いつもの果実に少しの特別感を。有元葉子さんの「すいかの贅沢」アイデア&レシピ

夏に有元さん宅を訪れる人は、“すいかのおもてなし”に感動しきり。「ただ切っただけ」なのにハッとする美しさ。「凍らせただけ」なのにビビッドなおいしさ。お茶の時間に、食事のあとに、この夏は有元流“すいかの贅沢”を楽しんで。

すいかの薄切り(べトナム風)

薄切りにしたすいかをバーッと大皿に盛っただけ。なのに迫力があって楽しくて、なにより食べやすい。

すいかの薄切り

「中国、ベトナム、ラオスなどを旅すると、こんなふうに薄切りにしたすいかが食堂でよく出てきました。生水が飲めない国ではすいかは水がわりで、食欲増進剤の役目もしてくれるよう。すいかは辛いものとも相性がいいので、スパイス料理のデザートにもぴったり」

●すいかを4等分に切り、端から薄く切る。1㎝より薄く切るのがよい。

すいかのフルーツポンチ

くりぬいた丸いすいかがかわいらしいので。白玉、タピオカ、炭酸の泡……丸いものばかりを集めて。

すいかのフルーツポンチ

「すいかを丸くくりぬいたフルーツポンチは、子供たちの夏のおやつの定番でした。なにしろ見た目がかわいいから、“わぁ!”とわくのよね。これは大人もうれしい。シュワシュワの泡まで含めてのデザートです」


❶タピオカは水に2時間ほどつけてから、沸騰した湯に入れ、30分ほどかけて気長にゆでる。冷水にとって冷まし、ザルに上げる。
❷白玉粉に水を少しずつ加え、やや硬めに練る。直径1cmほどに丸めて、沸騰した湯にひとつずつ落とし、浮いてから2分ほどゆでて冷水にとる。
❸すいかはくりぬき器で丸くくりぬき、竹串で表面の種をとる。
❹鍋にグラニュー糖と水を同量入れて煮立て、シロップを作る。
❺器にタピオカ、水気をきった白玉、すいか、ブルーベリーを入れてシロップを加え、強炭酸水(シロップと同量)を注ぐ。※すいか、タピオカ、白玉などは好みによって適量で。※シロップは多めに作っておくと夏場のデザート作りに便利。

すいかのジュース

さわやかな甘さが好き。ハーブを添えると大人の飲み物に。

すいかのジュース

「アジアの南国を旅すると、本当にすいかのジュースばかり飲んでいます。搾りたてはフレッシュで、甘すぎず、飲むとスーッと体の中が涼しくなる感じ。家ですいかをくりぬいたり、切ったりしたあとの残りの部分はジュースやソルベにするのがおすすめです」

●すいかの種をとり、ミキサーにかける。グラスに注ぎ、好みでベルベーヌなどのハーブを添える。

グラス(ミタテ10ozストレートモールB)¥23,000/木村硝子店

すいかの三角切り

二十歳のころ、割烹の名店で出会った美しいすいかに思いを馳せて。

すいかの三角切り

「大昔、銀座に辻嘉一さんがいらした『辻留』があって。私は二十歳そこそこでしたが、がんばって行ったのです。食事の最後に出てきたのが、三角形のすいか。黒い種の入り方がなんて美しいんだろう、自然ってすごい、と思って。シンプルだからこその美しさや静かな迫力に魅せられました。そのときのイメージがずっと残っています」

●すいかを4等分に切り、端から1cm以上の厚さの三角形になるように切る。

すいかのソルベ

暑い日、外から帰ってソルベを口に入れる。シャキッと甘い幸せ。

すいかのソルベ

「すいかをフードプロセッサーにかけて凍らせるだけ。少し実が残っているぐらいが私は好き。カットしたすいかを添えればかっこいいデザートに。ソルベのグラスに、シャンパーニュや白ワインを注いで食べてもおいしいです」

❶すいかの種をとり、フードプロセッサーに入れて、少し固まりが残る程度につぶす。

❷バットに移して、甘さが足りないようなら好みで砂糖を上にかけ、冷凍庫にひと晩入れて凍らせる。

❸取り出してスプーンでほぐし、器に盛る。大きめの二等辺三角形に切ったすいかを添える。

グラス(es-3-S 12ozオールド) 各¥7,600/木村硝子店

グリーンワインとスイカミント

キューブ状に切ればまた違う、すいかの魅力。涼しい香り&ワインで。

グリーンワインとスイカミント

「切り方を変えるだけで、おしゃれになったり、かわいらしくなったり、凛としたりする。料理のおもしろさですね。夏になると飲みたくなる、涼やかでライトな白ワイン“ヴィーニョ・ヴェルデ”とともに。ワインを吸ったすいかがおいしい、と女友だちがいっていました」

●すいかを大きめの立方体に切る。グラスにすいかを入れて、ライムの薄切り、ミントをのせ、ヴィーニョ・ヴェルデ(ポルトガルの白ワイン)を注ぐ。

グラス(ピーボ3197-14) 各¥5,000/木村硝子店

すいかのショートケーキ

すいかも、スポンジもクリームも……。自分の好きなバランスで作る、わがままで贅沢なパフェ。

すいかのショートケーキ

「すいか好きで知られるフレンチシェフの、すいかのショートケーキは有名。私はもっとすいかをたくさんいただきたいので、自分好みのスタイルに。生クリームを合わせるので、スポンジはバターが入らない、軽くてサクッとしたビスキュイタイプがベターです」

❶お好みのスポンジケーキをひと口大のコロコロに切る。

❷ボウルに生クリーム200㎖、粉糖大さじ1½を入れ、低速のハンドミキサーで泡立てる。トロンとしてきたところで止める。

❸すいかを1cm角に切り、竹串で種をとる。

❹グラスにスポンジ、すいか、クリームを重ねながら入れる。※今回のスポンジは薄力粉90g、卵3個、グラニュー糖80g、牛乳大さじ1で作ったビスキュイタイプ。

グラス(バレリーナ ブルゴーニュグラス)¥22,000/ロシナンテ(ロブマイヤー)

夏の料理が満載のレシピ本
『私が食べたい季節の味 この2皿さえあれば。』

『私が食べたい季節の味 この2皿さえあれば。』

7年間におよぶエクラの人気連載から、春夏に作りたい選りすぐりのレシピを集結。美しくて迫力のある写真。思い出の味や旅先で出会った美味など、有元さんの料理の世界のバックグラウンドがかいま見えるエッセーも充実。
有元葉子 集英社 ¥1,800

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