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50代 更年期世代の寝汗は「就寝中のホットフラッシュ」どうしたらいいの?原因と対策まとめ【小田ユイコ×野崎ウイメンズクリニック院長 野崎雅裕先生対談】

野崎雅裕先生

小田ユイコ
更年期世代の寝汗は「就寝中のホットフラッシュ」

小田:最近、夏でもないのに寝汗がひどいんですが、なぜでしょうか。
野崎先生:小田さんは56歳ですよね? だとすると更年期症状の可能性が高いです。
小田:寝汗も更年期のせい? ホットフラッシュならわかるのですが。
野崎先生:小田さん、更年期症状の場合、寝汗とホットフラッシュは同じなのです。ホットフラッシュは日中だけでなく、寝ているあいだにも起こります。寝汗をかくのは、主に首ですよね。となるとホットフラッシュの可能性大。ホットフラッシュは、胸より上に発汗があるのが特徴。胸、首、頭がぐっしょり濡れるくらいに発汗します。
小田:なんと、ホットフラッシュだったんですね! 私は51歳で閉経して、そろそろ更年期症状は卒業なのだとばかり思っていました。今さら、そんな症状が出るなんて……。
野崎先生:更年期は閉経前5年、閉経後5年、計10年というのが定説ですが、長年女性の診療を行ってきて、実際は閉経前10年、閉経後10年、計20年が正しいと思っています。50歳が平均的な閉経の年齢ですから、40歳から60歳が更年期と考えたほうがいいのです。実際は65歳くらいまでなんらかの更年期症状が続くことが多いです。
小田:え〜っ! まだまだ続くんですか?更年期。


