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※本記事の内容は、取材時点の情報になります。最新情報につきましては、直接各施設までお問い合わせください
秋が深まり、温泉が恋しくなる季節。次の旅は、日常を離れてゆっくりと過ごせる温泉宿へ出かけてみませんか。石川県の名宿から、食事も楽しめる新潟の宿、箱根や山梨の個性豊かな宿まで、大人の旅にふさわしい温泉宿6軒をご紹介。心ほどけるひとときを過ごせる、とっておきの一軒を見つけて。
石川県 かよう亭
日本の伝統的なおもてなしの最高のホスピタリティ
かつて、「日本一の朝食」が食べられる宿といわれたお宿。初めて訪問したのが、もう15年余り前。最初は、結婚前の主人と、そこから、家族がひとり増え、ふたり増え、今年も家族5人でうかがったばかりです。
すばらしいのは、まずは最高のホスピタリティです。私たちが何かリクエストした際、「できません」「むずかしいです」といわれたことは一度もありません。茶道で茶会を開くとき、ホスト側が茶室を隅々まで清潔に整えて、季節の花を飾ってお迎えしますが、こちらにうかがうと、そういった日本の伝統的なおもてなしの精神を体感できるのです。
もちろん温泉のお湯も最高です。源泉かけ流しで、温度も熱すぎず、ぬるすぎず、ちょうどよく。風で揺れる葉音と、鳥の声しか聞こえてこない中、冬ならしんしんと降る雪を見ながら入る露天風呂はこのうえない幸せです。
あとは忘れてはならないのが、日本酒。近くにある松浦酒造さん(安永元年創業)にいつも訪問します。現当主・杜氏の松浦文昭さんは、真摯に酒造りに向き合っていらして、特に発泡酒「鮮」は、シャンパーニュを彷彿とさせるすばらしいお酒です。お宿のかたたちが、山中という地を愛して、山中で受け継がれている伝統、工芸品などを大切にしていることが深く感じられます。
鶴仙渓の自然に囲まれた約1万坪の敷地に、わずか10室のみの静かな宿。数寄屋造りの客室はすべて離れに点在し、館内にはあえてテレビを置かず、川や風など自然の音と静寂を味わえる設計に。料理は加賀の旬の品を、器は土地の作家のものを使った、真心のおもてなしが味わえる。冬はカニや鴨治部煮、夏は天然鮎や加賀野菜が評判。贅沢だが、わが家に帰ったかのごとき、くつろぎを感じる一軒。
Data
石川県加賀市山中温泉東町1のホの20
☎076・78・1410
公式サイト
教えてくれた方
やまもと もな●’76年、東京生まれ。フリーアナウンサー。ワインエキスパートの資格をもつほどワイン好き。’25年には3度目の挑戦で司法試験に合格。
取材・原文/本誌編集部 ※エクラ2026年6月号掲載
新潟県 酒の宿 玉城屋
日本三大薬湯と酒ペアリング
冬の豪雪でも知られる山間の小さな温泉地に、酒好きが知る宿がある。四代目当主でソムリエ・利き酒師でもある山岸裕一さんが、ほかにない酒ペアリングで魅せる『酒の宿 玉城屋』だ。地産食材を生かしたイタリアン、フレンチベースの料理に合わせて供されるのは、料理を味わう「オプション」ではなく、味を完成させる「必然」としての日本酒。味の新境地を追求する山岸さんの仕事に寄せる蔵元の信頼は厚く、県内産を中心に希少な酒がそろうのも特筆すべき点だ。
東の草津、西の有馬と並び、日本三大薬湯に数えられる松之山温泉。太古の化石海水が自然湧出するユニークな温泉は、塩分濃度が高く、高い保温、保湿効果で知られる美肌の湯でも。酒とともに人々を魅了しつづけている。
全8室。客室「檜」の露天風呂
療養泉基準値の15倍もの成分を含む松之山温泉は、日本三大薬湯に数えられる名湯でもある
野菜たっぷり、魚沼のコシヒカリを楽しむ和朝食も人気
