投資に向く人、向かない人。そして“最高の財産”とは? お金のプロが語る幸せな「お金の生かし方」

この先のシニア世代を安心して生きるために、50代の今これからできること、今するべきことは? お金の不安をなくして幸せになるコツを、確定拠出年金アナリスト 大江加代さんに教わります。

これから投資を始めるなら、まずは少額から「積立」で

教えてくれたのは

確定拠出年金アナリスト 大江加代さん

確定拠出年金アナリスト 大江加代さん

おおえ かよ●’67年生まれ。著書に『新NISAとiDeCoで資産倍増 人生100年時代の新しいお金の増やし方』(日経BP)などがある。監修を手がけた『改訂版 知らないと損する年金の真実』(大江英樹・ワニブックスPLUS新書)が12月9日に発売予定。

退職金での投資デビューは厳禁!?

資金に余剰がある場合は、投資に回すのも一手。だが「はっきりいって、退職金での投資デビューは厳禁です」と大江さんは釘を刺す。

「大きな金額をドンと受け取ると、それを減らしたくない、少しでも増やしたいという欲も手伝って、悪いことは想像したくない心境になるもの。でも投資は上がるばかりでなく、急に2割、3割下がる事態が普通に起こる世界です。1円減っても眠れなくなるようなかたは、そもそも性格的に向いていません」

投資をするのなら、NISAのつみたて投資枠でまず少額から始めて、合うか合わないかを確認してから徐々に増やすのが善策。

「まず3万円から積立を始めて、無理なくできそうなら増額を考える。試してみて、自分に合わないのならやめて、ほかの手立てを考えればいいのです。投資は、現実の経済の中で自分が育てたい、次世代に残したいと思う分野にお金を回し、そこで出た利益の分け前をもらうというもので、ある意味、寄付や“推し活”に近いんです。それを楽しみながら行えるのであれば、すばらしいことだと思います」

楽しかった思い出は、劣化しない最高の財産

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ご自身も、すでにシミュレーションずみ。大江さんのプランは、生活費は終身で支給される年金でまかない、これからも続ける仕事で得る収入は、趣味やレジャーなどの一時的な出費や、自己実現の費用に。人生を楽しみ、思い出づくりをするために積極的に使っていく方針だ。

これには理由がある。大江さんの夫である大江英樹さんは、より充実した人生を送るための資産の活用を提唱していた経済コラムニストだが、’24年、病により急逝。亡くなる前、ふたりが最後に過ごしたひと時を温めたのが、一緒に訪れた旅行先での思い出だったという。

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「あのとき、あそこでこんなものを見たよね、おいしいものを食べたよねと……。楽しいことにお金を使うと、一時的に財産は減るかもしれませんが、それはいつか、時間がたっても決して劣化しない、かけがえのない財産になるんです。誰でも、健康で自由に動きまわれる時間は永遠ではないですよね。そのことを踏まえて、少しでもやりたいと思ったことはやって幸福な思い出をつくっておくのは、大事だと思います」


生活に必要なお金を手当てする。万が一の事態に備える。あとは幸せのために、惜しみなくお金を使う。人生の歩き方を再構築するのに50代は適期だと、大江さんは重ねていう。


「お金だけでなく、時間をどう使うかも、これからは大事になってくると思います。60代以降、仕事や家事が手から離れたときに、居心地のいい場所や仲間がいれば幸せを感じやすい。できれば今からお金と時間を使って、複数見つけておくのがおすすめです。不安だからと貯めたお金が死後何千万円残っていたとしても、それで果たして幸せでしょうか?『あのとき、あれをやっておけばよかった』という後悔を残さないよう、50代から実践しましょう」

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