【50代からの「はじめてのアレルギー」】その突然の不調、“アレルギー”かもしれません!

皮膚トラブルや鼻炎、体のかゆみ。突然のアレルギーデビューはエクラ世代特有の“事情”が関係している可能性が。アレルギー全般に詳しい福冨友馬さんが解説。
教えてくれたのは
福冨友馬(ふくとみゆうま)さん

福冨友馬(ふくとみゆうま)さん

相模原病院・臨床研究センターアレルゲン研究室室長。アレルギー全般に詳しく、著書に『大人の食物アレルギー』(集英社新書)。

心身の変化が免疫の過剰反応に拍車をかける

「大人になって発症するアレルギーは、子供のアレルギーと同様に鼻炎から食物、皮膚炎などさまざまです」と福冨さん。

「子供のアレルギーは男の子のほうが多いのですが、大人のアレルギーは女性のほうが断然多いです。生物学的な違いが関係しているようですが、理由はハッキリとはわかっていません。アレルギーとは、体内に入った特定の物質に対して免疫が過剰に反応して症状が出ることで、ストレスや不規則な生活などいわゆる『大人のライフスタイル』は、免疫の働きのバランスをくずす要因になります。エクラ世代だとこうした生活の積み重ねに、仕事での重責、身近な人との死別、ホルモンバランスの乱れなど心身や生活の変化が加わることも。これらがからみ合って、大人になって初めてアレルギーになるという人も多く、環境的な要因も大きいのが子供のアレルギーとの違いです。

アレルギーの症状は、ほかにも細胞で反応が起こるタイプ、化学物質過敏症のような厳密にはアレルギーではないものまで、実はとても多岐にわたります。ただ、もともとアレルギー体質でなかった人に突然症状が出る場合は、生活が乱れているときであるというのは、多くの患者さんを診てきた中で実感することです。アレルギーは、重篤な場合は命にかかわることもあるため軽く見てはいけませんし、症状がひどくなったり避ける必要のあるものが増えて生活に支障をきたすようであれば、正しい診断を受けるべき。ただ、ある程度自分で対処法がわかっていれば、生活改善などで症状をやわらげながらうまく付き合っていくこともできるのです」

Q.大人になってアレルギーデビューしやすい人は?

A.集中力を必要とする仕事の人がなりやすい傾向に
「一概にはいえませんが、診察する中での実感としては、根をつめてやるインドア系の仕事のかたは多い気が。集中力を維持するために砂糖やカフェインを多く摂取するなど、食生活の影響が大きいと考えられます。意外なところでは保育士さんも。食物アレルギーでは、特定の食物を頻繁に扱う職業のかたが、その食物にアレルギーを発症することがあります。また、もともと花粉症があり、その影響から食物アレルギーになるかたも今とても増えています」

集中力を必要とする仕事の 人がなりやすい傾向に

Q.大人のアレルギーで多いのは?

A.花粉症、食物、咳ぜんそくが大人の3大アレルギー
「鼻炎、なかでも花粉症による鼻炎がとても多いですね。次いで食物アレルギーも多く、今や成人の10人に1人はなんらかの症状があるとも。咳ぜんそくの症状のかたもいます。一方、子供に多いハウスダストは大人ではそれほど多くありません。多数派ではないにしろ、化粧品や金属によるかぶれ、日光による皮膚炎などさまざまなものを含めると、アレルギーは本当に種類が多いのです」

花粉症
スギやヒノキのほか、草の花粉でも発症。主な症状は鼻炎。近年の傾向では草の花粉が減り、カバノキ花粉に反応する人の割合が増加。

食物アレルギー
特定の食物を食べると皮膚の蕁麻疹、のどや口内の違和感や腫れが起きる。運動が加わるとアナフィラキシーを起こすことも。

咳ぜんそく
花粉やダニ、黄砂などによって気道に炎症が起き、1カ月以上空咳が続く。慢性的な炎症で気道が狭く、過敏になっている状態。

Q.アレルギーかどうか、自分で見極められる?

A.検査でしか判断不能! ただし検査でもわからないものも
「一般的なアレルギーは、IgE抗体の値が決め手で、これは検査しないとわかりません。IgE抗体が関係しないそのほかのアレルギー症状に関しては検査でもわかりません。いずれにしても自分で『アレルギーである』と判断するのはむずかしいでしょう」

Q.自然に治ることはある?

A.心身の状態がよくなると症状が出にくくなる場合が
「心身の状態が悪いときに発症したかたは、生活が整って心身の状態が改善すると自然にアレルギー症状も出なくなることが多いようです。アレルギー物質に完全に反応しなくなるという根本的なものではなく、症状としては出なくなると考えてください。あとは、加齢に伴って免疫の反応が鈍くなることで、症状が出にくくなることもあります」

心身の状態がよくなると症状が出にくくなる場合が
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