【50代 肩の痛み】知っておきたい五十肩の真実!原因は?治療法は?

「最近肩が痛くて腕が上げられない……。もしかして五十肩!?」と、不安を抱えるアラフィー世代も多いのでは? 五十肩はよくある症状なのに、どんな病気か実は分かっていないという人も多いはず。そもそも五十肩とはなんなのかを、医学博士の銅冶英雄先生に教えていただきました。

教えてくれたのは…

医学博士 銅冶(どうや)英雄先生

医学博士 銅冶(どうや)英雄先生

お茶の水整形外科 機能リハビリテーションクリニック院長。運動療法・靴・栄養療法を中心に体の痛みを根本的に治す医療を実践。

 

【 1 】そもそも“五十肩”ってなに?

肩や腕を動かすときに痛みが生じる“肩関節周囲炎”

肩が痛くて腕を上げられず、背中のファスナーが上げにくかったり、シャンプーがしにくかったり……。イラストでご紹介するような症状があったら五十肩の可能性大。

「五十肩とは、肩の動きが悪くなり、肩や腕を動かそうとしたときに痛みが生じる病気です。左右どちらか片方だけの肩に生じることが多く、痛みは肩だけでなく、腕に広がる場合もあります。50歳前後や、50代で生じるのでこの名前がついていますが、同じような症状が40歳前後や40代で出たら四十肩と呼び、正式な名前は“肩関節周囲炎”といいます。痛みの程度には個人差があり、激痛で夜も眠れないという人もいれば、腕を動かしたときに軽く痛む程度の人までさまざまです」(銅冶英雄先生)

五十肩になると女の日常が小さなストレスでいっぱいに!

<プルオーバーを着るとき>

腕を上げたら雷に打たれたような激痛が……! こんなに痛いなんて聞いてない!!

プルオーバーを着るとき

<ファスナーを上げるとき>

後ろに腕を回すだけでも痛いのにファスナーを上げるなんて拷問!

ファスナーを上げるとき

<シャンプーするとき>

シャンプーすら不自由に。私の肩、どうしちゃったの……!?

シャンプーするとき

<ネックレスをつけるとき>

肘が1㎝しか上げられず、首の後ろまで手が届かない……!

ネックレスをつけるとき

 

 

【 2 】五十肩とはどんな病気で、何が原因で起こるもの?

メジャーな病状なのに、謎なことも多い「五十肩」! 五十肩とはどんな病気で、何が原因で起こるものなのかを専門医に詳しく伺いました。

肩の関節はこうなっている!

肩まわりに炎症が起きる病気だが実は原因はわかっていない

「五十肩は、肩まわりの筋肉や腱、滑液包などの部分に炎症が起きることで痛みが生じます。多くの人がかかりますが、実はなぜ炎症が起こるのか、原因は不明です。肩まわりに痛みが生じる病気として、上腕骨と肩甲骨をつなぐ腱板が切れる“腱板損傷”や、腱板に石灰化が生じる“石灰沈着性腱板炎”があります。レントゲンやMRIで調べてもそういった病気や異常がないのに、痛みがあって動きが悪い場合に五十肩と診断されます。この世代の人なら誰でもなりうる可能性があり、ある日突然、前触れもなく発症することも」

そんな五十肩は発症すると“年だからしょうがない”とあきらめがち。でも実は、年をとるほどひどくなる病気ではないという意外な事実も。

「年齢が名前についた病気は四十肩、五十肩だけで、例えば“四十腰”“五十腰”はありませんよね。それがないのは、四十肩も五十肩もこの年代のときだけに生じる病気で、それ以降は治ってしまうからです。もし原因が“加齢”なら、60代、70代になったら、もっとひどくなったり、繰り返したりします。腰や膝の痛みがまさにそうです。しかし五十肩の場合は必ず自然に治ります。強い痛みがある間はつらいですが、過剰に心配することはありません。生活に支障が出るほどつらいときや、症状を軽くしたい場合は整形外科を受診しましょう」
肩の関節

 

【 3 】五十肩になるとどうなるの?

痛みがある炎症期と、動きが悪くなる拘縮期を経て、回復!

