「この小さなエリアに、これだけの酒蔵があるのは興味深いですよね」と話すのは、市内で『魚酒場 よしだ屋』を営む吉田英哉さんだ。『よしだ屋』では、山陰地方の純米酒を紹介している。
「温度を上げると、味に広がりが出て滋味が深まる。ぜひ燗酒で」と、吉田さん。
出雲市駅から徒歩5分、アーケード商店街内という好立地。試飲・直売所を備えた街に開かれた酒蔵は、大社町『古川酒造』(現閉業)から「八千矛」の醸造を引き継いだ、由緒ある蔵でもある。現在の杜氏・副杜氏が就任した’10年から、生酛(きもと)造りを復活。地元産を中心とした酒米と北山山麓の地下水を使い、蔵つきの酵母でじっくりと発酵させる酒は、力強いうま味があり、幅広い料理に寄り添う。
「純米吟醸 八千矛」¥2,420
大正15年に建てた蔵で、今も酒を醸している
(右)「生酛純米十旭日(改良雄町70 R3BY)」・(左)「純米原酒十旭日(改良雄町70)」ともに¥1,760(すべて720㎖)
3年前にリニューアルした直売所。蔵で使っていた樽の木材でセラーを造るなど、“昔ながらの酒蔵”の風情を感じられるもともとの姿に戻した。店内では試飲もできる(有料)
醸造施設内。土の壁、木の柱など「呼吸する建材」を今も残している
DATA
島根県出雲市今市町662
☎0853・21・0039
直売所10:00~18:00
不定休
『旭日酒造』と同じアーケード商店街内で10年前に開業。釣り人で料理人、日本酒にも造詣が深い吉田英哉さんがカウンターに立つ居酒屋は、地元はもちろん、県外の酒蔵、酒販店からも信頼が厚い。「最近は、県外から燗酒を飲みにこられるお客さまも増えて」と、うれしそうに話す吉田さん。どっしりとして酸味のある山陰の酒と、出雲近海で揚がる旬魚のひと品の宿命的な好相性、ぜひ体験されたし。
刺身おまかせ盛り合わせ(1~2人分)¥1,480。イカの沖漬け¥1,100(売り切れしだい終了)。コクと酸味のある山陰の酒を熱燗で
魚愛にあふれる吉田さんは、この夜の営業の翌日も朝4時から漁へ
地元出雲人にも人気のお店
DATA
島根県出雲市今市町中町1346中野テナント1F
☎0853・24・2011
17:00~21:30LO
定休日:日曜
世界のバーホッパーを魅了する東京・新宿のバー「ベンフィディック」で修業時代をともにした高梨寛実さん、美澄さん夫妻が昨年8月にオープン。「酒は土地の自然と文化の表れ」と、その起源や歴史を探求する師に倣い、島根の酒、素材で、土地の歴史の奥深さや自然の豊かさを表現するカクテルを提供。日本一の繁盛店で鍛えた味づくりの技も確か。旅の目的地になるバーだ。
「奥出雲バラカクテル」¥1,650。ボリビア産蒸留酒・シンガニがベース
地元の歓楽街の一角
「山椒氷のカクテル」¥1,760。すべて地元の素材で
“和のグラッパ”として、近年製造する蔵が増えている日本酒の搾りカスが原料の蒸留酒。写真は「月山(がっさん)」で知られる安来(やすぎ)市『吉田酒造』の「リゾッパ」。「酸味のキャラクターがユニークでアロマティック」と、高梨さん
「柳蔭(やなぎかげ)」¥1,100。日本最古のカクテルといわれ、「リゾッパ」とみりんで作る。キレのあるドライなカクテルだが、後味にほのかな日本酒の甘味がある
DATA
島根県松江市伊勢宮町537の50
☎︎0852・33・7266
18:00~24:00(最終入店)
定休日:水曜
大社の門前で52年続くそば店で、現在は二代目、三代目が店を守る。11年前に改装した店は、高い天井に大社の祝凧の装飾など、しつらえからも出雲を感じられるすがすがしい空間だ。漆器で供される割子そばと、ゆで上げをそのまま器に盛る釜揚げの2種。割子は1段から頼めるのがうれしい。裏手にオープンした『田中屋分店』では、そばにまつわる雑貨や出雲の工芸品などを紹介。
田中俊樹さん。地元酒蔵の同世代の後継者らとタッグを組んでイベントなども行う
有田焼「渓山窯」とコラボレーションして作った『田中屋』限定のそば猪口(ちょこ)。稲佐の浜や鶴・亀など、出雲にちなんだモチーフが描かれている。右は瞬間冷凍手打ち出雲そば4人前セット¥3,640
左が「釜あげおろしそば」¥850、右が「割子そば」(2段)¥600
分店ではオリジナルブランド商品も
DATA
島根県出雲市大社町正面鳥居前
☎0853・53・2351
11:00~16:00(そばがなくなりしだい終了)
定休日:木曜
出雲大社の御神酒として知られる清酒「八千矛(やちほこ)」。御祭神の別称・八千矛の名を冠したこの酒は、現在、「十旭日(じゅうじあさひ)」で知られる『旭日(あさひ)酒造』が醸している。「見えないものに守られ、見えないものとともに」と、酒造りの信条を話す蔵の長女で副杜氏(とうじ)でもある寺田栄里子さん。「見えないもの」とは、もちろん発酵にかかわる微生物のことなのだが、言葉は“神”を想起させる。
島根の酒造りの歴史は古い。日本最古の歴史書『古事記』の出雲神話に、須佐之男命がヤマタノオロチを倒した酒が登場する一節は有名だ。稲作の始まりは弥生時代初期と早く、当時から中国各地の文化の影響を受け、祭祀のためにさまざまな酒が醸されていた。神事と酒が切り離せないものであることを考えると、この地の酒の文化の豊かさ、奥深さが守られているのも理解できる。
出雲の食文化を語るうえで欠かせないのが出雲そばだ。神社へのお詣りの際に門前のそば屋でそばを楽しむ。出雲人の暮らしに根づいた習慣だ。出雲大社の門前に立つ『そば処 田中屋』では、『板倉酒造』で醸造したオリジナルの酒「天穏馨蕎(けいきょう)」をそばとあわせて推している。「米と水で醸す酒は、土地の味が出る。いろんな目的でここに来られるかたに、食を切り口に出雲を知ってもらえたら」と、三代目の田中俊樹さんは話す。
町の日常に溶け込み、地域の人の暮らしに根ざした店の中に、わざわざ足を運ぶべき店があるところに、島根の高い酒の文化が見て取れる。松江まで足をのばせば、また別の角度から島根の酒を楽しめる店がある。『Bar 小鳥遊』は、地酒蔵が醸す蒸留酒や県産の果物を使ったカクテルで人気だ。見た目はシンプルだが、味わえば豊かな自然の恵みと文化を育む、美しい風土の姿が浮かび上がる。
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