。
12月末の退職後は怒涛の日々が続く。翌年1月には会社を設立し、8月には京都の老舗茶問屋、山政小山園とタッグを組んだ抹茶カフェ『ATELIER MATCHA』をオープン。京都の小さな工房がつくる電動茶筅(ちゃせん)のプロデュースや、抹茶を用いたスイーツなどのオンライン販売も、着々と進んでいる。
「仕事で知り合った、山政小山園・取締役の小山さんとは、『いつか、一緒に抹茶カフェを』と話していましたが、こんなに早く実現するとは。我ながらビックリです(笑)」


やりたいことがあるならすぐにでも動いたほうがいい
カフェを経営する今も、社員はゼロ。スタッフや経理関連など、すべて業務委託というかたちをとっている。必要なときに、必要なスキルを提供してもらう。それが、長尾さんのスタイルだ。
「皆さんよいかたばかりで、つくづく私は縁に恵まれていると思います。カフェにしても、周囲の後押しや支えがあったからこそ実現できたこと。約30年の会社人生で築いたネットワークのおかげですね。そう思うと、この年だからこそ、起業できたのかもしれません」
その一方で、「50代の1年は、若いときの1年とは違います」とも。アラフィーは、自分の体調や親の介護など、いろいろな問題が生じやすい年代。来年どんな状況にあるかわからないのだから、早めに動くのが得策だ。
「思い立ったが吉日で、勢いは大切。私も『しばらく休んでから』と考えていたら、今も会社をつくっていなかったかも。機が熟すのを待ちすぎると、食べごろを失ってしまいます。『今だ!』と思ったらすぐに収穫できるよう、準備というカゴだけは用意しておくことをおすすめします」


山政小山園・取締役の小山雅由さん(右)とは、2年前に仕事を通じて知り合い、「抹茶本来のおいしさと文化を楽しめるカフェをつくろう」と意気投合。

カフェでは、誰でもおいしい抹茶が点てられる電動茶筅、「Charaku」を使用。店頭のほか、「TZEN」オンラインショップでも販売予定。
●『ATELIER MATCHA』
東京都中央区日本橋人形町1の5の8
9:00〜18:00 無休
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