宿で長期熟成させた酒など、ここでしか飲めない酒も
Data
新潟県十日町市松之山湯本13
☎︎025・596・2057
公式サイト
東京都 ふふ 東京 銀座
温泉と庭でゆったりくつろぐ。銀座の空を眺める日本リゾート
東京・銀座の真ん中でゆったりと天然温泉につかり、美食を楽しんで、和の風情を楽しみながら心地よい眠りにつく。そんな新しい体験ができる日本リゾートが誕生した。’25年11月16日に開業した『ふふ 東京 銀座』は、全国各地にある日本リゾート「ふふ」の魅力を、日本を代表する繁華街である銀座でも展開した“都会の日本リゾート”だ。
『ふふ 東京 銀座』があるのは、1階にハリー・ウィンストンが入るビルの7階から12階。地下鉄の銀座一丁目駅に直結する便利な立地でありながら、館内には「ふふ」らしいプライベートを大切にした隠れ家的な雰囲気が感じられる。レセプションで迎えてくれるのは、銀座の土を用いて染めた、「銀座もとじ」とのコラボレーションで作成された布製のアート作品。館内の意匠は、奇を衒わない和の美意識でまとめられている。
すべての客室に天然温泉と庭つきのテラスを備えており、温泉は、「ふふ」の原点でもある熱海からの運び湯。肌当たりのよい温泉でゆったりと温まり、湯あがりに風を感じながらテラスのソファでくつろいでいると、ここが銀座とは思えない不思議な心地よさと浮遊感に満たされる。
夕食は、日本料理「銀座がゆう」で職人が仕上げた雅な日本料理を満喫して。朝食も、焼き物にうなぎの蒲焼きなどが登場して、朝から贅沢な気分を味わえる。宿泊料金には、宿泊のみや朝食つきのみの設定も用意されている。『ふふ 東京 銀座』で、伝統を守りつつも進化しつづける銀座の新しい魅力に、のんびりと浸ってみてはいかが。
エグゼクティブラグジュアリーコーナースイートの客室。10階の角部屋で約115㎡あり、樹木が植わる庭も広々
ルーフトップラウンジ「ゆそら」には、足湯があるブースやソファを設置。夕方はフリーフローを楽しめる
日本料理「銀座がゆう」は、全席個室のプライバシーに配慮した空間。10階と11階に宿泊するゲストは、レストラン食か部屋食を選択できる
全客室に天然温泉を設けている。檜材を用いた湯船はゆったりとしたつくり
text:Michiyo Tsubota ※エクラ2026年2・3月合併号掲載
神奈川県 仙石原古今
温泉も送迎もプライベートに。5室のみの贅沢ステイ
プライベートで上質なもてなしを満喫できる宿『鎌倉古今』の姉妹ホテル『仙石原古今』が、’24年2月2日に開業予定。箱根・仙石原の自然に抱かれた約1000坪の庭園に、スイートが5部屋のみという贅沢さ。全室に温泉、プライベートサウナ、水風呂を備え、パブリックバスでは、竹林の箱庭を眺める半露天風呂や薬草湯も楽しめる。夕食はレストランでオリジナルのモダンフレンチを、朝食にはこだわりの和食を提供。ゲストのさまざまな要望に全力で応えるホスピタリティは、5室のみだからこそ実現できるもの。庭には3匹のヤギが飼われていて、キッチンから出た残り野菜を飼料にするなど、循環型の施設を目ざすホテルだ。
隣のゲストを気にすることなく、ゆっくりと食事ができるレストラン
5室のうち、4室のリビングや浴室からは富士山の眺望を楽しめる。全室の浴室は20㎡という広さ
寝室には、シモンズ社製の大きなツインベッドを備える
126㎡もあるラグジュアリースイート「綾」のリビング。ほかスイート4室も92㎡というゆとりの空間
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1245の280
☎080・4893・5500(開業準備室)
公式サイト
