東京エディション虎ノ門 で出会う、 “日本のテロワール”の新しい魅力

日本のテロワールにフォーカスし、特定の地域の食材の魅力を浮かび上がらせているのが、東京エディション虎ノ門「The Jade Room + Garden Terrace」の「テロワール・日本」のプログラムだ。美しさの奥に優しさを感じさせる料理について、”最強チーム”が語ってくれた。
スタイリッシュでモダンな印象ながら、豊かなグリーンの植物に彩られたロビーが、どこか”都会のオアシス”を思わせる。「マリオット・インターナショナル」のトップブランド「東京エディション虎ノ門」は2020年のオープン以来、クールさと自然の優しさを感じさせるラグジュアリーライフスタイルホテルとして、感度の高いホテル・フリークたちに支持されてきた。

その一翼を担い、多くの美食家たちを魅了しているのがホテルのシグネチャーレストラン「The Jade Room + Garden Terrace (ジェイド ルーム + ガーデン テラス)」だ。
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モダンでラグジュアリーな印象のダイニング。東京タワーの夜景も「The Jade Room + Garden Terrace」ならではの楽しみ。
有名シェフのトム・エイキンズ氏がパートナーシェフとして指揮を執り、ミシュランの星付きレストランで活躍したリチャード・マクレラン氏がシェフ・ド・キュイジーヌとして厨房に立つ。

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(左から) シェフ・ド・キュイジーヌのリチャード・マクレラン氏、パートナーシェフのトム・エイキンズ氏、ヘッドソムリエの矢田部匡且氏。それぞれが”世界”を熟知しているが、食材やワインに対する”ピュアな視線”に驚かされる。
世界中の料理を熟知する彼らが生み出すのは、和と洋のコラボレーションによるコンテンポラリーな料理の数々。だが、特筆すべきは、その皿の中には、日本の四季が確実に映し出されていることだろう。旬の味に加え、地方の食材が使われていることも多い。2人のシェフの高い美意識と素材を見る確かな目、そして熟練の技を通した一皿は、他のコンテンポラリー・キュイジーヌとはひと味違い、ナチュラルな自然の息吹を感じさせる。

エイキンズ氏は言う。
「日本を訪れてからは発見の連続です。日本には四季があり、旬ごとの素材がある。しかも、その素材は一瞬にして儚く終わってしまう。その”一瞬”を皿に映したいと思いました」。

エイキンズ氏の初来日は10年前のこと。その時、日本ならではの季節ごとの食材に魅了され、同時に、日本料理の料理人たちが食材に敬意を払うその姿に感銘を受けたという。

「尊敬を持って人やものに接することが日本の文化においてとても重要で浸透しています。幼い頃から教えられ、第二の天性のようになっており、それが感謝や職業倫理につながっています。今、日本で時間があるとリチャードとともに地方へ素材探しに行くこともあるのですが、生産者の皆さんの真摯な仕事ぶりには頭が下がります。日本のキッチンにいるリチャードがうらやましい」と笑顔をみせる。

「日本の地方の食材には、いつも新しい発見があります。最近のお気に入りは花わさびなのですが、これを料理にどう取り入れようか、考えるとワクワクします。野菜ひとつにしても地方によって味も違いますし、肉ならブランド豚や牛など、地方ごとに名産がある。果物にもイチゴやサクランボなど、興味を引かれます。生産者の思いを大切にしつつ、このレストランならではの料理を作りたいと思っています」とマクレラン氏。

この言葉を受け、エイキンズ氏が言う。
「彼は、日本のテロワールを尊重し、日々、素材と向き合っています。そして、彼ならではのクリエイティブ・マインドで料理を生み出している。頼もしい限りです」。

2人のシェフの日本食材への熱い思いから誕生したのが「テロワール・日本」のプロジェクトだ。日本各地の食材を使用し、日本ワインとのペアリングが楽しめるプログラムだが、
「余市」や「宮城」など特定の産地にフォーカスし、その土地ならではの魅力を探っていくという。
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「テロワール・宮城」から、料理の一例。前菜の「宮城県産帆立、えんどう豆、キャビア」。宮城の海や大地の景色が浮かぶような一皿。
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「テロワール・余市」から、デザートの「余市産さくらんぼ、豆腐、ピーナッツ」。甘酸っぱいさくらんぼに、甘く仕立てた豆腐を合わせて。ピーナッツのサブレがアクセント。
 このプログラムをワインで支えるのが、ヘッドソムリエの矢田部匡且氏だ。休日には日本のワイナリーを巡り、生産者の思いをゲストに届けている。数あるワインの中から選ぶのは、”造りがきれいで、重すぎないワイン”だという。

「The Jade Room + Garden Terraceの料理は、素材の味わいが際立って、とても軽やか。全体的に優しく、繊細な味わいの日本ワインはエイキンズシェフの料理によく合います。ただ、ワインによって個性が違うので、それぞれのワインの酸や果実味などの特徴を見極めて、どの料理にどう合わせるかを考え、互いの魅力を引き立たせたいと思っています」。
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「ファットリア・アル・フィオーレ」は「テロワール・宮城」で登場。宮城県川崎町で造られるナチュラルな味わいのワインで、まだ”知る人ぞ知る”存在のワイン。
矢田部氏は、「テロワール・日本」の大きな魅力は”ディスカバリー”にあるという。地方の豊かな食材を”発見”し、日本ワインの造り手たちの思いを”発見”してほしいと語る。

だが、このプログラムの面白さは、日本の風土が生み出す美味に出会えるだけでなく、シェフやソムリエが、地方の食材やワインと出会った時の感動がそのまま伝わってくるところにもある。その感動に触れることこそが、新たな美食の扉となるに違いない。

「The Jade Room + Garden Terrace」
東京都港区虎ノ門4-4-1 東京エディション虎ノ門31F
☏03-5422-1630

The Jade Room
ランチ:水曜日-日曜日12:00 – 16:00 (最終着席13:45 L.O 14:00)
ディナー: 水曜日-日曜日 17:30 – 23:00 (最終着席20:45 L.O 21:00)
休 月曜、火曜

Garden Terrace
水曜日-日曜日 12:00 – 23:00 (L.O フード21:00, L.Oドリンク22:30)
※「テロワール・日本」は今後も定期的に開催予定、HPのチェックを。
取材・文/安齋喜美子

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