<アラフィーへのおすすめ本>人と時間のかけがえのなさをつづったエッセー集『月夜の森の梟』

アラフィー女性へのおすすめ本をピックアップ。今回は、小池真理子『月夜の森の梟』をご紹介。著者と同じく作家で夫の藤田宜永さんを亡くしてから喪失感と向き合う日々をつづったエッセー集。ほか3冊も必読。

著者の涙の結晶が、読む者の痛みに寄り添う

『月夜の森の梟』

『月夜の森の梟』

小池真理子
朝日新聞出版 ¥1,320
ともに直木賞作家でおしどり夫婦として知られた著者と藤田宜永さん。37年連れ添った夫を亡くしてから喪失感と向き合う日々をつづったエッセー集は、まるで涙の結晶のようだ。愛する人を失うのは、こんなにもつらいことなのか……。軽井沢の自然を織り込んだ文章が美しいだけに、よりいっそう、悲哀と孤独が胸にしみてくる。それでいて読後、胸の奥がポッと温かくなる。大切に思える相手と出会い、思いを共有する時間のかけがえのなさにも気づくことができるから。

四季をまとうきものの美、装いの極意

『時のあわいに』

『時のあわいに』

清野恵里子 浅井佳代子

文化出版局 ¥3,410

四季に合わせて選びぬかれたきもの、帯、帯締め……。その取り合わせの妙と、久留米絣や西陣をまとった女優たちの凛としたたたずまいに思わずため息がもれる。和の文化全般に造詣の深い文筆家が、「光の魔術師」と信頼する写真家とタッグを組み6年がかりで生み出した贅沢な一冊。

大先輩たちの回想アンソロジーで戦争を追体験

 『少女たちの戦争』

『少女たちの戦争』

中央公論新社/編

中央公論新社 ¥1,430

瀬戸内寂聴や向田邦子など、1920~30年代に生まれ日本を代表する作家や脚本家となった27人は、少女時代に始まった戦争をどう受け止め、いかに生き延びたのか。その体験を人生にどう生かしたのか。平和の価値が揺らいでいる今だからこそ、戦争のリアルを知っておきたい。

日本の未来に警鐘を鳴らすオモシロすごい超大作

『失われた岬』

『失われた岬』
篠田節子
KADOKAWA ¥2,420
北の果ての岬を目ざし、すべてを捨て忽然と姿を消す人々。ノーベル賞作家までが、「もう一つの世界に入る」と書き残し失踪してしまう。カルトによる洗脳かと思いきや、物語はしだいに深みと広がりを増し、日本の過去と現在を鋭く照射。ラストで描かれる近未来に背すじが凍る。

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