自宅で京都気分を満喫!自然豊かな京の山里『大原』

春夏秋冬、いつ訪れても楽しいからこそ、アラフィー世代にとって一番の旅の目的地は京都。コロナ禍で気軽な旅がむずかしくなってしまったけれど、その魅力には触れていたい。 昔ながらの土地の新しい魅力を紹介する山里・大原のルポ。わが家でも京都気分を満喫!

 

 
①昔懐かしの日本風景を楽しめる「宝泉院」

比叡山をはじめ、四方を山々に抱かれた京都市北東部の盆地集落、大原。京都の街の中心部から車で30分ほどの距離ながら、昔懐かしい日本の原風景が今も残っている。
 

大原の名は、天台宗の道場として開かれた「大原寺(だいげんじ)」に由来し、平安時代までさかのぼるという。嵐山が貴族の別荘地だったのとは対照的に、ここは京と若狭湾を結ぶ若狭街道の中継地点。争乱の際には、都からの脱出ルートともなったほか、平清盛の娘・建礼門院徳子が寂光院に出家した鎌倉期以降は、隠棲の地としての性格を強めた。
 

三千院や“額縁庭園”で知られる宝泉院など古寺名刹が点在し、昭和40年代からは観光客が多く訪れるようになったものの、それから50年以上経た今も大規模な開発はされていない。有名チェーン店や大型資本の店はなく、大手コンビニも国道沿いに1軒あるのみ。
 

安全な農作物、等身大の暮らしに価値を見出す人が増えてきた現在では、大原はいっそう輝きを増しているように映る。

『宝泉院』

『宝泉院』

書院の鴨居と柱を額に見立てて庭を鑑賞する“額縁庭園”で知られる、勝林院の塔頭(たっちゅう)。庭の中央には近江富士を象るという樹齢700年の五葉松がそびえ、もう一方には紅葉や竹林が茂り、山々の借景と相まって、静寂の世界に誘ってくれる。「立ち去りがたい」を意味する「盤桓園(ばんかんえん)」の名のとおり、いつまでも眺めていたくなる。

京都市左京区大原勝林院町187

☎075・744・2409
9:00~17:00(16:30最終受付)

拝観料(茶菓つき)/¥800
http://www.hosenin.net

 
②愛らしい雑貨に目移り必至の古道具屋「ツキヒホシ」

店内には、古い器のほか、かごや薬瓶、木工品など、見立て使いを考えるのも楽しい日本の古いものが集まっている。「高価な骨董よりもふだん使いできるものが好きです」と、店主の山本真琴さん。風情のあるお店は、6年前、家族で大原の古民家に移住した際についてきた川沿いの家屋を改装したもの。場所柄、旅行者も多く、連れて帰りやすい価格帯やサイズのものが充実している。

『ツキヒホシ』

ツキヒホシ

江戸後期から昭和前期まで時代もさまざまな豆皿コーナー。小傷のある皿は価格も手ごろ。珉平焼や三田青磁などの豆皿¥1,500~

店主、山本さんと看板犬のナナちゃん

店主、山本さんと看板犬のナナちゃん。

昭和の切子グラス 1脚¥900 

昭和の切子グラス 1脚¥900

ツキヒホシ

小川にかかる小橋を渡ってすぐ。店前には紅葉の木が茂り、秋は鮮やかな赤色に。

京都市左京区大原草生町70

☎090・5889・1039 11:00~15:00 不定休

※現在は予約制で営業中

http://tsukihihoshi.blogspot.com

 
③地産の食材と里山の景色に癒されるカフェ「クルム大原」

以前は京都の街中でお兄さんと飲食店を切り盛りしていた白石峰人さん。いつしか大原の魅力に惹かれ、’18年、この地に夫婦でカフェをオープンした。三千院から寂光院に続く大原の小径沿いに立つ元納屋を改装し、店内は山々を借景に田んぼが望める気持ちのいい空間に。裏の小川のせせらぎに耳を傾けながら、地産の野菜をふんだんに使ったランチをいただき、五感で大原の魅力を堪能したい。

『クルム大原』

『クルム大原』

プレートに使っている野菜のほとんどが大原でとれたもの。日替わりのカレーに副菜がたっぷりつく「大原の恵みランチ」¥1,200(税込)

白石峰人さん、真弓さん。

白石峰人さん、真弓さん。カウンターには焼き菓子が並び、コーヒーとともに持ち帰りも可能。

一面ガラス張りでどの席からも里山の景色を楽しめる。

一面ガラス張りでどの席からも里山の景色を楽しめる。

京都市左京区大原来迎院町117

☎090・9234・0770 11:30~16:00

不定休 https://kulm.kyoto

 
④とれたて野菜のほかにも楽しみ満載!「大原ふれあい朝市」

料理人、地元の家族連れ、旅行者も詰めかけ、朝6時から大にぎわいの朝市。約20軒の出店が並び、有機栽培や珍しい品種、間引き菜など、市場に出回らない大原野菜にも出会える。野菜以外にも手作り味噌やぬか漬け、おはぎといった加工品も充実。さらに、鯖寿司や弁当、コーヒー、パンもそろい、朝食目当てに訪れても。購入した野菜や食材は開催場所の「里の駅」から自宅に発送できるのもうれしい。

『大原ふれあい朝市』

『大原ふれあい朝市』

里の駅大原の駐車場で開催。

夏が旬の白ナス。

夏が旬の白ナス。若手農家が作る珍しい野菜もいろいろ。

朝採れのフレッシュハーブ。

朝採れのフレッシュハーブ。

農家のお母さんのぬか漬け

農家のお母さんのぬか漬け。「よく漬かってるのがいい?」「ぬかをようけつけとくし、またこれで野菜を漬けてみ」と、楽しいやりとりも朝市の醍醐味。

農家のかたのトラックが到着し、野菜を並べだすと

農家のかたのトラックが到着し、野菜を並べだすと、すぐに人だかりができる。

しば漬けの原料となる赤紫蘇が栽培されている

朝市の目の前には、大原の名産品、しば漬けの原料となる赤紫蘇が栽培されている。夏の収穫時期は緑の里山に赤紫が映えて美しい。

京都市左京区大原野村町1012 里の駅大原構内

☎075・744・4321 日曜開催 6:00~9:00

https://www.satonoeki-ohara.com/market/

 
⑤摘み立ての藍の生葉で染めた青に感動「大原工房」

大原の地で綿を育て、紡ぎ、大原の草木で染め、織るまでを一貫して行う工房。草木染めの糸や布物を購入できるほか、さまざまな体験コースが受けられ、今の時期は珍しい藍の生葉染めを体験できる。通常の藍染めとは染める工程もまったく違い、目の前の畑でとれたフレッシュな藍の葉と絹布を一緒にもみ込むようにして染めていく。染め上がると、みずみずしく透明感のあるブルーの美しさに魅了される。

『大原工房』

『大原工房』

ここからさらに染め重ねれば、空色や浅葱色に。シルクのスカーフの生葉染め 約1時間、¥3,000(税込)~

葉の収穫時期

藍の生葉染めは、葉の収穫時期である7月から9月末ごろまで行われる。

草木染めの染織物

草木染めの染織物は色彩豊か。

畑に囲まれたのどかな工房。

畑に囲まれたのどかな工房。

京都市左京区大原草生町327
☎075・744・3138 9:00~17:00
㊡水曜 http://www.ohara-koubou.net

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