-
『ミシンと金魚』も。“女の人生”から社会問題をあぶり出す!女性作家の社会小説6冊
子育てや介護など女の人生と切り離せないできごとを描いた小説は、社会を写し出す鏡。読めば悩みへのヒントが見えてきそう! エクラ世代へおすすめの女性作家の社会小説6冊をピックアップ。
第5回「文芸エクラ大賞」大賞発表!アラフィーに今読んでほしい一冊とは?
文芸評論家 斎藤美奈子
本や新聞、雑誌など多くの媒体で活躍。文学や社会への切れ味鋭い批評が熱い支持を集めている。
書評ライター 山本圭子
出版社勤務を経てライターに。女性誌ほかで、新刊書評や著者インタビュー、対談などを手がける。
書評ライター 細貝さやか
eclat書評欄をはじめ、文芸誌の著者インタビューなどを執筆。特に海外文学やノンフィクションに精通。
書評担当編集 K野
女性誌で書評欄&作家インタビュー担当歴20年以上。女性誌ならではの本の企画を常に思案中。
「文芸エクラ大賞」大賞発表!
『ミシンと金魚』
永井みみ 集英社 ¥1,540
認知症を患い、「みっちゃん」たちから介護を受けながら暮らしているカケイ。ある日「みっちゃん」のひとりに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」とたずねられ、脳裏に蘇ってきた光景とは。愛と暴力が入り混じった老女のすさまじい人生をひとり語りで描いて大きな反響を呼んだ、すばる文学賞受賞作。
新人ながら筆力が圧倒的!そのリアルさは日ごろの観察力のたまもの
━━文芸評論家 斎藤美奈子
一見冷たいがちゃんと母親の面倒を見ている嫁を理解できるのはエクラ世代
━━書評ライター 細貝さやか
認知症ぎみの老女の過去がわかる過程がスリリング!最後には涙があふれました
━━書評ライター 山本圭子
作家・永井みみさんより、受賞コメントをいただきました!
じつのところ。私の傍らに座って、あれこれお話してくれていたカケイさんがいなくなって、しばらく経ちます。当初はとてもさみしかったのですが、本の感想をうかがうにつけ、(ああ、カケイさんは今この方とお話しているのだなあ)と、うれしくなる今日このごろです。この賞は、私ではなく、カケイさんに贈られたものだと、しみじみ思います。どなたか、カケイさんに遭遇したさい、このことをお伝えいただきますと、幸いです。
文芸エクラ大賞とは?
私たちは人生のさまざまなことを本から学び、読書離れが叫ばれて久しいとはいえ、本への信頼度が高いという実感がある世代。エクラではそんな皆さんにふさわしい本を選んで、改めて読書の喜びと力を感じていただきたいという思いから、’18年にこの賞を創設。
選考基準は、’21年6月~’22年5月の1年間に刊行された文芸作品であり、エクラ読者に切実に響き、ぜひ今読んでほしいと本音でおすすめできる本。エクラ書評班&書店員がイチ押しする作品の中から、エクラ書評班が厳選した絶対に読んでほしい「大賞」、ほかにも注目したいエクラ世代の必読書「特別賞」、さらに「斎藤美奈子賞」「書店員賞」など各賞を選定。きっと、あなたの明日のヒントになる本が見つかるはず!
今年も盛り上がった選考会。 本音を語ったその内容は?
K野 夏の恒例企画・文芸エクラ大賞も5回目になりましたが、今年はカラーの違う力作がそろいましたね。
山本 私のおすすめは藤野千夜さんの『団地のふたり』。50歳で独身の幼なじみの女性ふたりが、お互いを理解しつつ適度な距離で友情を保っているのがうらやましくて。
斎藤 紆余曲折あった彼女たちが生家のある団地に戻ってみると、単身高齢化がすすんでいて取り壊しの話も。一見のほほんとした雰囲気ですが、そこでしか生きられない人たちの切実さをはらんでいますね。
細貝 不安や寂しさがあっても、自分なりに幸せな場所を探そうとしているふたりに心がなごみました。
山本 介護が他人事ではないエクラ世代に響くのは、永井みみさんの『ミシンと金魚』なのでは。
細貝 老女の壮絶な過去も認知症がすすんできた今も、さらけ出すように描かれている。介護ヘルパー経験のある著者だからできたのかも。
斎藤 老女の独白小説は今までにもあったけれど、これは語りの力がすごい。何もわかっていないように見えて実はそうじゃない老女を書けたのは観察力のたまものでしょう。
K野 最近女性主人公の歴史小説が増えてきましたが、柚木麻子さんの『らんたん』もそのひとつですね。
細貝 シスターフッドで結ばれた明治の女性教育者の話で、当時の有名人たちのつながりが興味深かった。彼女たちの努力があって今の私たちがあるとハッとさせられました。
山本 高瀬隼子さんの『おいしいごはんが食べられますように』は題名に騙されるかも。「ていねいな暮らし万歳!」みたいな話ではないので(笑)。
斎藤 主人公は29歳の男性で、料理上手でみんなが守りたくなる同僚女性を鬱陶しいと思いつつ、内緒で付き合っている。仕事観も食事に求めるものも違う人が集まるのが職場ですが、それを批評的に見ていて“あるある感”満載でしたね。
山本 角田光代さんの『タラント』は義足の祖父が戦争を振り返るシーンがよかった。親子で読んで感想を語り合いたい本です。
K野 書店員さんからの支持が多かったのが吉田修一さんの『ミス・サンシャイン』でした。
細貝 大学院生が恋する80代の女性が魅力的。邦画黄金期を強く生きぬいた女優という設定で、彼女が出た映画を見たいと思ったくらい。
