「ぎっくり腰」の引き金は前かがみの姿勢! 毎日の“ちりつも”が悲劇を引き起こす

日常のふとした動作で生じてしまうぎっくり腰。その原因は、やはり毎日の姿勢にあるようだ。ぎっくり腰が起こる詳しいメカニズムを、医学博士の銅冶英雄先生にうかがった。
医学博士 銅冶英雄先生

医学博士 銅冶英雄先生

どうやリハビリ整形外科院長。日本整形外科学会専門医。自分で腰痛を克服した体験から、体の痛みを根本的に治す医療を実践。腰痛に関する著書も多数。

前かがみ姿勢の蓄積が突然のぎっくり腰を呼ぶ

まず知っておきたいのが、背骨の構造。

「人間の背骨は、椎骨(ついこつ)と呼ばれる骨が縦に積み重なってできていて、腰は腰椎と呼ばれる5つの椎骨が積み重なっています。この椎骨と椎骨の間には、クッションのような役割をもつ椎間板(ついかんばん)という軟骨があり、中にはゼリー状の髄核(ずいかく)という物質があって、その周囲は線維輪という線維組織で囲まれています。髄核は、直立姿勢のときは椎間板の真ん中にありますが、前屈すると後ろへ、体を反らすと前へと移動して、椎間板をスムーズに動かします。このように椎間板が動くことで体を曲げたり反ったりができるのです」

そして、ぎっくり腰が起きてしまうのは、ふだんの姿勢によって、この構造にトラブルが生じてしまうから。

「日常生活では、前かがみで行う動作が多いので、人は常に腰を丸めた“前かがみ姿勢”になりがち。そしてこれが続くと髄核が後ろにずれたままになり、線維輪が徐々に傷つきます。それが積み重なると、ちょっとした動作をした瞬間に、線維輪に亀裂が入って急激な強い痛みが生じます。これがぎっくり腰。つまりぎっくり腰の原因は前かがみの姿勢を続けることで、よくいわれているような運動不足や筋力不足は関係ありません。ぎっくり腰は1カ月程で自然に改善することが多いのですが、約60%の人は、1年後も腰痛が続き、再発する人の割合も約60%。でも前かがみ姿勢を正すことで、痛みの解消もぎっくり腰の予防もできます。次の記事のストレッチをぜひ習慣に」

ぎっくり腰のメカニズム

ぎっくり腰のメカニズム

髄核が後ろにずれて線維輪に亀裂が入る
前かがみ姿勢が続くと椎間板の前側がつぶれ、髄核が後ろにずれたままになり、線維輪を徐々に傷つけていく。そして腰に大きな負担がかかったときに線維輪に亀裂が入ると、ぎっくり腰に。

Check! 心当たりありませんか? 前かがみ姿勢を呼ぶ生活習慣

□ねこ背ぎみである
□立ちっぱなし、座りっぱなしの姿勢で過ごす時間が長い
□座っているとき、ついつい足を組んでしまう
□立っているとき、どちらかの足にばかり体重をかけてしまう
□眠るとき、横向きで体を丸めて寝ることが多い
□ソファに座ってくつろぐことが多い
□スマホを手放せないストレスを感じることが多い

□ストレスを感じることが多い

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