食べ物が体をつくる──「医食同源」が根づいた中国で育ったウー・ウェンさんは、季節ごとに食べたい食材やがある。秋なら「きのこ」と「いも」。きのこで夏の疲れをとって体を整えたら、いもで冬に向かう体に栄養を補給する。理にかなった食事で秋と冬を健康に過ごしたい。
①きのこをたっぷり味わう「旬の中華7」
きのこには黒酢とこしょうがとても合う。切り方によって多様な味わいを見せてくれるエリンギの料理法もご紹介。
季節の変わり目、ご自愛ください
秋の風を感じたら、夏の疲れをとり、冬へ向かう準備を始めましょう。この時期に食べたい食材が、きのこといも類です。
きのこはカロリーが少ないので、体に負担をかけず、豊富な食物繊維やミネラルで暑さに疲れた体をリセットしてくれます。中国では「食用菌=食べられる菌」と呼ばれ、健康によい食材といわれています。多くの種類があって、それぞれの味と香りを楽しめるので、毎日のように食べても飽きません。調理法はいろいろありますが、炒めるときはじっくり中火で。きのこは80~90%が水分ですから、しっかり水分を飛ばし、味を凝縮させるのがコツ。ただし、特有のシャキシャキ感がなくならないよう、火を止めるタイミングを見極めて。
体をリセットできたら、旬を迎えるいも類で、寒さに打ち勝つパワーをしっかり体に取り込みましょう。
1.きのこスープ
“数種類のきのこのだしが醸し出す、深く豊かな風味”
「きのこのだしが味の決め手です。何種類かとり合わせれば、複雑な味わいになります。疲れた日の夕食は、このスープとごはんだけのことも。お酢は疲労回復に効き、たっぷり加えたこしょうが体を温めてくれます。なにより、食べてホッとします」
材料(2人分)
えのきだけ……100g
しめじ……100g
なめこ……100g
卵……2個
水……4カップ
[A]
黒酢……大さじ2
しょうゆ……大さじ1
こしょう……小さじ1/3
粗塩……ひとつまみ
ごま油……小さじ1
作り方
1.えのきだけとしめじは石づきを切る。卵は溶きほぐしておく。
2.鍋に水と1のきのこ類、なめこを入れる。中火にかけ、煮たったら弱火にし、5分煮る。
3.2にAを加えて味をととのえ、強火にして1の卵を回し入れる。ごま油を加えて香りをつける。
2.エリンギと鶏肉の炊き込みごはん
“エリンギと鶏肉のうま味をたっぷり吸った滋味あふれるごはん”
「エリンギは乱切りにすると、ジュワッとうま味を感じられます。鶏もも肉は切らずにそのままお米と炊き上げるから、縮まずふっくら。炊飯器の場合、肉が硬くならないよう、早炊きモードで炊いてください」
材料(2人分)
米……1½合
黒米……大さじ1
エリンギ……2本
鶏もも肉(皮を除く)……200g
下味
粗塩……小さじ2/3
こしょう……少々
酒……大さじ1
ローストしたクルミ……20g
作り方
1.鶏もも肉に下味をつけて30分おく。エリンギは乱切りにする。
2.米を研ぎ、ザルにしばらく上げて、米と同量の水(材料外)とともに鍋に入れて30分おく。
3.2に黒米を混ぜ合わせ、1をのせる。
4.米を炊く(電気炊飯器の場合は、早炊きモードで炊く)。
5.炊き上がったら、鶏もも肉を取り出してひと口大に切り、全体に混ぜ合わせる。器に盛り、クルミを散らす。
3.エリンギと豚ヒレ肉炒め
“脂肪分の少ない豚ヒレを使って、ヘルシーな炒め物に”
「食感を大切にするために、エリンギも豚肉も繊維に沿って細切りにするのがポイント。しんなりする直前に火を止めてシャキシャキ感を残しましょう」
材料(2人分)
エリンギ……2本