寝汗は「長いPMS=更年期症状」のアラームサイン
野崎先生:寝汗、つまりホットフラッシュは、老年期に入れば落ち着いてきますが、個人差があり、70代になっても悩まされる人がいます。ホットフラッシュは、女性ホルモン減少による自律神経の乱れが原因。女性ホルモンが少なくなったことで50代以降に起こるさまざまな更年期症状、たとえば気力や意欲の低下、関節痛、骨密度の低下による骨折、血管の硬化による血圧の上昇、認知症前段階であるMCI(軽度認知障害)など、さまざまな更年期症状のアラームサイン。寝汗を我慢してやり過ごすのでなく、更年期にきちんと向き合うタイミングが来たのだと考えてみてください。
小田:そもそも更年期になると、なぜ胸から上にばかり汗をかくホットフラッシュが起こるのですか?
野崎先生:女性ホルモンが少なくなると、脳の視床下部が興奮し、ホルモン分泌をつかさどる下垂体から「もっと女性ホルモン、出てよ」と卵巣に指令を送ります。更年期になると卵巣は萎縮が始まり女性ホルモンの分泌は少なくなりますから、視床下部は常に興奮状態に。視床下部は自律神経の中枢なので、そのような興奮状態だと交感神経、副交感神経のバランスが乱れてしまうのです。月経前はホルモンバランスの乱れでイライラ、うつうつとするPMS(月経前症候群)に陥りますが、更年期は「長いPMS状態」のような状況なのです。
小田:寝汗をかいたときは、夢を見ていることが多く、うなされて汗をかいているのかと思ったことも。
野崎:睡眠は、深い眠りのノンレム睡眠と、浅い眠りのレム睡眠を繰り返しますが、寝汗をかくときは視床下部が興奮状態なので、レム睡眠のときに起こっているはず。夢を見るタイミングと同じなのです。
小田:寝汗をかかないようにするには、どうしたらいいのでしょうか。
野崎先生:すぐに自分でできることといえば、日中にウォーキングや軽いジョギングなど、うっすら汗をかくくらいの有酸素運動がおすすめです。ゆっくり眠ることができます。また、お風呂にゆっくりつかってリラックスするのもいいですね。ただし、寝る直前でなく、1~2時間前までに。深部体温が下がり、眠気が誘発されて、質のいい睡眠につながります。それでもよくならない場合は、我慢せずに医師に相談して。寝汗には甲状腺の異常など、ほかの疾患の可能性もあります。婦人科にかかれば、検査をしたうえで、更年期症状を軽くする治療法があります。
小田:ぜひ詳しく教えてください!
更年期症状「寝汗」の根本治療とは?
寝汗を含む更年期症状には「天然型女性ホルモン」によるHRT療法を
小田:小田の寝汗の真相はホットフラッシュで、更年期症状のアラームサインだと教えていただきました。56歳になって、今さらではありますが、更年期にきちんと向き合おうと思います。
野崎先生:それは、とてもいい考えです。女性の人生は、まだまだこれからですから。そんな小田さんや、更年期世代のみなさんに提案したいのがHRT療法。HRTは、Hormone Replacement Therapyの略で、卵巣の機能が低下して分泌が低下した女性ホルモンを、ほんの少しだけ補充する治療です。
小田:HRT療法は、今から10年ほど前に日中のホットフラッシュに悩まされたとき検討しましたが、乳がんや子宮体がんなどのリスクを知り、受けるのを断念しました。
野崎先生:乳がんや子宮体がんのリスクは、長らくHRT療法のネックとなってきましたが、天然型の女性ホルモンを使えるようになってから、それらのリスクが軽減されたんですよ。たとえば胃がんや大腸がんになる可能性は、誰もがゼロではありませんよね。それと同じくらいになったということです。
小田:天然型の女性ホルモンとそれまでの女性ホルモンでは、どう違うのですか?
野崎先生:小田さんの卵巣が以前分泌していたのと同じ構造をしているのが天然型の女性ホルモン。ひと昔前のHRT療法は、ピルのような合成型ホルモンが主流でした。女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)がありますが、10年ほど前から天然型エストロゲンによる治療が本格化し、昨年末から天然型プロゲステロンも使えるように。昨年11月から保険適用になりました。
小田:知りませんでした! 天然型プロゲステロンの登場で、何が変わったのですか?
野崎先生:天然型とはいえ、エストロゲンだけを投与すると子宮内膜症のリスクが上がり、子宮体がんを招きかねません。子宮を守るためにはプロゲステロンの投与が欠かせないのですが、合成型プロゲステロンは乳がんのリスクが報告されています。しかし天然型プロゲステロンが日本で認可されたことで、乳がんのリスクもHRT療法を受けていない人と同じになったのです。
小田:それは画期的ですね! 乳がんや子宮体がんのリスクがHRT療法を受けていない人と同じなら、ぜひ受けてみたいです。
野崎先生:ちなみに、子宮筋腫などの病気で子宮を取った方は、プロゲステロンの投与は必要ありません。HRT療法を受ける場合、エストロゲンのみの投与となります。

