【有元葉子さんの夏の過ごし方】夏休みは山の家へ避暑に。何時間でも緑や空を見ています

人気料理研究家・有元葉子さんに、夏の過ごし方について聞いてみた。「ときどき自然の中に身を置くことが、私にはとても大事なようです。信州の山の中の小さな家で、静かなひとりの時間を楽しみます」

日本の夏はゆったりと、動きすぎず。静かに、心穏やかに過ごしたい

日本の夏はゆったりと、動きすぎず。 静かに、心穏やかに過ごしたい

野尻湖の山の家へは、東京から片道3時間半の距離。そこへ、2日の空きがあれば、車を飛ばして行くわけです。ずっと都会にいると、どうも窮屈になってしまって……。

山の家へ行って、何をするわけでもないのです。等高線に沿って山肌に立っている細長い平屋で、ダイニングキッチンと、ベッドをひとつ置いた寝室だけの家です。食べることと眠ること。必要最小限のことだけができるようになっている。

テレビも電話もない。そのかわり、壁一面が床から天井までのガラス張りで、目の前に圧倒されるような木々の緑が広がっています。椅子に腰かけて、何時間でも緑を見ています。私の憩いの時間です。

【有元葉子さんの夏の過ごし方】夏休みは山の家へ避暑に。何時間でも緑や空を見ています_1_2

お昼を過ぎて、よっぽど暑くなってくると山の下まで下りて、湖畔にあるレストランのテラスで午後を過ごします。端っこのテラス席に座ると、湖面を吹いてくる風が気持ちよくて。自然の風が一番涼しいですね。

山の家にはピアノも置いています。ここなら誰にも気兼ねなく、朝でも夜中でも好きな時間に好きなだけ弾けるので。

山の景色は刻々と姿を変えていき、一日中飽きることがありません。日が沈んだ直後は、一瞬景色があせるけれど、しばらくするとバーッと、空がなんともいえず美しい色になるのです。そういうシーンを見ると、胸がすく思いです。夏の夜の空は、ことさら美しいのです。

幼いころに習っていたピアノは、 ずっと私とともにある楽器。クラ シックの中でも、ショパンの交響 曲やアルビノーニのアダージョな ど、古い時代の音楽に惹かれます。 ピアノのほかにはチェロの音色も 好き。

幼いころに習っていたピアノは、ずっと私とともにある楽器。クラシックの中でも、ショパンの交響曲やアルビノーニのアダージョなど、古い時代の音楽に惹かれます。ピアノのほかにはチェロの音色も好き。アルビノーニのアダージョはチェロの演奏もよくて、山の家で大音量で聞くとすごく感動的です

道の駅で新鮮な野菜や花を買 うのも、山の家へ行く楽しみ のひとつ

道の駅で新鮮な野菜や花を買うのも、山の家へ行く楽しみのひとつ。元気いっぱいのハーブの苗は、東京に持ち帰ってベランダで育てます

山の家と東京では、不思議と映える器が違うのです。夏 の食卓に登場するのは、オーストラリアで見つけたブル ーのガラス皿、沖縄の大嶺實清さんのターコイズの器。

山の家と東京では、不思議と映える器が違うのです。夏の食卓に登場するのは、オーストラリアで見つけたブルーのガラス皿、沖縄の大嶺清(おおみねじっせい)さんのターコイズの器。海を感じさせる色は、山の緑とも相性がいいみたい

山の家は本当に山の中にあって、まわりに緑し かないのです。

山の家は本当に山の中にあって、まわりに緑しかないのです。窓から見えるのは緑と空と妙高山。聞こえるのは鳥の声、木から実が落ちる音、風にそよぐ木々の音。気がつくと2時間ぐらいぼうっと緑を見ていて、お茶にしようかな、と台所に立つ。そんな夏休みを過ごしています

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