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言語学者・堀田秀吾さんに聞きました
ほった しゅうご●明治大学教授。社会言語学、心理言語学、脳科学などさまざまな学術分野の知見を融合した多角的な研究を展開。自らを“エビデンス職人”と称している。
体の不調やメンタルの変化など、年齢とともに気になることが増えてくる40代・50代。毎日の生活に取り入れたいのが、科学的な研究に基づく「習慣」。体と心を健やかに保つ方法から、もの忘れやイライラなどの悩みに役立つ習慣、無理なく続けるコツまでご紹介。
科学的に証明された「すごい習慣」とは?
今の自分をアップデートして、より豊かで健康的な生活を手に入れるには、毎日の習慣がなにより大切! ベストセラー書籍でエビデンスのある“すごい習慣”を紹介している堀田秀吾さんに、アラフィー世代の体と心の悩みに効果的な方法を教えていただいた。
効く!続く!と話題
『科学的に証明された すごい習慣大百科』
堀田秀吾 SBクリエイティブ ¥1,760
著書『科学的に証明された すごい習慣大百科』がベストセラーとなった堀田秀吾さん。「書籍では仕事、勉強、ダイエット・健康、コミュニケーション、メンタル、生活の6カテゴリー別に、112個のテクニックを、見開き図解入りで掲載。想定以上に女性の読者が多く、たくさんの反響をいただきました。それがヒットの理由のひとつかもしれません。今回の特集では、アラフィー世代の体と心を健やかにする習慣をセレクト。ぜひ日常生活に取り入れてみてください」(以下、堀田さん)。
なぜ今「習慣」が注目されている?
堀田さんの著書『科学的に証明された すごい習慣大百科』は累計発行部数74万部を突破。ほかにも多くの習慣に関する書籍が話題に。「人間の生活は約半分が習慣によってできているといわれています。よい習慣を多く取り入れるほどQOLが上がることを実感する人が増え、習慣の選択や継続の方法に関心が集まっているのではないでしょうか」。
「習慣」についての本が続々!
“科学的に証明されている”ってどういうこと?
「科学の知恵を味方につけて人間の行動原理を理解すれば、習慣はストレスなく自然に続けられます。本書では、東京大学からハーバード大学まで、世界中の心理学、行動経済学、脳科学などの研究機関で証明された内容をもとにした、“もっとラクに、もっと自然に、習慣化できる方法”を紹介しています」
意志の強さは必要ない!習慣化のための3STEP
これさえ押さえておけば、三日坊主でも続けられる! 無理なく"習慣" を身につけるための、3つのポイントをご紹介。
STEP 1:考えるより、まず体を動かす
「脳のやる気を生み出す部位(=側坐核:そくざかく)は、何もしなければ働きはじめません。動き出すと徐々に刺激され、その行動にのめり込むように。“まずやってみる”のが、やる気のエンジンをかけ、調子を上げるための第一歩です」
STEP2:すでにしている習慣にくっつける
「毎日していることに新しい行動をつけ足すと、精神的な負担を減らしながら新しい習慣を定着させやすくなります。“朝コーヒーを飲む間に、英単語を5つ覚える”というように、既存の習慣と組み合わせて始めてみて」
STEP3:自然とできる仕組みをつくる
「人間の意思決定は、環境に左右されるところが大きいもの。裏を返せば、環境を整えれば行動をいい方向に変えることができるのです。勉強したいなら本を開いておくなど、“自然とやってしまう仕組み”をつくると効果的」
体に効く4つの習慣
すごい習慣①階段の上り下りで活力とやる気がアップ
「ジョージア大学のランドルフとオーコナーの研究によると、『10分間の階段昇降運動をすると、モチベーションが上がり元気になる』ことが明らかに。血流がよくなるため、脳がスッキリする効果もあります。短時間でも変化が期待できるので、まずは1分程度から実践してみて」
すごい習慣②コーヒーを飲んだあと、30分寝ると頭が冴える
「『コーヒーを飲んだあと、30分ほど寝ると頭が冴える』ことが、ラフバラ大学のレイナーとホーンの研究で実証されています。脳に最もいい影響をもたらすカフェイン効果は、飲んでから30分後に現れるため、昼寝との相乗効果によって覚醒度が上昇する、というわけです」
すごい習慣③映画館での鑑賞は軽い有酸素運動に匹敵する
「ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのデヴリンらが主導した実験では、『映画館で映画を鑑賞すると心拍数が顕著に上昇し、45分間は健康な心拍ゾーンにあった』ことがわかりました。この心拍数の上昇は、早歩きなどの有酸素運動に匹敵。脂肪燃焼にも役立つとされています」
すごい習慣④「感謝日記」をつけると、睡眠の質がよくなる
「『感謝日記をつけると幸福度が25%アップする』ことが、カリフォルニア大学デイヴィス校のエモンズとマイアミ大学のマッカラフの研究で判明。その結果、睡眠の質が改善したり、運動する機会が週に約1.5時間増えたりしたとのこと。一日の終わりに5つほどの感謝の記録を」
メンタルに効く4つの習慣
