ずっと手荒れが治らない!年齢のせい?消毒、手洗い恐怖症に陥るほどの「主婦手湿疹」、どうすれば治る?【小田ユイコ×若松町こころとひふのクリニック院長 檜垣祐子先生対談#1】
コロナ禍に陥ってから、手荒れがずっと治らない小田。しかも荒れの範囲はどんどん広がっていき、人からも「その手、どうしたの?」と聞かれるほど。皮がむけ、痛がゆく、ときにひび割れるほどの手荒れは、人生で初めて! 私ほどではなくても、手荒れに悩んでいらっしゃる方も多いはず。どうすれば長引く手荒れを治すことができるのか、以前から取材でお世話になり、大変尊敬申し上げている皮膚科専門医、檜垣祐子先生にお話をうかがってきました。
檜垣祐子先生
若松町こころとひふのクリニック院長。東京女子医科大学医学部卒。医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会、日本皮膚科心身医学会(理事)、日本心身医学会所属。東京女子医科大学女性生涯健康センター教授を経て、2017年若松町こころとひふのクリニック開院。
小田ユイコ
美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』『BAILA』などの女性誌や、WEB媒体で美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。
コロナ禍で増えた炊事、宅配段ボール箱の開封が手荒れの原因だった!
小田:コロナ禍に入った3年前くらいから手荒れが気になりだし、徐々に悪化。最初は右手の一部だったのに少しずつ広がり、両手の指と左の手のひらまで皮ムケ状態に。断続的に痛がゆくなり、気づけばぱっくりひび割れて、手の消毒は顔をしかめるほどの痛さ。手洗いすら恐怖に感じることも。
檜垣先生:それは辛いですね。治療はしたんですか?
小田:皮膚科で診てもらったら、汗疱(かんぽう)状湿疹と言われました。ステロイド配合の塗り薬を処方されましたが、塗るとある程度はよくなるのですが、いつのまにかぶり返してしまって。そんなことを繰り返しています。更年期と関係があるのでしょうか。
檜垣先生:症状を拝見する限り、汗疱状湿疹を含む、いわゆる「主婦手湿疹」ですね。似たような症状で手白癬( てはくせん ) や掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)という皮膚疾患のケースもありますので、心配なら皮膚科で診てもらいましょう。主婦手湿疹は更年期とは関係なく、炊事洗濯などの水仕事が主な原因。家庭用洗剤や水、お湯に触れることで皮膚バリアが弱まり、刺激が肌の内部に入り込んで炎症を起こす。これを繰り返すことで起こる症状です。小田さんは水仕事をよくなさいますか?
小田:確かに、コロナ禍になって在宅時間が増え、朝昼晩と3食夫と食事をすることも多く、料理の回数が増えました。また、家にいると家のあちらこちらの汚れが気になり、掃除に凝ったことも。できる限りゴム手袋をするようにしていたのですが、ちょっとした洗い物など、素手でやってしまうことも。
檜垣先生:コロナ禍でそのような女性は増えたんですよ。また宅配で買い物をすることも増え、段ボール箱を開ける機会も増えました。段ボールは手の水気を奪いますし、硬いものを扱うとそれだけで刺激になります。
小田:仕事柄、化粧品などの運搬で段ボールをふだんから扱うことが多いのですが、そういえばコロナ禍でさらに触れる機会が増えました。
檜垣先生:さらには、あちらでもこちらでも手の消毒や手洗いを求められ、アルコールや洗浄剤の成分が刺激に。コロナ禍は、一度手荒れを起こしてしまうと、治りにくく、長引きやすい環境なのです。
水気をきっちりふき取るべし。おすすめは30枚の「タオル作戦」
小田:手荒れがひどいときは飛び上がるほどしみるので、アルコール消毒や手洗いは、恐怖に感じるほどになりました。日にもよりますが、お風呂も怖い。症状が悪化しているときは手袋をしないとシャンプーもできないほどです。
檜垣先生:それは困りますよね。もう、この際、一気に治しちゃいましょう!
