50代がかかりやすい「帯状疱疹」ってどんな病気? どのくらい痛い? なぜかかる?

エクラ世代からかかる人が急増する皮膚の病気「帯状疱疹」。症状やなぜ発症するのか、どんな人がかかるのか、皮膚科医の松尾光馬さんが詳しく解説。

どんな症状なの?

どんな症状なの?1

皮膚に痛みや違和感が現れ水膨れを伴う発疹が発生

頭やおなか、腰などにチクチク・ピリピリとした痛みや違和感が生じる。軽いしびれから「針で刺されたような」痛みまで症状や程度には個人差があるが、多くは痛みを伴う赤いぷつぷつとした発疹が現れ、水疱、かさぶたに変化していく。重症例では発疹が帯状となる。皮膚症状は3週間程度で治るが、痛みだけが長い間残る場合もある。

どんな症状なの?2

上半身や顔、頭など体の片側にできる

体の左右どちらか片側にでき、頭や顔、胸、おなかなどが多い。神経の走行に沿って帯状に発疹が出ることが多く、顔や耳など場所によっては合併症を招くことも。

なぜ発症するの?

なぜ発症するのか?

体内に潜伏している水ぼうそうウイルスが活性化して暴れ出す

帯状疱疹は言わば水ぼうそうの「再発」。子供のころなどに水ぼうそうにかかると、ウイルスはその後も脊髄や三叉(さんさ)神経(痛みを脳に伝える神経)の根元付近に潜み続ける。ふだんは免疫力で抑えられているが、加齢やストレスなどで免疫力が低下すると活動が活発になり、増殖して神経に沿って皮膚近くまで移動して、炎症を起こす。

どんな人がかかるの?

どんな人がかかるの?

水ぼうそうにかかったことがあり加齢やストレスで免疫力が落ちている人

水ぼうそうウイルスをもっている人なら誰でもかかる可能性があるが、加齢やストレス、病後などで免疫力が下がっていると特にかかりやすい。また糖尿病や膠原病、慢性呼吸器疾患などの持病があったり、免疫抑制剤を服用している人も高リスク。理由は明らかではないが、男性に比べて女性は1.4倍かかりやすいというデータも。

水ぼうそうウイルスが活性化することで発症

皮膚科医 松尾光馬さん

皮膚科医 松尾光馬さん

中野皮膚科クリニック(東京・中野)院長。東京慈恵会医科大学非常勤講師。ヘルペスウイルスに詳しい。帯状疱疹、アトピー、ニキビなどの皮膚疾患から美容皮膚科まで対応。

80歳までに3人に1人が経験するといわれる帯状疱疹だが、「まだまだこの病気を知らない人も多いです」と松尾さん。

帯状疱疹は水ぼうそうと同じウイルスが原因で起こる病気で、そのウイルスはエクラ世代なら9割以上の人が体内にもっています。免疫が適切に働いているときにはウイルスの活動が抑えられていますが、加齢などによって免疫力が下がると活動が活発化して増殖、神経に炎症を起こす帯状疱疹になります。

まったく痛みがない人もまれにいますが、多くは初めにピリピリ・チクチクなどの痛みが起きて、その後に発疹ができます。先に痛みだけが起きるので帯状疱疹であることに気づかないかたも多く、中には腰痛かと思って整形外科を受診したら帯状疱疹だった、というかたも。痛みが長く残ってしまったり、顔面神経麻痺や脳炎などの重篤な合併症が起こることもあるため、サインを感じたらできるだけ早く受診し、しっかり治しきることが大切です。

ちなみに、50代以降に急増する帯状疱疹ですが、最近は30~40代の罹患も増えています。子供が水ぼうそうにかかると親はその際に水ぼうそうウイルスに接触するため、ワクチンを打つのと同じブースター効果(追加免疫効果)が得られていました。でも’14年から水ぼうそうワクチンが定期接種になったことで水ぼうそうにかかる子供が減り、子育て世代が追加免疫を得られなくなったことが原因と考えられています」

定期接種導入(2014年)前後の帯状疱疹発症数・発症率の比較(宮崎スタディ)

50歳から発症数・発症率ともに一気に増加。60~70代でピークを迎える

グラフ
外山望、白山公康、臨床皮膚科2019:73(5):188.より引用・改変
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