【50代からはじめる語学】脳の最高潮期は56歳から!人工知能研究者に聞く"語学が大人の脳にいい理由”とは?

アラフィーの語学学習での大きな悩みは「記憶力の低下」。でも、実は、年齢を重ねると有利な脳の働きも!? 語学が大人の脳にいい理由について、人工知能研究者の黒川伊保子さんに聞きました。
お話を聞いた人
人工知能研究者 黒川伊保子さん

人工知能研究者 黒川伊保子さん

くろかわ いほこ●’59年、長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒。AI研究に携わったのち、言葉の感性の研究を始める。著書に『恋愛脳』(新潮文庫)、『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』(講談社+α新書)など多数。

大人には大人のメリットが! まさに語学の始め時

脳が年齢とともに衰えるから単語ひとつ覚えるのも苦労するというのは、どうやら思い込みのようだ。人工知能研究者の黒川伊保子さんによると、人の脳は14歳までに大人脳へと成長し、7年ごとに段階を経て、28年間であらゆる知識や感覚を得てピークを迎えるという。その後も試行錯誤を繰り返しながら、28年周期で成熟していくそうだ。「物事の優先順位が見えてくる脳の最高潮期は56歳から。単語を覚えるような単純記憶力のピークは28歳なので、若い世代にはかないません。でも、50歳を過ぎたころから、連想記憶力がすばやく使えるようになっていくのです」

50歳からは“連想記憶力”をすばやく使えるように

語学が大人の脳にいい理由
連想記憶力とは、感情や体験に紐づけされた記憶を引き出せる力のこと。黒川さんはアルゼンチンタンゴを習っており、踊りながらスペイン語の歌詞の意味や簡単な表現を教わっている。「その言葉を自分でも使うと、意外なほどすんなり記憶できるんです。また、ある単語を習っても、自分の体験に照らして深く納得したり、『こういう言い回しは日本語にはないけれど素敵』などと感動したりする力は、50歳以上のほうが上。連想記憶力が上がるにつれ、語学を楽しむ能力も上がるということ。大人の語学は『習ったことを忘れない』にこだわるよりも、『ひとつの言い回しをどれだけ味わえたか』を大切にするべきなんです」

“習ったことを忘れない”より、“ひとつの言い回しをどれだけ味わえたか”

イタリア語も学んでいる黒川さんは、イタリア人の先生に、「イタリアでは年齢のことを『もっている』と表現する」と教えてもらったことがある。自分は50歳だというときに、「私は、50年分をもっています」という表現をすることに感動を覚えたという。「イタリア人は年が上のほうが勝った感じがするのでは?と先生に質問したら、『もちろん! 特にイタリア人男性に若く見えるね、というとムッとされるよ』と教えてくれました。悲しみや慈しみの表現など、大人になったからこそ響く言い回しもあります。こうしたことに感動しながら学べるのは、大人の語学ならではの楽しみなのです」

“新しい外国語”は、好奇心を養うチャンス!

語学が大人の脳にいい理由

大人の語学学習で、ドラマや映画を題材にするのはぴったり!

外国語のドラマや映画を見るのも大人の語学にぴったりの学習法だという。「ドラマを見ながら、『この単語はレストランで使えそう』などと関連づけて覚えてみて。単純記憶で手にした単語は、経験を重ねるまでは覚えた意味でしか使えませんが、連想記憶で得た単語は応用力につながります」

年齢を“もっている”ぶん、度胸もある。少ない語彙力で間違っても恥ずかしさを乗り越えられるのは大人の強み。

「ヒトは、40代まではよりよい生殖のために特別な自分でいたいという本能があり、自分に強く興味があります。ところが生殖期間を終えると、自分への興味が薄れます。50代までに外への好奇心を養っておかないと、生きることが退屈になっちゃうんです。好奇心を外に向けるきっかけのひとつに、“楽しむ語学”があります。素敵な“次の50年”を生きましょう!」

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