肉料理を夏らしく楽しめる「テルモン レゼルヴ・ロゼ×ローストビーフとトリュフ塩フリット」

ボトルに隠された物語を紐解きつつ、グラスを傾けるのも大人の時間の過ごし方。シャンパーニュをより楽しむヒントを、ワイン&フードジャーナリストの安齋喜美子さんがお届け!

自然とともにわが道をゆく

テルモン レゼルヴ・ロゼ×ローストビーフとトリュフ塩フリット

彼女、なぜか気になる。化粧っけはまったくなし。なのに、なぜ美しく見えるのだろう? いや、わかっているのだ。それは彼女が自分の心に忠実に、ナチュラルに生きているからだと。世間に迎合せず、でも、品行方正。わが道を凛々しく生きる姿に惹きつけられる。「テルモン レゼルヴ・ロゼ」は、そんな女性を思わせる。

「テルモン」は1912年にシャンパーニュ造りを始めた、まだ新しい生産者だ。大切にしているのは“アルチザン(職人)”と“サステナビリティ”の精神で、オーガニックでブドウを育て、生態系と環境の保護に努めながら美しい味を生み出している。造りのよさは複雑な香りにも表れ、チェリーや綿菓子のようなかわいらしさの奥から、ハーブやスパイスの香りが顔をのぞかせる。特徴的なのがトリュフの香りで、これが“フェミニンなのに、ちょっとクセあり”な印象を抱かせる。

料理を合わせるなら、トリュフ塩のフリットとローストビーフを。繊細なタンニンのニュアンスが、肉料理も夏らしく軽やかに楽しませてくれる。「なかなかやるでしょ?」と“彼女”が笑う。力強いのにエレガント。やはりこのロゼ、タダモノではない。

テルモン レゼルヴ・ロゼ

シャルドネ87%、ムニエ13%。赤い果実の凝縮感とフレッシュな酸味。ミネラル豊かで、余韻も長い。前菜や肉料理、フルーツを使ったデザートまで幅広く対応。同社のサステナビリティの精神に賛同し、レオナルド・ディカプリオが株主になったことも話題に。¥9,350/レミー コアントロー ジャパン

ワイン&フードジャーナリスト 安齋喜美子

ワイン&フードジャーナリスト 安齋喜美子

あんざい きみこ●『エクラ』をはじめ、多くの媒体で執筆。ワイナリー取材も多数。近著に『ワイン迷子のための家飲みガイド(』集英社)。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。
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