豚ヒレ肉……200g
長ねぎの薄切り……長さ10㎝分
[下味]
こしょう……少々
酒……大さじ1
片栗粉……小さじ1/2
[合わせ調味料]
しょうゆ……大さじ2/3
黒酢……小さじ1
ハチミツ……小さじ1
こしょう……少々
油……大さじ1
作り方
1.豚ヒレ肉は繊維に沿ってせん切りにして、下味をつけて20分ほどおく。
2.エリンギは繊維に沿ってせん切りにする。
3.炒め鍋に油を入れて中火にかけ、1を入れて、火が通るまでじっくり炒め、合わせ調味料で味をととのえる。長ねぎの薄切りと2を加え、エリンギがしんなりする直前まで炒める。火を止め、こしょう(分量外)をふる。
きのこの中で特にエリンギは切り方によって、味と食感に変化をつけられる楽しい食材。
4.エリンギと牛肉のオイスターソース炒め
“エリンギを薄切りにすれば、より香り高く、味わい濃く”
「エリンギは繊維を絶ち切るように薄切りにすれば、すぐに火が通り、噛めばじわりと味を感じられます。きのこも牛肉もこしょうたっぷりがおいしい!」
材料(2人分)
エリンギ……2本
牛薄切り肉……200g
[下味]
こしょう……少々
酒……大さじ1
粗塩……小さじ1/4
片栗粉……小さじ1/2
オイスターソース……大さじ1/2
粒こしょう……10粒
油……大さじ1/2
作り方
1.牛肉に下味をつけておく。
2.エリンギは斜め薄切りに切る。
3.粒こしょうをキッチンペーパーで包んで、麵棒などでたたく。
4.炒め鍋に油を入れて中火にかけ、1を入れて火が通るまで炒め、オイスターソースで味をととのえる。2を加え、しんなりする直前まで炒めて火を止める。3を散らす。
エリンギは軽くたわむくらいになったら、火を止めて食感よく仕上げる。
5.マッシュルームたっぷりの白身魚のソテー
“マッシュルームの香りとうま味がごちそうです。最後に蒸し焼きにすることで香りを閉じ込めて”
「マッシュルームが主役なので5〜6㎜厚さに切り、存在感を出します。魚を両面焼いてから、マッシュルームをのせて蒸し焼きに。うま味と香りを魚がたっぷり吸ったところで、ざっと合わせます」
作り方(2人分)
白身魚(写真はカジキマグロ)……2切れ
マッシュルーム……6個
[下味]
こしょう……少々
酒……大さじ1
粗塩……小さじ1/3
片栗粉……小さじ1/2
小ねぎ……2本
しょうゆ……大さじ1/2
花椒粉……小さじ1/3
油……大さじ1
作り方
1.白身魚はひと口大に切り、下味をつけておく。
2.マッシュルームは5〜6㎜厚さに切る。
3.炒め鍋に油を入れ、1を入れて中火にかける。色が変わるまで両面を焼き、しょうゆをかけ、2をのせる。弱火にして蓋をし、2〜3分蒸し焼きにし、全体を混ぜ合わせる。
4.2㎝長さに切った小ねぎを3にのせて火を止める。器に盛り、花椒粉をふる。
炒めた魚の上にマッシュルームをのせて蒸し焼きに。
6.舞茸と生しいたけの黒酢炒め
“きのこと黒酢はベストマッチ。ほかのきのこでもお試しを”
「きのこを炒めて蒸し焼きに。蒸気で熱をまわせば、しっかり火が通りつつ、シャキシャキ感が残ります。シンプルで飽きない秋の味です」
作り方(2人分)
舞茸……100g
生しいたけ……4個
黒酢……大さじ1
しょうゆ……大さじ1/2
こしょう……小さじ1/4
パセリのみじん切り……大さじ1
油……大さじ1/2
作り方
1.舞茸は食べやすい大きさに裂く。生しいたけは軸を切り、半分に切る。
2.炒め鍋に油を入れて中火にかけ、1を入れて油がなじむように炒める。黒酢を加えて蓋をし、弱火で2分ほど蒸し焼きにする。