五十肩は、軽度~重度があるが、痛みが強く整形外科を受診するレベルの人の場合は、発症してから回復するまでに下の3段階のプロセスをたどるのが一般的で、段階をとばすこともなければ、逆戻りをすることもない。1年以上かかることはあるが、「10年かかるということはありませんからご安心を」と銅冶先生。

「発症してすぐは、痛みの強い“炎症期(急性期)”。しだいに痛みが落ち着いていくものの、肩まわりが硬くなって動かせない“拘縮(こうしゅく)期(慢性期)”に移行し、最終的には痛みが解消し“回復期”を迎えます」

 

炎症期

炎症期

痛みが最も強い時期。目が覚めてしまうほどの激痛も

発症してから2週間ほどまでの最も痛みが強い時期が炎症期。肩や腕を動かしたときに痛むだけでなく、動かさなくても痛かったり、しびれを伴うことも。また、夜寝ている間に痛みが生じやすく、ズキズキと痛んで眠れない場合も。

 

 

拘縮(こうしゅく)期

拘縮(こうしゅく)期

強い痛みは治まるが肩の動きが悪くなり、動かそうとすると痛む

強い痛みはなくなってくるが、肩まわりの組織が硬くなり動きが悪くなる時期。肩を上げたり、腕を後ろに回したりする動きがしづらく、動かそうとすると痛みが生じることも。拘縮期の長さには個人差があり、半年以上続く場合も。

 

回復期

回復期

 

 

【 4 】五十肩はどんな治療をするの?

痛いときはなるべく肩を動かさず、痛みが治まったら積極的に動かして

五十肩の治療や改善法は、“痛みがあるかないか”で判断する。

「痛みが強い炎症期は、肩をなるべく動かさず安静にすることが大切です。痛みがひどい場合は、痛みを抑える治療を受けましょう。痛みが治まる拘縮期になったら、今度は積極的に動かすようにして肩の可動域を広げたほうが、早く治ります」

痛みがあるときは…

【痛みを抑える治療】

・炎症を抑える内服薬

・痛み止めの注射

・電気・温熱療法

「痛みが強い炎症期には、整形外科では、炎症を抑える内服薬の処方や、痛み止めの注射、血流をよくするための電気・温熱治療などを行ったり、炎症を抑える湿布を処方する場合もあります。また、この時期はなるべく肩を動かさないほうがいいので、安静にするよう指示をします。これでしだいに症状が治まっていき、拘縮期に移ります」

痛みが治まってきたら…

【運動療法!】

「痛みが強い炎症期に肩を長く動かさないでいたことで、肩まわりの筋肉や靭帯などの組織が硬くなり関節の動きが悪くなっているので、拘縮期になったら運動療法を取り入れてなるべく肩を動かすほうが、回復は早まります。病院でリハビリ治療を受けることもできますし、振り子運動や肩伸ばしなどのような肩関節の動きをよくする体操は自宅でもできて効果的なので、無理のない範囲で続けましょう」

 

< 腕をブラブラ揺らすことで可動域を広げていく 振り子運動 >

「痛みがあるほうの手にペットボトルなどの重り(1㎏程度のものが理想的)を持ち、反対側の手を椅子や机などに置いて体を支える。上体を少し倒して、全身を前後に大きく揺らしながら、その動きにつられるように腕を肩から振り子のように揺らす。腕を意識的に振るのではなく、肩と腕の力は抜き、上体の動きにつられるままに腕が動くイメージで行って。これを30回で1セット。朝、昼、晩と一日3セット行うのがおすすめ。

振り子運動

 

< 腰を落とす動きで肩関節を無理なく伸ばす 肩伸ばし >

1.椅子の背に背中を向け、一歩離れて立つ。肩が痛む側の手を背もたれに置き、反対側の足を一歩前に出す。

肩伸ばし

2.次に膝を曲げてイラストのように腰を落とし、肩関節を伸ばす。上体はまっすぐのまま、反対側の肩が前に出ないように注意して2秒キープして戻る。これを10回で1セット。一日5セット~10セットを目標に。

肩伸ばし

五十肩になったらふだんどんなことに気をつければいい?

