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年齢を重ねると増える”できもの” 。イボ・ほくろ…この”できもの”放っておいて大丈夫?
アラフィー世代になるとなぜか増えるのが”できもの”。年齢を重ねるにつれ、できものができやすくなる理由とは?この”できもの”の正体は?治療法は?専門家の先生にお話しを伺いました。
知らないと怖い!50代から増え始める「皮膚疾患」【小田ユイコ×すがも小林皮フ科院長 小林道子先生対談】

小林道子先生
すがも小林皮フ科院長。昭和大学医学部卒。医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。都立大塚病院、総合高津中央病院 皮膚科医長、雨宮病院 皮膚科医長を経て、平成25年にすがも小林皮フ科開院。

小田ユイコ
シミだと思ったら違った!「シミもどき」に要注意

シミ取りレーザーから1年後、その部分に赤いシミが。これはいったい?
小田:私の知り合いがシミ取りレーザー治療を受け、その1年後にできた赤いシミ。その診断名は「日光角化症」だったそうです。日光角化症とは、どのような症状なのでしょうか。
小林先生:アラフィー世代以降の年代に多く発症する皮膚がんで、顔や手の甲など、日焼けを繰り返している部位に見られる疾患です。大きさは様々で、皮膚の表面が少しカサカサしているのが特徴。色は淡い赤みを帯びていたり赤褐色で、一見シミ(老人性色素斑)のように見えます。
小田:私の知り合いは、日光角化症は放置するとがん化する恐れがあると医師から告げられたのようなのですが、そもそも皮膚がんなのですね。
小林先生:はい、日光角化症は皮膚がんなのですが、皮膚の浅いところにとどまっているがんで、転移することはなく、きちんと治療すれば生命に問題はありません。進行すると、「有棘細胞がん」に移行します。放っておかず、早期の治療が肝心です。今は、多くの場合イミキモド(べセルナクリーム)という2011年から保険適用になった塗り薬で治療できます。日光角化症かなと思ったら、すぐに皮膚科を受診することをおすすめします。
小田:有棘細胞がんとはどのような病気ですか?
小林先生:毎日浴びている紫外線の影響、環境中の汚染物質などが引き金となり、皮膚表面の角化細胞ががん化する病気です。硬いイボ状のしこりに、潰瘍やかさぶたを伴うこともあります。放っておくと増大し、リンパ節などに転移する悪性度の高い皮膚がんなので、侮れません。
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小田の知り合いが日光角化症に。シミ取りレーザー治療を受けた1年後、赤みのあるシミが。
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イミキモド(べセルナクリーム)で、1か月治療。途中かさぶたが。
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その後1カ月休薬。薬が効き、治療は終了に。
アラフィー世代以降、シミに似た「シミもどき」に要注意
小田:日光角化症になったのは、シミ取りレーザー治療を受けたことと関係がありますか?
小林先生:1回のレーザー治療が直接的に日光角化症を引き起こすことはあまり考えられません。
この方の場合、シミ(老人性色素斑)と日光角化症が混在していたのかもしれませんね。その場合、そもそもシミ取りレーザーでは日光角化症は取れないので、表皮内に残存していた日光角化症が徐々に増大して、1年後に見つかった可能性があります。日光角化症がある場合、レーザーが刺激となり、悪化を誘発することもあるので、注意が必要です。
また日光角化症は、慢性的に紫外線を浴びることによって生じる、表皮ケラチノサイトのがん化と言われています。シミ取り後の皮膚や色白な方は、紫外線から皮膚を守るメラニンが少なく、無防備に刺激を与えたり、紫外線を浴びたりすることは、日光角化症を引き起こす可能性を高めます。
小田:今回初めて、日光角化症の存在を知りました。エクラ世代以降、日光角化症のような「シミもどき」が出る可能性は増えますか?
小林先生:年齢を重ねた肌は、若い世代にくらべ紫外線を浴びてきた蓄積が大きいので、可能性は増えます。紫外線の浴びすぎは、日光角化症以外にも、脂漏性角化症(老人性いぼ)や、基底細胞がん、メラノーマといったがんを招く原因に。いずれも一見、シミ(老人性色素斑)のように見えます。日ごろからUVケアを徹底するのはもちろんのこと、シミの治療を受ける際は、シミ(老人性色素斑)以外の疾患の可能性を知っておき、適切な治療を受けることが大事です。
治療をしても、シミが消えないのはなぜ?