3.2にしょうゆを加え、強火にして全体にからめて、こしょうをかけ器に盛り、パセリを散らす。
7.厚揚げとしいたけの煮物
“大きめに切り分けた厚揚げとしいたけのさっと煮。黒酢でさっぱり上品な味に”
「厚揚げを大きめに切ることで、質素な食材でもごちそうになるんです。汁が残ったら煮詰めてかけて。このひと手間で味がぐんとグレードアップします」
材料(2人分)
厚揚げ……1枚
片栗粉……小さじ1/3
生しいたけ……4 〜6個
クレソン……1束
[合わせ調味料]
黒酢……大さじ1
しょうゆ……大さじ1
ハチミツ……大さじ1/2
酒……大さじ3
油……小さじ1
作り方
1.厚揚げは4等分に切り、切り口に片栗粉を薄くまぶす。
2.生しいたけの軸を切り落とす。
3.鍋に油を入れて中火にかけ、厚揚げの片栗粉をつけた面を下にして入れ、さっと焼く。合わせ調味料を加えて煮たったら2を入れ、蓋をして弱火にし、3〜4分蒸し煮にする。
4.3に長さ半分に切ったクレソンを入れて蓋をして1分蒸し煮にし、器に盛る。汁気が残っていたら、少し煮詰めて回しかける。
残った調味料は煮詰めてとろりとさせて、仕上げにかける。
②秋から冬へ「おすすめ小皿3」
秋においしくなる食材は体に水分や栄養を与えてくれる。作りおきできて、どんな場面でも重宝するとっておきの3品。
1.長いものすりおろしスープ
“滋養豊かな優しい味わいは朝食に、夜食に。風邪予防にも”
「豆乳は無調整でも調整豆乳でも好みで使ってください。長いもの量はあくまでも目安です。たっぷり入れても。黒糖ときなこのかわりに、塩、こしょう味にしても」
材料(2人分)
豆乳……500ml
長いものすりおろし……150g
黒糖、きなこ……各適量
作り方
1.豆乳を弱めの中火でゆっくり温め、沸騰してからは弱火にし、7 〜8分、混ぜながら煮る。
2.すりおろした長いもを加え、とろみがついたら火を止める。
3.器に盛り、黒糖ときなこをのせる。
豆乳はいったん沸騰させてから弱火でかき混ぜながら煮る。
2.さつまいものサラダ
“香り高いねぎ油がさつまいもの甘味を引き立てる大人のサラダ"
「りんごの柔らかな酸味とねぎ油が味を引き締める。さつまいもはたくさん蒸して、サラダにしたり、オリーブ油でカリッと焼いて塩をふり、朝ごはんに」
材料(2人分)
さつまいも(中)……1本
りんご……1/4個
ねぎ油※……大さじ1
粗塩…… 小さじ1/3
※ねぎ油の材料と作り方
長ねぎの斜め薄切り1/2本分と油100mlをフライパンに入れて、長ねぎがキツネ色になるまで、ゆっくりじっくり揚げる。
作り方
1.さつまいもは蒸気の上がった蒸し器で強火で3分、弱火で30分蒸す。そのまま30分おく。
2.1のさつまいもとりんごは皮ごと1.5cm 角に切る。
3.2とねぎ油、粗塩を合わせる。
3.蒸しなす
“蒸しなすは皮をむいて。軟らかな口当たりを楽しみます”
「野菜で水分を補給しましょう。私にとって、蒸しなすは飲み物。大きなセイロにたくさん蒸して保存し、タレと香味野菜を変えては楽しみます」
材料(2人分)
なす……5本
作り方
1.なすの皮をむき、蒸気の上がった蒸し器で強火で2分、弱火で7分蒸す。火を止めてそのまま20分おく。
2.食べやすく切って器に盛り、好みのタレ(材料1:1の割合)と香味野菜で。
※上の写真は「しょうゆ・黒酢・白練りごま・香菜」
(左から)
●しょうゆ・黒酢・白練りごま+香菜
●柚子こしょう・ごま油+大葉
●豆板醤・ごま油+みょうが
