知るだけでもスッキリする!? 気になる胃の知識Q&A

胃に関する素朴な疑問に、兵庫医科大学副学長 三輪洋人先生が回答。知っておくと、胃の重大な病気予防につながり、不安も減るから要チェック!
兵庫医科大学副学長 三輪洋人先生

兵庫医科大学副学長 三輪洋人先生

兵庫医科大学病院副院長・消化器内科 主任教授・診療部長・内視鏡センター長。医学博士。専門は消化器内科一般、上部消化管疾患。著書は『胃は歳をとらない』(集英社)など。

Q.とりあえず食欲があれば、胃に問題はないと思っていい?

A.食欲の有無だけで、胃の健康は測れません
「胃の調子と胃の病気は相関せず、食欲があっても胃がんが見つかることもあります。胃の調子がいい100人のうち3人に胃がんが見つかる一方で、胃の調子が悪い100人のうちにも3人に胃がんが見つかるというデータも。胃の調子がいい=胃の病気がないというわけではないので、定期的に検査を受けるのが理想的」

Q.50歳前後になって胃が不安定になったのは、更年期のせい?

A.明確なエビデンスはなし。でも…
「今のところ、更年期のせいで胃の調子が不安定になるというデータは特になし。ただ、更年期には女性ホルモンの減少で自律神経が乱れやすくなるのは事実なので、それにより胃の調子が不安定になることはありえます。どちらにしても自律神経の問題なので、リラックスを心がけて」

Q.病院に相談するタイミングの目安は?

A.症状が1カ月続くようなら、病院に相談を
「胃の不調があって1カ月たっても改善しないなら消化器科を受診しましょう。もちろん、強い痛みや嘔吐などひどい症状がある場合には、もっと早く受診を。また、ピロリ菌がいることがわかっていて除菌していない人も不調があったら早めの受診が肝心」

Q.アラフィー以降かかりやすい、胃の病気とは?

A.3大疾病は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん
「アラフィー女性に多い胃の病気は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんの3つ。ただこれらはピロリ菌が原因の場合が多いので、感染していない場合は神経質になりすぎずに。またピロリ菌に感染していても、特に胃の不調がない場合もあるので、健康診断の際にピロリ菌検査をしておくのも手です」

Q.やっぱり内視鏡ってつらいの?

A.どんどん進化しているので怖がらないで
「胃の内視鏡検査は、最近は麻酔をして眠っているうちに行うのが一般的で、痛みなどをあまり感じずに受けられます。また近年、採血で胃がんはじめ、さまざまながんを発見できる検査も登場し、今後、もっと増えていくと思うので、胃の重大な病気の疑いがあっても、必ずしも内視鏡検査を受ける必要はなくなっていくと思います」

Q.日本人は欧米人よりも胃が弱いというけれど……?

A.今はそうではありません
「かつては日本人は欧米人よりピロリ菌感染者が多かったので、胃炎や胃潰瘍などになる人が多く、胃が弱かったと考えられます。でも、現在は、下水道の普及でピロリ菌感染者が減ったうえ、除菌をしている人も多いので、欧米人と日本人の胃の強さは変わらないと思います」

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