【対談】精神科医 名越康文さん×モデル 浜島直子さん《中編》身内の主導権争いからは降りるが吉

イライラしやすくなった、と感じるアラフィー女性が続出。モデルの浜島直子さんもそんなお悩みを持つ一人。精神科医の名越康文さんと、負のスパイラルに陥る原因について対談! 今回は身内のストレスについて深掘り。
モデル 浜島直子さん

モデル 浜島直子さん

はまじま なおこ●’76年、北海道生まれ。“はまじ”の愛称で親しまれる人気モデル。テレビ出演やラジオパーソナリティなど多方面で活躍。夫アベカズヒロ氏とのユニット「阿部はまじ」として絵本『ねぶしろ』など。近著は初の随筆集『蝶の粉』(ミルブックス)。
精神科医 名越康文さん

精神科医 名越康文さん

なこし やすふみ●’60年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。専門は思春期精神医学、精神療法。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など多方面に活躍。著書に『自分を支える心の技法』(小学館新書)など多数。

身内のストレスが一番重い。主導権争いからは降りる

前編より:対人関係の不安について)
浜島
 実は、思い当たることが。

名越 女性は我慢しなさいと教育されているから、最初に頭に浮かんだことを自動的に抑圧することがあるんです。浜島さん、思いついたことをいってみてください。

浜島 実家のお風呂が壊れてるんです。お金を出すからリフォームしない?と母に提案したら、口を出さないで、と怒られて。そのモヤモヤを長く引きずっていました。

名越 それは結構つらい気がします。人間の悩みの多くは対人関係で、ストレスの原因として一番重いのは身内。お母さんと浜島さんはそのことで長い間、主導権争いに陥っているのかもしれません。アドラー心理学的にはそこから降りなさい、と。勝ったとしてもリベンジがあるから、権力闘争からは降りたほうが得なんです。

浜島直子さん×名越康文さん

「久しぶりに実家に帰ったら、いつまでたってもお風呂の修繕をしない母に不満が募って……」
─浜島さん

[浜島さん]ブラウス¥52,800・イヤカフ¥13,200/ボウルズ(ハイク)

浜島 対人関係のあらゆるストレスは権力闘争、わかる気がします。母もここまで頑じゃなかったし、私もこんなにためなかった。コロナ前は友だちと会って愚痴を吐き出したり笑い合ったりして発散してたけど、それができないから、というのもありますか?

名越 それはあるかも。あと、昭和の女性的にはあたりまえに家のことを全部やってるけど、それをあまり見られていないという場合も。

浜島 母は家事も趣味もきっちりやるから文句はいわないで、というスーパーウーマンタイプです。

名越 相手には相手の“べき”があるんですよね。頑になる理由が何かあるんだなと思ってあげたら。

浜島 はい。もうすでに優しい気持ちになってます。

名越 “でも、なんでだろう不思議だな”と立ち止まってみるだけでイライラは落ち着くはず。もしくは、“私には見えてない彼女がいるのかも?”と思うだけでいい。

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