戦後80年という節目の今年、終戦記念日に公開される本作の舞台は、駆逐艦「雪風」。第二次大戦中、輸送護衛や沈没した艦船の乗員を救助するなど〝海のなんでも屋〟と呼ばれた、小型で軽量の艦船だ。竹野内豊さん演じる沈着冷静な艦長のもと、玉木さんは下士官・兵をとりまとめ、現場で汗まみれになって軍務に就く先任伍長を演じた。
「僕が演じた先任伍長というのは、乗員たちのリーダーであり、人間臭くて、泥まみれになって働きながら、みんなの成長を見守る母のような立場です。撮影現場で例えたら、チーフ助監督のような役割です」
今、日本では、戦争の記憶を持たない人ばかりになりつつあるけれど、演技とはいえ、戦争というものを何度も疑似体験してきた玉木さんだからこそ、痛切に感じることがある。
「命の大切さ、です。戦場で命を落とすことは、本人が無念で苦しいだけでなく、残された人たちにとっても、とてつもなく大きな悲しみになる。ですからこういう映画、エンタテイメントを通じて戦争を描き、命の大切さを若い人たちにもしっかりと伝えたい。何があっても生きていかなくてはいけないんだというメッセージを、残していくべきだと思います」