HRT療法は閉経後にスタートしてもよいが、閉経前の45歳くらいから始めるのがおすすめ
野崎先生:天然型女性ホルモンによるHRT療法では、まずは血液検査を行い、甲状腺の病気などほかの病気が隠れていないかを調べます。そして事前の卵巣がん、乳がん、子宮がん検診は必須です。天然型女性ホルモンによるHRT療法を導入している女性クリニックでは、事前にこれらの検査を行っています。当クリニックでは、その後も1年に一度、定期的な検診をお願いしています。また、喫煙や肥満がある人は血栓症のリスクが高く、注意が必要です。乳がんや脳卒中、心筋梗塞にかかったことがある人は、HRT療法を受けることができません。
小田:HRT療法を受けると、どのような変化がありますか?
野崎先生:まず寝汗など、ホットフラッシュからおさまっていきます。ぐっすり眠れるようになるので、慢性的な疲労も取れ、不安やイライラも軽減。HRT療法を受けた多くの患者さんが「別世界のよう」とおっしゃいます。
目に見えるところでは肌がみずみずしくなり、ハリやつやがよみがえります。抜け毛が減り、髪がしっかりしてくる方も多いです。実感できる部分だと肩こりや頭痛、手足の冷えや手指のこわばりなどが減って、日々の生活が楽に。デリケートゾーンの不快感や性交痛も緩和されます。目に見えないところでは、骨粗しょう症や高血圧、高コレステロール、認知症の予防に。
小田:更年期以降あたりまえになり、もう仕方がないこととあきらめていた症状ばかりです。HRT療法には、飲み薬が処方されるケースと、塗り薬、貼る薬が処方されるケースがあると聞きます。どのように違うのですか?
野崎先生:天然型エストロゲンには飲み薬、ジェルなどの塗り薬、下腹部などに貼るシール状の薬があります。飲み薬で胃腸がムカムカする人、肝臓に負担をかけたくない人には塗り薬や貼る薬を処方します。アルコール分などの刺激に肌が弱い人には飲み薬がおすすめです。天然型プロゲステロンは、今のところ飲み薬しかありません。
小田:私は56歳ですが、HRT療法は何歳くらいから始めるのが適切ですか?
野崎先生:更年期症状の重い、軽いにかかわらず、45歳くらいから始めるのがおすすめです。といいますのも、そのころから気づかぬうちに骨密度の低下や血管の硬化が起こるからです。エストロゲンが減り始めるこのころから始めていれば、50代から増える骨折や血圧の上昇などを予防することができます。
小田:HRT療法を始めた場合、薬は毎日? いつまで続けることになるのでしょうか。
野崎先生:HRT療法には周期的投与と連続投与があります。周期的投与は閉経前後の女性に用いる方法で、エストロゲンを先に飲み始め2週間してからプロゲステロンを併用し、その後休薬期間を設けて月経を起こします。小田さんのように閉経している方には、連続投与といって、飲み薬の場合エストロゲンとプロゲステロンを1日1回服用します。
止めるタイミングは人それぞれですが、当クリニックでは70代でも少量で飲み続け、健康維持に役立てていらっしゃるかたもいます。寝汗など更年期症状が緩和されたからとすぐにやめてしまうと、また症状がぶり返してしまいます。ただ、HRT療法が体に合わない、あまり効果が感じられない、薬がなくても大丈夫と思った場合は医師と相談し、いつでも止めることは可能です。ホルモン補充療法ガイドライン(2017年度版)では、「ホルモン補充療法の投与継続を制限する一律の年齢や投与期間はない」とされています。
小田:天然型の女性ホルモンによるHRT療法の乳がん、子宮体がんを恐れすぎる必要がなくなったことはわかりましたが、その他の副作用はありますか?
野崎先生:不正出血や乳房の張りや痛み、胃のむかつきや吐き気が現れることがあります。しかし、1か月から3か月程度で治まることがほとんどです。不正出血が続く場合は、薬の投与方法を変更したり、ほかの病気が隠れたりしていないか調べます。


寝汗などの更年期症状緩和には漢方薬を使う手も
●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
竹久夢二の美人画に出てくるような線が細くて体力が弱い人=「虚証(きょしょう)」に向いている。冷え性、貧血、疲れやすさ、おなかをこわしやすい。
●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
ミロのビーナスみたいに筋肉が充実して比較的体力がある人=「実証(じっしょう)」に向いている。肩こり、頭痛、めまい、のぼせ、便秘がち。
●加味逍遙散(かみしょうようさん)
上記の「虚証」と「実証」のどちらでもない人=「中間証(ちゅうかんしょう)」に向いている。
のぼせ、肩こり、疲れやすい、不安、イライラ。
小田:今回、寝汗が更年期症状によるホットフラッシュだったこと、HRT療法が進歩していたことなど、知らないことばかりでした。
野崎先生:小田さんのように、日々の辛さを更年期症状だと思わず我慢してしまう方は多いのです。自分の体の変化をよく理解して、HRT療法や漢方など治療という選択肢があることを知っていただきたいですね。それは、70代、80代、90代と年齢を重ねたときの健康と美しさを今から守る手段でもあるのです。
今回の取材でHRT療法を初めて受けてみようと思った小田。東京在住の小田は、残念ながら福岡の野崎先生のクリニックに通うことができないため、都内の女性クリニックにさっそく予約を入れました。HRT療法で寝汗やその他の更年期症状がどうなったか、後日この連載でご報告したいと思います。
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