小田:シミ取りレーザーで治療したのに、シミが消えないのはどのようなケースですか?
小林先生:一見シミに見えて、シミではなかった可能性があります。色が茶色いものや黒いものはなんでもシミ(老人性色素斑)だと思われがちですが、別な疾患の場合、シミ(老人性色素斑)の治療に使われるQスイッチルビーレーザーでは消えません。肝斑に間違って当てれば、シミが濃くなってしまいます。また適切ではない治療をして、皮膚がんの早期発見が遅れてしまうのが怖いですね。
小田:シミ(老人性色素斑)のようでシミではない「シミもどき」にはどのような種類がありますか?
小林先生:いくつか種類があり、それぞれに治療法が異なります。シミ治療を受ける前に知っておいて欲しいですね。
【肝斑】
両頬に左右対称にできる薄茶色のシミ。女性ホルモンの乱れや紫外線、ストレスなどが要因で、30代後半から50歳くらいまでの女性にできやすい。保険診療なら飲み薬、自由診療なら塗り薬やIPL(フォトフェイシャル)による治療法が。レーザー治療で悪化することもあるので要注意。
【脂漏性角化症(老人性いぼ)】
黒褐色の盛り上がった症状。表面が少しザラついている。紫外線の浴びすぎや、毎日のスキンケアやメイクによる刺激などが原因に。保険治療なら液体窒素療法、自由診療ならCO2レーザーで削り取る。
【日光角化症】
紫外線がよく当たる部位に発症。大きさは、数ミリ~2cm程度まで。表面が少しカサカサし、淡い赤み、赤褐色を帯びている。保険診療ならイミキモド(べセルナクリーム)の外用や液体窒素療法、外科的切除、自由診療ならCO2レーザー、電気凝固術で切除。
【扁平苔癬様角化症(LPLK)】
多角形もしくは地図状に広がり、淡紅色〜淡褐色調で、正常皮膚よりやや盛り上がった状態。かゆみを伴い、ただれることも。保険治療なら液体窒素療法や外科的切除、自由診療ならCO2レーザーで削り取る。
【黒子(ほくろ)】
盛り上がるものと扁平なものがあり、色は、多くは黒色〜黒褐色だが、淡褐色や皮膚色のものまである。扁平なものはシミと見分けがつきづらいものも。保険診療なら外科的切除、自費診療なら、幼少期からあるごく小さな黒子はCO2レーザーまたはQスイッチルビーレーザーの適応になることも。
【有棘細胞がん】
盛り上がったイボ状の病変。潰瘍やかさぶたを伴うこともあり、赤〜黒っぽい色。大きくなると悪臭を発生することも。日光角化症が、時間がたつと有棘細胞がんに移行することも。治療は外科的切除や放射線治療など。
【メラノーマ】
ほくろのがんと呼ばれ、非常に悪性な皮膚がん。メラニンをつくる細胞、メラノサイトががん化した腫瘍。通常は黒色だが、褐色〜茶色、中には淡紅色〜皮膚色のこともあり、診断が遅れることも。
・シミ(ほくろ)の形が左右対称でない
・まわりがギザギザとしている
・色に濃淡が混じっていて均一でない
・直径が6mm以上
のうち2つ以上当てはまるようなら、皮膚科専門医を受診し、総合病院、大学病院を紹介してもらう。治療は広範囲な外科的切除、放射線治療など。
【血管腫】
赤血球のために赤く見える「赤アザ」で、色は赤色〜青色まであり、柔らかな腫瘍。頬にできたクモ状血管腫は淡紅色で、シミのように見えることも。保険診療なら外科的切除、一部レーザー治療が適応に。自由診療なら電メスによる焼灼、IPL(フォトフェイシャル)など。
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脂漏性角化症と扁平苔癬様角化症が混在。
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赤みを帯びている部分が日光角化症。
50歳からのクリニック選びのポイント
小田:世の中にはたくさんの皮膚科、美容クリニックがありますが、シミとシミもどきを見分け、適切な治療ができるクリニックばかりとは限らない気がします。どうすればいいドクターに出会えますか?
小林先生:まずは皮膚科専門医がいるクリニックを選ぶこと。皮膚科専門医は、シミとシミもどきの症状の違いを見極める知識があります。できればたくさんの患者さんを診てきた経験豊富な皮膚科専門医が望ましいですね。
もうひとつ、ダーモスコピーという皮膚を観察する拡大鏡を使用しているクリニックであることも重要。肉眼より10~20倍に拡大されて病変を見られるダーモスコピーがあれば、シミなのか、肝斑なのか、いぼなのか、腫瘍なのか、血管腫なのかがかなりの確率で判別がつきます。
また個人的には、保険診療と自由診療を両方行っているクリニックをおすすめします。50代以降の混在するシミやシミもどきは、症状によって保険診療だけ、自由診療だけでは治療しきれないこともあるからです」。
50歳からのシミ治療 クリニック選びのポイント
1. 皮膚科専門医がいるクリニック
2. ダーモスコピーで診断してくれる
3. 保険診療と自由診療を両方行っている
小田:シミは、思い立ったら早めの治療がいい?
小林先生:はい、早めの治療をおすすめします。年齢を重ねれば重ねるほど、シミは濃くなり、シミもどきの発生も多くなります。シミもどきを放置してがん化を見落としてしまうと、治療が困難になる可能性があります。まずは気になるシミの正体がなんであるかを皮膚科専門医に診断してもらい、適切な治療方針を検討することから始めます。大人のシミ治療は1回で取れると思わず、長期戦で臨むことが大事です。
小田:マスクの着用がまだまだ続きそうな今は、シミ治療の始めどき?
小林先生:はい、そう思います。結果シミではなく、手術が必要な疾患だったとしても、術後のテープもマスクで隠れますからね。

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