【「NPO法人」を立ち上げるってどういうこと?】エクラ 華組の山口りえさん「子供たち、お母さん、そして、音楽家たちのための活動を」

社会活動でよく耳にするのがNPOという単語。なんとエクラ華組にもNPO法人代表が! NPO法人音育プレママパーティ代表理事として、音楽を軸に活動を続ける山口りえさんに話を聞いた。
エクラ 華組  山口りえさん

エクラ 華組  山口りえさん

シンガーソングトランぺッタ-、NPO法人音育プレママパーティ代表理事、応用心理士。広島市出身、幼少期からピアノ、歌、トランペットなどを始める。音楽大学卒業、中学高等学校教員免許取得。0歳からのコンサート「音育ランド」をプロデュースしつつ、自身が中心メンバーとして演奏する「ラッキフル楽団」で活動中。

音楽のもつ力を確信し、子供たちへの恩返しを決意

エクラ 華組の山口りえさんは、39歳の妊娠中にNPO法人を立ち上げた。 もともと子供好きで、40代以降の人生では、音楽で子供や社会に恩返しをしたいという気持ちが募ったからだ。

「30代でアフリカのブルキナファソに行き、エイズキャリアの親子が住む施設や児童養護施設で音楽教育の支援をしました。子供の目がキラキラ輝き、音楽のもつ力や音楽教育への手応えを感じたんです。自分で活動するなら会場を借りるときのことなどを考え、社会的信用度が高いNPO法人を立ち上げようと考えました」(山口さん)

音楽やモデル活動などを行ってきた山口さんにとって、書類の作成などの事務仕事は初めて。いろいろな人に教えてもらい、苦労して書類を準備。しかし、何度も突き返されたという。

「認証されたのは出産後で、1年半かかりました。今も補助金の申請などで書類を作りますが、いまだに苦手で、戻されることもよくあります(笑)」

活動のスタートは、児童館での演奏。児童館に子供を連れていったときに、「演奏したい」と申し出た。小さな活動を積み重ね、やがて企業や行政の協力を得て、0歳からのコンサート「音育ランド」を実施するまでに。子供が騒いでもOKという、プロの演奏家による親子参加型コンサートだ。

「子供に生の音楽に触れてほしい、子育てで大変なお母さんに音楽を楽しんでほしい、というのはもちろん、結婚や子育てで演奏できなくなった音大出身の女性演奏家の活動の場も提供したいんです。私たちが演奏しているのを子供たちがニコニコしながら聞いているのを見ているだけで、私がエネルギーをチャージしてもらえます」

NPO法人設立の翌年に東日本大震災、’16年に熊本地震が発生。福島の避難所や熊本の幼稚園で活動を行った。「NPO法人なので利益は出せませんが、演奏家の報酬や交通費、楽器の運搬など、活動にお金がかかります。でも、無料か安価な参加費でコンサートを開催したいので、補助金の申請は必須。活動資金集めは大変ですし、事業報告書などの作成も苦労しています。でも、NPO法人になったことで社会的信用度が高まり、行政や企業と協業しやすいのは大きなメリットです」

山口りえさん

生きがいをもって行動に移してほしい

活動の継続は決して楽ではないが、山口さんの原動力は何なのだろうか? 「子供たちのために何かをしたい、恩返しをしたいという気持ちがパワーになっています。私自身を売るためだったらここまでできないし、まわりの人も協力してくれなかったはず。家族の理解や協力にも感謝しています」

山口さんは、ママ友やエクラの活動で知り合った読者ブロガーのJマダムたちにも声をかけ、興味をもってくれた人には活動に加わってもらっている。「子育てが一段落して、生きがいをもてずにいる人が意外と多いんです。特に専業主婦歴が長いと自己評価が低くなりがちなようですが、子育てで得た経験や、もともと好きだったことや、やりたかったことはあるはず。人生は長いですし、生きがいをもって行動に移してほしい。私もそう思っています」

4月からはひとり息子が高校進学に伴って寮に入るという山口さん。

「みんなが使える木製の楽器開発を進めて、作詞作曲を再開して後世に残す童謡も作りたい。日本でも経済格差が大きくなっているので、誰もが平等に音楽を楽しめる無料コンサートも実施していく予定です。今年はますますいろいろな活動に力を入れます!」

0歳からのコンサート「音育ランド」
写真/ご本人提供

10年以上継続しているのが、0歳からのコンサート「音育ランド」。全国30カ所で開催し、2万人以上が参加。クラシックから童謡まで多彩な音楽を演奏し、子供の目の前で楽器を奏でることも。演奏を聞いて涙を流す母親もいるという

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