【東京ではないところに住む】東京と山梨のUターン二拠点暮らしをスタートした建築家・標 由理さん

昨年からのコロナ禍で、東京を離れ地方へ移住する動きに大注目。そこで一足先に東京を離れた経験者に、移住の経緯、今の気持ちをインタビュー。今回は、昨年、山梨の実家と東京の二拠点暮らしをスタートした標 由理さんにお話を伺った。

CASE.2 Uターン二拠点

建築家 標 由理さん
しめぎ ゆり●夫・滝川淳氏とともに「コネクト一級建築士事務所」を主宰。昨年、山梨の実家へUターン。仕事、生活ともに東京と山梨の二拠点暮らしをスタート。ヨガインストラクターとしても活動予定。http://connect-arch.net

標さんの移住スケジュール

’11年ごろ 移住を意識しはじめる
’15年ごろ 山梨県甲府市近辺のリサーチ開始
’18年 実家のお母さまが亡くなる
’20年春 実家にてお父さまと同居開始

 

いつか出たいと思っていた場所が新たな暮らしの場に

南北に抜けた明るいリビングの外に広いデッキと庭が広がる
南北に抜けた明るいリビングの外に広いデッキと庭が広がる。吹き抜けの上の2階に標さん夫妻の仕事部屋と寝室、娘の個室がある

がむしゃらな時代を経てていねいな暮らしを大切に思う

美しい山並みに囲まれ、周囲に桃畑が広がる標さんの二拠点目の家は山梨の実家。東京以外の土地に住むことは10年前、東日本大震災の際に漠然とイメージしていたそう。

「田舎と東京との二拠点暮らしを考えはじめたのは5〜6年前。東京に通える距離と、家を出るとすぐ山、すぐ畑、というほどよい田舎感がある場所はどこだろう、と考えたら自然と山梨になりました。この家は私が大学院生のときに設計したんです。母が祖母の介護で家にこもる生活になるときだったので、旅行に行かなくても気分転換できるようおおらかなつくりに。その家で私が母を看取(みと)ったのも不思議な感じがします」。甲府で物件を探していた時期もあるけれど、父親ひとりになったことで実家へUターンすることに決めた。今、標さんと中学1年の娘はほとんどこちらで、夫は対面の仕事も多いため、週の半分は東京のマンションに暮らしながら仕事をしている。
2階の仕事部屋
2階の仕事部屋。山に囲まれ眺望は抜群
子供のころは、季節ごとに頻繁に行われるイベントなど、地域との濃密な交流をわずらわしく思っていたそう。

「いつかここから出てやる、と思ってましたね(笑)。大人になると反対に地域との接点を積極的にもちたいと思うようになりました。でもコロナの影響でそれもできず、ちょっと残念。東京の友人にも、梅の収穫に来てもらいたかったのですが」
周辺は桃の産地
周辺は桃の産地で、春はいっせいに桃の花が咲き乱れる。別名「桃源郷」。
約200坪という東京では考えられない広い敷地。庭で野菜を育て、樹木の手入れをしたり、家族で近くの神社や山へハイキングに行ったりと、田舎暮らしを満喫している。

「若いころは修業の身ですから、仕事も毎日深夜を回るくらい忙しかった。でもあのがむしゃらな時代があったからこそ、今のていねいに生きる生活を大切に思えるのかもしれません。今は家で図面を描き、週に1〜2日は東京へ行き、打ち合わせをしたり友人に会ったり。ヨガインストラクターとしても活動を始める予定でしたがコロナ禍でいったん保留の状況です」。この生活が始まって1年ほど。まだ東京の暮らしが恋しくなることはないという。

「それほど離れていないですしね。でも東京で暮らしているときと同じようにずっと『J-WAVE』を聞いています。3年前の母の介護で1カ月ここに滞在したときも、それが精神的な支えでした。音を聞くことで気分だけでも東京の暮らしを思い出しているのかも」
初夏は庭の梅で梅酒づくり
初夏は庭の梅で梅酒づくり。東京の友人を招きたかったけれどコロナでかなわず。「東京と山梨を行き来して互いの文化を享受したい」と願っている
これからも、何かのきっかけで住む場所や暮らし方が変わることは想定している。そのつど対応して行くつもり、という標さん。

「娘が5年後東京の大学に行くなら、東京のマンションは事務所兼娘の住まいになるかもしれないし、私の父や夫の両親の介護が始まれば、また変わってくると思います。でも、何があっても夫と娘、家族がいれば大丈夫。その時々で最大限楽しめる方法を考えていけると思います」
標 由理さん
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