すごい習慣①自撮りや好きなものの写真を撮ると幸福感がアップ
「カリフォルニア大学アーバイン校のチェンの研究では、『自撮りをすると幸福度が上がる』ことが確認されました。最も効果的だったのは、笑顔の自撮り。自分を幸せにするものの写真は思いやり向上、他人を幸せにするものの写真はストレス解消に役立つこともわかっています」
すごい習慣②おでこをトントンすると、不安解消に効果あり
「タッピングは『EFT(感情解放法)』として知られ、ベングリオン大学のクロンドによると『不安解消に有効』と結論づけられています。また額のタッピングには、食欲を半分~3分の1程度まで抑制する効果も。指で30秒トントン刺激するアクションを一日4回ほど試してみて」
すごい習慣③爪のケアをすると自尊心が上がる
「自分の外見と自尊心は、大きく関連しています。京都大学の平松らの研究では、『爪にマニキュアを塗ると、緊張、疲労、落ち込みなどが軽減する』ことを確認。リラックスという点でも大きな変化が。爪は目に入る機会が多いため、特にいい効果が出やすいのだと考えられます」
すごい習慣④モノをハグしながら電話すると人間関係のストレスが軽減
「ハグをすると、幸せホルモンのオキシトシンが増加。国際電気通信基礎技術研究所のスミオカらの研究では、『見知らぬ相手と電話をする際に、抱き枕などをハグするだけでもその効果が現れる』ことが観察されています。脳の勘違いを利用することで、ストレスの軽減が可能に」
撮影/倉方真帆 取材・原文/藤本幸授美 イラスト/ミヤザキ ※エクラ2026年11月号掲載
お悩み別に効く習慣
お悩み1:もの忘れが激しい、固有名詞が出てこない
ボーッとする時間を増やす
ワシントン大学 レイクルらの研究
「何かを集中的・効率的に思い出そうとすると、脳の一部に多くの血流が流れ、ほかの部分にはリソースが注がれづらくなりがち。反対にぼーっとすると、脳の血流が均一になってエネルギーが全体に行き渡り、ひらめきを得やすくなります。一日の中で、ぼんやり何かを見つめたりお茶を飲んだりする時間を増やしてみて」
お悩み2:夫にイライラする頻度が増えています
左手をぎゅっと握る+3年覚えているか考えてみる
テキサスA&M大学 ピーターソンらの研究/カリフォルニア大学
バークレー校 ブルールマン=セネカルとアイダックの研究
「手を握ることで脳の左右の活動バランスが変化。左手を握ると、右前頭葉が働き、怒りや衝動的な反応が落ち着きやすくなることがわかっています。また、未来から現在を振り返る視点をもつのも有効。『3年後もこのことで怒っている?』と問いかけると、目の前のできごととの心理的な距離が生まれ、イライラがやわらぐように」
お悩み3:下腹がぽっこり出ているのも、習慣で引っ込む?
背中を伸ばすと、運動モードがON!
マドリッド自治大学 ブリニョールらの研究、ほか
「おすすめは、背すじを伸ばすこと。家の中でも移動中にも行うことができ、これだけで日常生活の動作で消費されるエネルギー『NEAT』(非運動性活動熱産生)が高まります。また、胸を張る姿勢をとると、自信をもてるようになるという研究結果も。姿勢をよくすることは、体にもメンタルにも好影響を及ぼすといえるでしょう」
お悩み4:子供の手が離れたけど、やりたいことが見つからない……
”偶然の出会い”が増えるような行動や外出を増やして
スタンフォード大学 クランボルツらの研究
「クランボルツらが提唱した『プランド・ハップンスタンス』(計画的偶発性理論)は、『人生の8割は偶然でできている』というもの。その偶然が起こりやすくなるよう意識することが大切だとされています。積極的に外出する、本を読むなど出会いの増える行動を起こすことで、“やりたいこと”が見つかる可能性が高まるはず」
Jマダムも「すごい習慣」を2週間続けてみた!
体に効く習慣をお試しKayoさん
「私にも続けられそう」と前向きなモチベーションが!
「継続が苦手で意志の弱い私でも変わることができるのか、とても興味がありました。感謝日記は、慣れるとスムーズに書けるようになり、読み返すたびに幸せな気持ちに。映画館では『Michael』を鑑賞。高揚感と満足感を味わい、脂肪燃焼に効果があるなら頻繁に通いたいと思っているところです。コーヒーナップは、確かに短時間でもスッキリ。頭がシャキッと冴えました。今後はダイエットも習慣化したいのですが、今回の経験を生かすことで続けられそうな希望を感じています!」
メンタルに効く習慣をお試しTOSHIMIさん
“まず動く”ことで気持ちも変わるのを実感できました
「今回感じたのは、"まず動く"ことの大切さでした。自撮りでは、自分の笑顔を見て明るい気分になっただけでなく、好きなカフェに出かける時間も楽しみに。ネイルも、ふと目にするたびに気分が上がり、自分を大切にしている実感がわきました。仕事関係のかたなどとの電話の際には、ぬいぐるみを抱き締めながら話すと、緊張がやわらぎ会話がはずんだことも。2週間の挑戦を通して、『気分が落ち込んだら自分にできることをやってみよう』と思えるようになったのが、大きな変化でした」
撮影/倉方真帆 取材・原文/藤本幸授美 イラスト/ミヤザキ ※エクラ2026年11月号掲載