斎藤 多分そのころからあったことだと思いますが、今年映画界のセクハラが相次いで告発されましたね。井上荒野さんの『生皮』に出てくるのは小説講座の講師の性暴力ですが、ここでは彼の「芸術は特別」という感覚を断罪している。女性はもちろん男性にも読んでほしい小説です。
山本 去年芥川賞を受賞した宇佐見りんさんの『くるまの娘』は女子高生から見たこじれた家族の話。主人公だけでなく壊れぎみの両親の苦しさも理解できて胸が痛かった。もう一冊、去年亡くなられた山本文緒さんの『ばにらさま』もぜひ。短編集ですが意表を突く展開が見事です。
細貝 エッセーでは小池真理子さんの『月夜の森の梟(ふくろう)』がすばらしかった。夫を亡くした悲痛な気持ちが軽井沢の自然をからめて描かれていて、心にしみました。外国文学で楽しく読めたのが『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。人類存亡を賭けてひとりでミッションに挑む宇宙飛行士の話ですが、次々に問題が発覚してもユーモアを忘れず乗り越える彼に元気をもらえる。一気読み必至です。
斎藤 今年の大賞ですが、「親を思い出さずにはいられない」と熱く語り合った『ミシンと金魚』でしょうか。
K野 満場一致で賛成ですね。振り返ってみると、女性作家の活躍が本当に目立った一年でした!
-
近代日本女性の志に感動必至の歴史小説『らんたん』【斎藤美奈子のオトナの文藝部】
アラフィー女性へのおすすめ本を文芸評論家・斎藤美奈子さんがピックアップ。今回は、女子教育界に大きな足跡を残したふたりの女性を中心に、明治、大正、昭和を描いた歴史小説『らんたん』ほか2冊をご紹介。
-
食にからめてジェンダーの問題を描いた『おいしいごはんが食べられますように』【斎藤美奈子のオトナの文藝部】
アラフィー女性に読んでほしいおすすめ本を、文芸評論家・斎藤美奈子さんがピックアップ。今回は食を通じてジェンダーの問題を描いた『おいしいごはんが食べられますように』とほか2冊をご紹介。
-
涼しい場所でのんびり読みたい!宇佐見りんの芥川賞受賞後第1作『くるまの娘』ほか、アラフィーにおすすめの本4選
宇佐見りんの芥川賞受賞後第1作『くるまの娘』、THE BOOMのボーカリスト・宮沢和史のエッセー『沖縄のことを聞かせてください』など、アラフィー女性に読んで欲しい4冊をピックアップ。
-
“自分らしい生き方”について考えさせられる、アラフィーにおすすめの本4選
アラフィー女性にこそ読んで欲しい本をピックアップ。現代の女性が自分の生き方に向き合う物語『タラント』、臨床心理士によるエッセー『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』など、“生き方”について考えさせられる4冊。
-
<アラフィーへのおすすめ本>『ミス・サンシャイン』に生きるパワーをもらう
アラフィー女性にこそ読んで欲しいおすすめの本を、編集部がピックアップ! 今回は、吉田修一『ミス・サンシャイン』をご紹介。人生に迷う青年が、80代の鈴さんのもとで荷物整理のアルバイトを始めて成長をしていく物語のほか、イチ押しの3冊をご紹介。
-
レイプなのか合意なのか、注目の小説『生皮』ほかアラフィーにおすすめの本4選
アラフィー女性にこそ読んで欲しい本をピックアップ。抵抗しなければレイプではなく合意なのか、重い問いを投げかけてくる『生皮(なまかわ)』ほか、“今の自分”を大事にしたくなる、ほっこり漫画『火曜日のくま子さん』など、今読みたい一冊をご紹介。
-
【夏の文芸エクラ大賞2022】文芸評論家・斎藤美奈子さんが「この一年の本」を徹底解説
評論家・斎藤美奈子さんがこの一年の本の世界を徹底解説。激動の時代は特に、世の中の傾向と本の関係が浮き彫りになってくるもの。広い視野で見た今とこれからを、本の世界から考えてみたい。
What's New
-
宇井彩野さんのデビュー作『愛ちゃんのモテる人生』ほか2冊【斎藤美奈子のオトナの文藝部】
今話題の本を文芸評論家・斎藤美奈子さんがご紹介。今回は、2023年氷室冴子青春文学賞大賞受賞作『愛ちゃんのモテる人生』ほか、ジェンダーやLGBTQをテーマにした本をピックアップ。
ライフスタイルNEWS
2024年12月13日
-
【小泉今日子さんインタビュー】心がブレそうになったときに支えてくれるのは“セルフシスターフッド”
12月13日からAmazonオーディブル(以下Audible)で配信される小説『ピエタ』。朗読を務めるのは、2011年に本作に出会い、ぜひ舞台化したいと10年以上にわたり構想を続け、プロデュースと主演を務めた小泉今日子さん。作品の魅力を誰よりも深く知る彼女の言葉は、エクラ世代がこれからを生きるための道しるべのようでもある。
ライフスタイルNEWS
2024年12月13日
-
【雨宮塔子 大人を刺激するパリの今】私の家づくり〈後編〉色数を絞った心地いい空間
雨宮塔子さんによる連載「大人を刺激するパリの今」。9回目のテーマは「私の家づくり」。25年目のパリ住まいを迎えた雨宮さん。今回は、キッチン、バスルームからベッドルームまでご案内。
ライフスタイルNEWS
2024年12月12日
-
【雨宮塔子 大人を刺激するパリの今】私の家づくり〈前編〉雨宮さんの自宅を拝見!
