「夕方イキイキ」になるためには“五臓のバランス”が大事

アラフィー世代を悩ませる「夕方ツライ症候群」。このツラさを解決するためにはどうしたらよいのだろう。漢方では生命活動の源である「気」を補う養生法として食を重視する。エネルギーを高める「食養生」と夕方のツラさに備える術を木村先生が指南。
教えてくれたのは…
東京女子医科大学 東洋医学研究所所長 木村容子先生

東京女子医科大学 東洋医学研究所所長 木村容子先生

日本内科学会認定医。日本東洋医学会専門理事、専門医・指導医。体と心をトータルに診るこまやかな医療で女性たちから高い支持を集めている。著書に『女50歳からの「変調」を感じたら読む本』(静山社文庫)など。

読者アンケートより

意外にも、朝食抜き、朝昼の糖質偏重が多かった!
症状ありの人の食事は、夕食はしっかりおかずがあるが、朝・昼は糖質偏重の「単品食べ」が目立つ。また、「朝は食べない」(水やコーヒーなど、栄養価の低い飲み物のみ含む)も26人におよんだ。
意外にも、朝食抜き、 朝昼の糖質偏重が多かった!

【まずは知っておきたい!東洋医学の「五臓」と「五味」の考え方】

「五臓」は、漢方の考え方で心身の生理機能をつかさどるとされる五大柱。西洋医学でいう臓器とは必ずしも一致しない。それぞれを養うのに適した食味として「五味」が対応する。甘いものへの欲求を抑えるには酸っぱいもの、というバランスを覚えておこう。

五臓と五味

…「血」を貯蔵する。自律神経や情緒をコントロール

…「血」を循環させる。睡眠のリズムを調節

… 日々生み出される「気」を蓄える。消化吸収機能に関係

… 呼吸機能や水分代謝に関係。肌の状態にも影響

… 親からもらった「気」を蓄える。成長・発育・生殖・老化に関係

「肝」「心」「脾」「肺」「腎」の五臓は、それぞれ「すっぱい」「苦い」「甘い」「辛い」「塩辛い」の五味と関係し、互いに作用し合ってバランスをとろうとしている。

体のエネルギーをつかさどるのは「腎」と「脾」

五臓と五味

体を動かすためのエネルギー、気には2つある。“先天の気”といわれ、生まれもった体の強さや体力に当たるのが「腎気」。「脾気」は、“後天の気”で、日々の食事から養うエネルギー。この「腎」と「脾」に加えて、エネルギーを体にめぐらせる働きのある「肝」も養いたい。

五臓のバランスを考えながら効率よくエネルギー補給を

「更年期からは生まれながらに備わっている“先天の気”を減らさない食を心がけたいですね」と木村先生。


漢方では心身の機能を5つに分けて「五臓」といい、それぞれに対応する「五味」がある。先天の気を蓄えるのは老化に関係する「腎」。「腎を養うのは塩辛い味です。塩分のとりすぎに注意しながら、海産物などで取り入れましょう」


先天の気の減少は、消化吸収を担う「脾」のエネルギー「脾気」でカバー可能。脾は日々の食事で生み出される“後天の気”を蓄えている。しかし、加齢とともに胃腸は弱ってくるので、食事内容にも注意したい。アンケートでは、手っ取り早くエネルギーが得られる糖質に偏る傾向が見られたけれど……。

「脾を養う味は甘味なので、糖質が該当します。ただしとりすぎると、腎の働きを低下させ、エネルギーのむだ使いになり逆効果。また、主食に偏った食事で栄養失調に陥っている人も多いです。少量でいいから肉や魚を加え、動物性タンパク質を補って。私は間食にゆで卵をよく食べます。葉野菜や海藻など血糖値を上げにくい低GI値のおかずから食べ、少量の主食で締めれば、血糖値の急上昇による疲労も防げます」

夏には冷たいものが欲しくなるが、脾に負担をかけるので控えめに。「体を温める食材をとったり、火を通すなど調理法も工夫してみて」

無性に甘いものが欲しくなるときは、自律神経を担う「肝」が弱っている証拠。肝を養う酸味が効く。

「ハッと我に返りますよ(笑)。肝気のめぐりもよくなって、腎や脾のエネルギーもスムーズに流れます。過食に走ったときは、心身に負荷がかかっているため、まず自分を労って。私自身、毎日の食事は完璧ではないので、患者さんには一週間単位で栄養の帳尻を合わせることをおすすめしています。アラ50では胃腸の変化に合わせ、きちんと空腹を感じてからの食事を心がけて。一日三食にとらわれすぎず、自分なりの生活習慣を整えていくのが、エクラ世代の食養生のコツです」

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