「痛みは体が冷えると強くなりやすく、逆に温まるとラクになりやすいのでお風呂に入って温めましょう。半身浴ではなく肩までつかるのがポイント。また服は、肩を上げなくても着られる前開きのものを選ぶと痛みが防げます。寝るときは痛むほうの肩が下にならないように気をつけましょう。高すぎる枕だと首が前に傾き、肩や首に負担をかけるのでラクな高さの枕を選んで」

< 半身浴ではなくお風呂は肩までつかる >

お風呂

 

< 肩を上げずに着られる前開きの服に >

前開きの服

 

 

【 5 】五十肩になりやすい人は?予防法は?etc.五十肩の気になるあれこれQ&A

多くのアラフィー女性たちが悩まされている“五十肩”。「五十肩になりやすい人は?」「予防のためにできることは?」「どれくらいで治るの?」など、気になる五十肩の疑問に専門医がお答えします。

まだ五十肩になっていない人も!今、五十肩になっている人も!

 五十肩Q&A 

Q1.なりやすい人は? 男女差は? きき腕かは関係ありますか?十肩Q&A

A.「五十肩は、50歳前後や50代の人がなりやすいという以外は、こんな人がなりやすいという傾向は特にありません。女性のほうがやや多いですが、大きな男女差はなく、たまたま女性の更年期と重なっているだけで、五十肩は更年期症状ではありません。私もなりましたが、“肩伸ばし”で改善しました。きき腕のほうがなりやすいということもありません」

Q2.予防のためにできることはありますか?

A.「原因がわかっていないため、はっきりと『これで予防できる』といえることはありませんが、首の位置は肩の動きに大きく影響を与えるのでふだんから姿勢に気をつけましょう。特にパソコン作業のときになりがちな首を前に出した姿勢は、肩に負担をかけるのでNG。あごを引き、背骨の真上に頭がくる姿勢を心がけてください」

 

パソコン作業中でも、なるべくあごを引き、頭が背骨の真上にくる姿勢をキープ

姿勢

 

ねこ背で首を前に突き出した姿勢は、肩の筋肉が緊張しやすく、負担がかかりやすい

猫背

Q3.すでに半年腕が上がらない…どれくらいで治るの?

A.「五十肩が改善するまでの期間は人によって違い、2〜3カ月ですっかり治る人もいれば、1年以上続く人もいます。ただし、どこまでも悪化していくような病気ではなく、いつまでも治らないということはありません。気を長くもって、治療を続けてみてください」

Q4.五十肩の治療に保険はききますか?

A.「五十肩は"肩関節周囲炎"という病名があるので、診断された場合、治療は保険適用です。西洋薬が苦手な人には“二朮湯(にじゅつとう)”などの五十肩を改善する漢方薬を処方することもあり、こちらも保険適用です」

Q5.治ってから再発することはありますか?

A.「五十肩は、一度治った側の肩に再発することはまれですが、まったくないわけではありません。また、反対側の肩が五十肩になる場合もあります。ただ、その場合でもまた必ず治ります」

Q6.湿布は温・冷どっちがいいですか?

A.「湿布の温感や冷感は表面的な感覚の違いだけで、どちらにも抗炎症効果があるので自分が心地よく感じるほうを選べばいいと思います。抗炎症作用で痛みがやわらぐ場合もあるので、症状がラクになるなら使うといいでしょう」

《私たち痛みと闘いました!

 Jマダムの五十肩体験エピソード 

< Episode:1 >

「昨年、左肩に眠れないほどの激痛が。病院で五十肩といわれ、痛み止め薬の服用と、指導されたストレッチを継続。でもなかなか治らず、3回も病院を変えました。結果、合う薬とストレッチにめぐりあい、しだいに改善。ところがようやく治りかけたころ、今度は右肩も五十肩に(涙)。今では両方とも改善しましたが、思っていたよりも長く続き、日々の生活が大変でした」

(島津久美さん・54歳・チームJマダム)

< Episode:2 >

「1年以上前、痛みがあり病院に行ったのですが、どうにか腕を上げられたので『それなら問題ない』という診断が。しばらく様子を見ていたら、どんどん痛みが強くなり、トップスのすそをインするために動かすのすらつらいほど。あんなに痛いなんて誰も教えてくれませんでした……。整体とはりにも通い、まだ痛みは少しありますが、最近やっと後ろで手を組めるように」

(H・Hさん・46歳・ライター)

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