雨宮塔子さんによる連載「大人を刺激するパリの今」。9回目のテーマは「私の家づくり」。25年目のパリ住まいを迎えた雨宮さん。現在のお住まいについて、今回はリビングを中心に紹介してくれました。
ライフスタイルNEWS
2024年12月11日
-
キュレーター・長谷川祐子《後編》楽しそうにしていると人は必ずついてきてくれる【エクラな美学 第9回】
彼女にとっては、世界中が美と発見の宝庫である。国内外で数々のビエンナーレや展覧会を成功させてきた現代アートのトップキュレーター・長谷川祐子は、極めて理知的ながら生きることの楽しみをのびやかに追求する魂の自由人。まだ誰も見ぬ美の姿を探し続ける人の、思索の原点とは。前中後編の後編では、長谷川さんが今後めざす世界について語ってもらった。
ライフスタイルNEWS
2024年12月4日
-
抜群にこなれたスニーカースタイル
おしゃれな50代はスニーカーをどう履く?
-
【ユニクロ・GU】プチプラ高見えコーデ
真似したい!読者モデル 華組の着こなし集
-
エクラ公式通販の人気アイテムランキング
もう迷わない!50代が買うべき旬の服
-
【ZARA】トレンドおしゃれコーデ
50代はどう着こなす?読者モデル 華組コーデ集
-
イヴルルド遙華の12星座占い
毎月更新の12星座占い。大注目の開運ランキングも必見!
-
窓リフォームで快適&省エネに!
補助金も使えてお得!冬の部屋の寒さや光熱費の高さを一気に解消
-
50代に必要なのは即効性のあるコスメ
閉経してからキレイになる人は何が違う?
-
大人のためのヘアスタイル・髪型カタログ
髪のお悩み解決!若々しく見えるヘアスタイル
-
50代におすすめのファッションアイテム
人気ファッションアイテムを厳選してご紹介
-
シワ・たるみケアは毎日のお手入れから
ドモホルンリンクルの[基本4点]無料お試しセットはこちらから
-
コラーゲンを贅沢配合!大人肌に潤いとハリを
再春館製薬所の最新クリーム、美活肌エキスでエイジングケアを体感
-
一度は泊まりたい!高級ホテル・旅館
日常を忘れて至福のときが過ごせる極上の旅へ
-
【50代に人気のヘアスタイル・髪型カタログ】おばさんぽくならずに若見えを手にいれる!ショート・ボブ・ミディアム・ロング別
白髪や髪のボリューム不足、薄毛、パサつきなど40代、50代の髪悩みを解消するおすすめヘアスタイルを提案。ショート、ボブ、ミディアム、ロング別ヘアスタイルから知っておきたい最新ヘアケア事情まで、おばさんぽ…
-
50代を若々しく、あか抜けて見せる「冬のショートヘア」24選
おしゃれで若々しく見せたい!50代のショートヘアは前髪ありでもなしでも「生え際」が見えると老けて見えるから気をつけたい。冬のおしゃれは顔回りにボリュームが出るからショートヘアはすっきり見えて小顔効果も。
-
2025年初詣ならここへ行こう!全国パワースポット神社8選&知っておくべき参拝のルール【水晶玉子の開運!パワースポット案内 vol.4】
「初詣をただの習慣だとか思わないでくださいね」と水晶玉子さん。年の最初に厳かな気持ちで祈るのは大切なことだそう。2025年、パワーをもらえるすごい開運神社をご紹介。吉方位にある神社なら、パワーも倍増!
-
【気温12度の服装】日中の気温が12度の時の最適な服装は?40代50代におすすめのコーディネート6選
日中の気温が12度の日は何を着ればいい?服装のポイントや40代50代におすすめのコーディネートをご紹介。今回は、気温12度に最適なニットとワンピースのおすすめコーディネートをご紹介します。
-
小顔に見えて女らしさもアップ!40代に似合う「おしゃれなショートヘア」17選
40代になると髪が細くなったり、髪がパサついたり、ツヤがなくなったり、顔の印象も変わってきた...など、40代のお悩みを解決しながらおしゃれに見せるショートヘアをお届けします。