【俳優・片岡愛之助さんインタビュー】映画『キングダム 運命の炎』で主人公の運命を脅かす敵役を熱演

映画『キングダム 運命の炎』で主人公の前に立ちはだかる敵軍の副将・馮忌(ふうき)を演じた片岡愛之助さん。圧倒的な強さを表現するために気をつけたこととは?

敵役が手ごわいほど主役が輝き物語も盛り上がるんです

片岡愛之助
ジャケット¥19,800・パンツ¥13,200 /ユニオンステーション バイ メンズビギ シャツ¥11,000 /クラウデッド クローゼット越谷レイクタウン店(クラウデッド クローゼット)
映画『キングダム 運命の炎』の試写で不覚にも泣いたという。片岡愛之助さん自身も出演していたのに?

「がんばれ、危ない! そこだ、行け!と、気づいたら主人公側を応援していました。どっちの立場で見てるのか(笑)」

シリーズ3作目となるこの作品で愛之助さんが演じたのは趙軍の副将・馮忌(ふうき)だ。そのずば抜けた軍才で、天下の大将軍になるという夢を抱く主人公の少年・信(しん)の前に立ちはだかる。

「まず馮ふうき)って読めます?(笑)。ほかにも読み方がわからない名前が多いですよね。馮忌は原作ではそこまでフィーチャーされていない人物ですが、今回は秦軍を脅かす趙軍の知将として登場します」


どこまでも続く広大な平原。何千何万という人馬がもうもうと土煙を上げ、馮忌将軍のもとに集まってくる。対する秦軍は形勢不利な状況ながらも、信が率いる少人数の飛信隊は馮忌自身にねらいを定めて一点突破を試みる。と聞いてイメージしたのは、京の五条の橋の上で大柄で強い弁慶にひらりと跳びかかった牛若丸の伝説だ。

「まさにそういう戦いなんです。少年が強大な敵を次々に倒して成長していく……、これは日本だけでなく世界中から愛される物語だと思うんです」

となると、敵は主人公の運命が危ぶまれるほど、めちゃくちゃ強くて大きいほうが盛り上がる。

「僕の役割もそこが肝だと思って演じました。圧倒的な強さを醸し出したいので、とにかく動かない、キョロキョロしない、感情をあらわにしないようにしました。実は撮影に入る前は馬に乗って駆ける稽古もしていたんですけど、実際には現場ではひたすらじーっとしていましたね」

そして馮忌将軍は異様なほどの用心深さで秦軍を脅かす。

「僕とは真逆です。あちらは石橋を壊れるまで叩いてみる人。僕は石橋は跳んででも渡れというタイプ。トントントンッと(笑)」

愛之助さんのホームである歌舞伎でも、石川五右衛門や『東海道四谷怪談』の民谷伊右衛門、『女殺油地獄』の河内屋与兵衛など、時代物から世話物まで数々のダークヒーローを演じてきた。

「どんな惨殺事件も歌舞伎では錦絵のように美しく描かれます。『油地獄』の与兵衛にむごたらしく殺されるお吉にすら、息をのむような色気があるんです。映像で女優さんが演じるとリアルに苦しそうな顔をしますよね。歌舞伎では女性の役を女方の男性が演じますから、顔をしかめて苦しんでも美しく見えない。父(二世片岡秀太郎)にいわれたのは『刺されたときこそ一番気持ちよさそうな顔をしなさい。そうすると美しく見える』と」と、極意を教えてくれた。

片岡愛之助

片岡愛之助

かたおか あいのすけ●’72年大阪府生まれ。十三世片岡仁左衛門の部屋子を経て二世片岡秀太郎の養子に。『女殺油地獄』など上方和事から荒事、『義賢最期』のような時代物、新作歌舞伎のほか、翻訳劇やミュージカルなど幅広く活躍。映画『仕掛人・藤枝梅安』、ドラマ『半沢直樹』などにも出演。11月より日本テレビ開局70年記念舞台『西遊記』に主演する。

Information
『キングダム 運命の炎』

『週刊ヤングジャンプ』連載の人気コミックの実写版映画。紀元前の中国春秋戦国時代の若き風雲児たちを壮大なスケールで描く。シリーズ3作目では、夢に向かって進む信と、中華統一を目ざす嬴(えいせい)たち秦軍の前に趙国軍という新たな脅威が現れて……。全国公開中。

キングダム
©原泰久/集英社  ©2023映画「キングダム」製作委員会
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