取材・原文/坪田三千代 ※エクラ2024年2,3月合併号掲載
山梨県 ホテルキーフォレスト北杜
八ヶ岳の麓、標高1000mの場所に佇む「ホテルキーフォレスト北杜」は、現代アートと自然が響き合う全6室の“泊まれるミュージアム”。建築家・北川原温が手がけた独創的な建物は、縄文文化に着想を得たデザインが特徴。モダンな造形の中にも、どこか落ち着きを感じさせる空間となっている。敷地内には、1980年代のアメリカ美術を代表するアーティスト、キース・ヘリングの作品を中心としたコレクションを収蔵・展示する、世界で唯一の「中村キース・ヘリング美術館」があり、宿泊者は滞在中無料で入館できる。また、1日1組限定の露天温泉付きヴィラ「AYUS VILLA MISEN」(※冬季休業中で来年の春頃に再開予定)もあり、本格的なアーユルヴェーダを目的に訪れるなら、こちらを選ぶのもいい。
全6室の客室はそれぞれ異なるデザインで、どの部屋からも八ヶ岳の豊かな自然を望める。客室名は、縄文時代に使われていた言葉とされる「ヲシテ文献」に由来。太陽を意味する「UOSE(うおせ)」は、その名の通り、太陽の光がたっぷりと差し込むダブルベッドの客室だ。広々としたテラスで、澄んだ高原の空気を感じながら、心赴くままに過ごして。
館内では、季節ごとに趣向を凝らした企画展を開催。エントランスや廊下に展示された作品は、時間帯や光の加減によって表情を変え、鑑賞するたびに新たな発見がある。アートにどっぷり浸ったあとは、宿泊者限定のウイスキーバー「中村ウィスキーサルーン」へ。希少なヴィンテージウィスキーを片手に、贅沢な夜を過ごして。屋上テラスからの眺めも格別で、晴れた日には南アルプスや富士山を一望。夜には満天の星が頭上にきらめく。アートと美しい自然に心を委ね、感性を満たす滞在を。
施設の特長
・現代アートを鑑賞できる“泊まれるミュージアム”
・敷地内の中村キース・ヘリング美術館に無料で入館できる
・八ヶ岳の大自然を独り占めできる
山梨県北杜市小淵沢町10248-16
☎︎0551-36-8755
公式サイト
山梨県 銘石の宿かげつ
昭和39年、石和温泉に誕生した「銘石の宿かげつ」は、数多くの文化人や芸術家に愛されてきた名宿。約6000坪の広大な日本庭園には巨石や奇石が配され、館内の至るところから四季折々の草木とともにその景観を望める。純数寄屋造りの建物も趣深く、伝統美に包まれた空間が心を落ち着かせてくれる。古くから魔除けや幸運、美貌をもたらす石として親しまてきた山梨県水晶を用いたエステも、ぜひ体験を。
全33室の客室は、和室や洋室まで、さまざまなタイプが揃う。和室はすべての部屋から庭園を一望でき、なかでも「中の殿」は一度は泊まってみたい特別な一室。庭園を眺めながら露天風呂に浸かれるほか、テラスに出れば池の錦鯉に餌やりもできる。2024年には、愛犬と宿泊できる「別邸The One」も誕生。専用ドッグランや温泉風呂を備えており、大切な愛犬との旅をより特別なものにしてくれる。
甲州の名産品を中心に、旬の味覚を取り入れた会席料理を提供。秋には、ブドウや桃、梨、栗、ザクロなど、江戸時代に甲斐国(現在の山梨県)で生産されていた8種類の果物「甲斐八珍果」を用いた一品が登場する。冬は、ほうとうに似た富士川町十谷地区の郷土料理「みみ」を鍋仕立てで。風土と歴史が息づく甲州の味覚が、旅の記憶を深めてくれる。
施設の特長
・巨石や奇石を配した広大な庭園を望む客室
・静謐な時間が流れる純数寄屋造りの建物
・甲州の郷土料理に舌鼓を打つ
山梨県笛吹市石和町川中島385
☎︎055-262-4526
公式サイト
取材・文/海渡理恵 ※webエクラ2026年10月公開記事