●粗塩・こしょう・オリーブ油+ミント
丸ごと蒸すので、中の水分を逃がさず、おいしさキープ。
③ウーさん流「定番中華3」
目からウロコの簡単な作り方の裏には、ウーさん流の工夫がたくさん。難易度の高い技はいっさいなし。誰もが好きな定番レシピの決定版。
1.酢豚
“北京の酢豚は豚肉だけで。甘酸っぱい香りが食欲をそそる”
「豚肉はかたまりではなく、とんかつ用を使うと切るのが簡単です。揚げ油は1カップで。これなら揚げ物もストレスがないでしょう。豚のうま味が溶け込んだ油は炒め物などに利用して使いきります」
材料(2人分)
豚肩ロースとんかつ用肉……2枚(約200g)
[下味]
こしょう……少々
酒……大さじ1
粗塩……小さじ1/4
片栗粉……大さじ1
にんにく……1片
[合わせ調味料]
黒酢……大さじ1½
しょうゆ……大さじ1
ハチミツ……大さじ2/3
しょうがのすりおろし……小さじ1
酒……大さじ2
白ごま……適量
揚げ油……1カップ
作り方
1.豚肉は1.5㎝幅に切り、下味をつける。
2.180℃の油で3分ほど揚げ、油を切っておく。
3.炒め鍋に合わせ調味料を入れ、煮たったら、包丁の腹などでつぶしたにんにくを入れ、2を加えてしっかりからめる。器に盛り、白ごまをふる。
2.卵とトマト炒め
“卵はゆっくり火を入れて固めるのがコツ"
「溶いた卵を流し入れたら、箸などで触らず、しばらく動かさないで。ふんわりと固まったらトマトを入れましょう。トマトの汁気を卵が吸ったらおいしく仕上がった証拠」
材料(2人分)
トマト……2個
卵……3個
粗塩……小さじ1/4
こしょう……少々
にんにく……1片
水溶き片栗粉……片栗粉小さじ1+水大さじ1
油……大さじ1
作り方
1.トマトはヘタを除き、ひと口大の乱切りにする。
2.炒め鍋に油を入れて中火にかけて熱し、溶いた卵を流し入れて、弱めの中火にし、ゆっくりと固めるように動かさずに火を入れる。
3.1のトマトを加えて炒め、塩をふる。トマトの角がとれてきたら、包丁の腹などでつぶしたにんにくを加え、卵とトマトをざっくり合わせる。にんにくの香りが出たら水溶き片栗粉を入れてとろみをつけて、こしょうをふる。
卵が固まったら、空いている部分にトマトを入れ、卵をのせて火入れする。
トマトの角がとれたら全体をさっと合わせる。
3.麻婆豆腐
“麻婆豆腐は煮物です。煮ながら豆腐に味をしみ込ませます”
「わが家では豆板醤は使わず、豆鼓と花椒で味を決めます。豆鼓は黒豆を発酵させた調味料で、味に深みが出ます。豆腐は軽く水きりをするだけで大丈夫です」
材料(2人分)
もめん豆腐……1丁
牛薄切り肉……100g
酒……大さじ1
豆鼓のザク切り……15g
粗挽きとうがらし粉……大さじ1/2
しょうゆ……大さじ1
小ねぎの小口切り……2本分
油……大さじ1
水溶き片栗粉……片栗粉小さじ1+水大さじ1
花椒粉……小さじ1/3
作り方
1.もめん豆腐は2㎝の角切りにし、ザルに入れて20分ほど水きりする。牛肉は粗く刻む。
2.炒め鍋に油を入れて中火にかけ、1の牛肉を入れて色が変わるまで炒める。酒をふり、水分が飛んだら豆鼓と粗挽きとうがらし粉を入れ、香りが出るまで炒める。しょうゆを加えて香りが出たら、1の豆腐を入れてからめる。
3.2に水1/2カップ(材料外)を加え、煮たったら弱火にして、ふたをして5〜6分煮る。水溶き片栗粉を加え、とろみがついたら花椒粉をふり、小ねぎを散らす。
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