【スッキリ胃が手に入る4つのメソッド】食べ物、寝る姿勢、胃薬の選び方

胃の不調は、毎日の食事や生活習慣が大きな原因なので、今こそ見直しが必要! スッキリ胃を取り戻すのにおすすめな4つのメソッドを、兵庫医科大学副学長 三輪洋人先生に聞いた。
兵庫医科大学副学長 三輪洋人先生

兵庫医科大学副学長 三輪洋人先生

兵庫医科大学病院副院長・消化器内科 主任教授・診療部長・内視鏡センター長。医学博士。専門は消化器内科一般、上部消化管疾患。著書は『胃は歳をとらない』(集英社)など。

胃に負担をかけない食事と自律神経を整える生活を

元気な胃を取り戻すために、心がけたいことを三輪先生にうかがった。

「まず見直したいのは食習慣です。早食いや食べすぎ、食事時間が不規則、食後にすぐ横になるなどといった習慣は、胃に負担をかけ、胃酸過多や胃酸の逆流を招くので改善を。自律神経を整えることも大事なので、リラックスできる時間を増やしてストレスをうまく発散し、十分な睡眠をとって、生活リズムを整えることも大切です。また、肥満で内臓脂肪がたまると胃を圧迫して胃酸が逆流しやすいので、食事を見直したり、運動をしたりして適正体重に戻すこともポイントです」

簡単にできる以下のメソッドを実践し、スッキリ胃を手に入れて。

メソッド1.「脂」「酸」「辛」「熱」禁止!

食事で控えたいのがまず脂っこいもの。「その理由は、脂肪を消化する過程で分泌されるホルモンには下部食道括約筋をゆるめる作用があるので、胃酸が逆流しやすくなるからです。また、酸性度が高いものは胃や食道の粘膜を刺激して胸やけを起こしやすいですし、辛いものや熱いものはその刺激で胃や食道の知覚過敏を招き、少量の胃酸の逆流でも胸やけしやすくなるので、控えめに」。

メソッド2.肉よりも魚や大豆製品を!

タンパク質は、胃のことを考えるなら肉よりも魚や大豆を。「肉よりも魚や大豆製品のほうが消化がいいので、胃酸の分泌される時間も短くて済み、胃に負担をかけません。魚の中でも特にイワシやサンマ、アジなどの青魚に含まれる油は、胃酸の分泌を抑える効果もあり、おすすめ。肉をとる場合は、鶏ささ身肉や、鶏むね肉などの脂肪の少ないものを選べば、消化は比較的早めです」。

メソッド3.眠るときは、左を下に!

寝ると逆流性食道炎の症状が出やすい人は、左を下にして寝るのが◎。「胃の約3/4は中心より左に寄っていて、左側のほうが内容物がたまるスペースが広いので、左を下にして寝ると胃酸が逆流しにくいのです。ただし、食べすぎの消化不良で胃もたれするときは、右を下にして寝るほうが消化物が早く送り出されておすすめ」。

胃の右側は左側よりスペースが広くないので、右を下にして寝ると胃酸が逆流しやすい。消化不良のときは右下寝でOK。

胃の右側は左側よりスペースが広くないので、右を下にして寝ると胃酸が逆流しやすい。消化不良のときは右下寝でOK。

胃の上部のスペースは左側のほうが広いので、左を下にして寝ると胃の左側に内容物がたまって胃酸が逆流しにくい。

胃の上部のスペースは左側のほうが広いので、左を下にして寝ると胃の左側に内容物がたまって胃酸が逆流しにくい。

メソッド4.胃薬は症状に合わせて選ぶ!

胃の不調があるときは、とりあえず市販薬を飲むのも手。「胃の不調に対応する市販薬には、以下のようにさまざまなタイプがあります。選ぶ際には、自分の症状のうち、最もつらいのはどれかという優先順位を考えて、パッケージの説明と照合して選びましょう。選び方に迷ったら店舗の薬剤師に相談を。市販薬を飲んでもつらい症状が3日以上続く場合や、市販薬を飲んでも症状が改善しない場合は、消化器科や内科へ」。

薬名 胃酸分泌抑制薬
主な症状と決め手の成分
胃酸の分泌を抑えるH2ブロッカーや、M1ブロッカーなどの成分が配合された薬。M1ブロッカーはH2ブロッカーより胃酸抑制効果は弱いが、胃粘膜の保護作用をあわせもつ。胃酸過多で、胃痛や胃もたれ、胸やけがしたときなどに。

薬名 制酸薬
主な症状と決め手の成分
胃酸分泌抑制薬と同様に、胃痛、胃もたれ、胸やけなどに有効。炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウムなどが含まれ、過剰に分泌された胃酸を中和して酸度を抑え、胃粘膜がダメージを受けないように保護する。

薬名 胃粘膜保護・修復薬
主な症状と決め手の成分
胃の粘膜を保護して修復するテプレノンやカンゾウなどの成分や、胃粘膜を保護するスクラルファートなどの成分が配合された薬。空腹時の胃痛や吐き気などに。消化剤や健胃剤も配合され、胃痛や胃弱に対応する薬もある。

薬名 消化剤
主な症状と決め手の成分
消化酵素と同じように働く成分のリパーゼやジアスターゼ、ウルソデオキシコール酸などの成分が含まれ、消化吸収を助ける薬。食べすぎ、飲みすぎ、脂っこいものを食べたあとの胃痛、胃もたれなどに効果的。

薬名 健胃剤
主な症状と決め手の成分
オウバク、センブリなど、味覚や嗅覚を刺激し、唾液や胃液の分泌を促すような生薬の成分が含まれ、胃の働きを元気にする薬。飲みすぎ、二日酔い、食べすぎのむかつき、胃もたれ、食後の胃痛や胃もたれなどに。

薬名 鎮痛鎮痙(ちんけい)剤
主な症状と決め手の成分
副交感神経を活発にする神経伝達物質アセチルコリンの働きを抑える抗コリン剤を配合し、副交感神経が活発になりすぎることで起こる胃や腸の痙攣や痛みを予防。ストレスや緊張で胃が痛むときや、痙攣するような胃痛に。

薬名 総合胃腸薬
主な症状と決め手の成分
胃粘膜保護成分や、消化成分、健胃成分など複数の成分がバランスよく配合されているのが総合胃腸薬。不快な胃の症状がいろいろあって、どの薬を選んでいいかわからないときなどに最適。

What's New

Feature
Ranking
Follow Us