小田:え、治りますか? かれこれ3年、ステロイド剤を塗ってもぶり返し、漢方薬を処方していただいて少しよくなっても継続できず、お手上げ状態だったんですが。
檜垣先生:大丈夫、治りますよ。ステロイド剤は1日2回ほど塗っていただくとして、そのほかに「タオル作戦」を試してみてください。ハンドタオルを30枚用意。手が濡れたときは、それで拭くんです。
小田:30枚も!? そんなに必要ですか?
檜垣先生:手を拭くタオルは完全に乾いていることが重要。湿っていると吸水性が落ちてしまうので。主婦手湿疹の方の多くは、炊事の合間、そのへんにぶら下げたタオルでチャチャッと手を拭いていらっしゃる。手は湿ったままだと皮膚バリアがくずれ、外部刺激が侵入しやすくなり、炎症のもととなるのです。
小田:あー、やってます、湿ったタオルでのチャチャッと拭き(笑)。それにしても、30枚も必要とは。
檜垣先生:そのうち、使うのは10枚でも20枚でもいいのです。いつでも乾いたタオルで拭ける状態が大事。これを実行しただけでひどい手荒れがよくなり、「人生でいちばん手がキレイになった」と喜んでいらっしゃる60代の女性もいらっしゃるんですよ。おうちにある小さいタオルをかき集めて、かごにでも積み上げてみてください。
小田:わかりました、トライしてみます!
檜垣先生:それと、使ったお鍋を洗ったあと、手をチャチャッと拭いて冷蔵庫を開け、野菜を出して洗い、結果濡れた手のまま調理を続ける、などという行動を、料理の最中繰り返していませんか? これは荒れた手にとって、非常にNG。洗い物はまとめて行うようにしてくださいね。
小田:私の行動を、先生に見られているみたい(笑)。まさしくそんな手順でやってます。手袋もはめたり外したりが面倒になり素手で。なるほど、これを朝昼晩繰り返していたら、手が治る隙がないわけですね。
手を守るためのグッズはいろいろ揃えておくと便利
小田:ところで乾いたタオルで手を拭いたあとは、ハンドクリームを塗ったほうがいいのでしょうか。ハンドクリーム選びのポイントはありますか? また、外出先で手を洗わなければならないときはどうしたらいいでしょうか。
檜垣先生:アルコールフリーでしみたりせず、快適に使えるものなら塗ったほうがいいでしょう。海外製に多いチメロサールという成分や香料にかぶれてしまうことがあるので、注意してください。また、外出先での手洗い用に、極力刺激が少ないマイソープを探して持ち歩くのはいかがでしょうか。
小田:何か作業をするときは、できるかぎり手袋をしたほうがいいんですよね? 手袋はどんな素材のものがいいですか?
檜垣先生:ゴムで荒れてしまう人は、ラテックスフリーの手袋がいいですね。ひび割れなど傷がある場合は、ばんそうこうではなくキズパワーパッドなどハイドロコロイド素材のものがおすすめ。一般的なばんそうこうはノリの成分が刺激になってしまう可能性があります。また水の侵入を防ぐのに、医療でも使われているドレッシングテープという薄くて透明でピタッと一体化するテープを活用するのも手。こちらもAmazonなどで市販されています。
小田:「タオル作戦」を含め、手のためにいろいろ準備しておけば、サッと対応できますね。ひとつひとつ実践してみたいです。
檜垣先生:刺激を少なくし、炎症の芽をひとつひとつ摘んでいくのは、主婦手湿疹を治すのに大切なことです。さらに、小田さんにぜひ実践してみていただきたいことがあるんです。それは根本から主婦手湿疹を治す方法で、もしかすると完治に向けていちばん近道かもしれません。
小田:え~っ?それはどういう方法ですか? とても気になります!
今回、長引く手荒れは主婦手湿疹だったことが判明。しかも、根本から治す秘策があると檜垣先生。気になるその方法は、次回#2でお伝えします。3年も患った手荒れから解放されるかもしれないと思うと、それだけで明るい気持ちに。30枚の「タオル作戦」の結果も含め、小田の手がどうなったかもお伝えします。どうぞお楽しみに!
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