アラフィーに急増中!「胃の不快感」は年のせいではない?正しい原因や対策法を医師が解説

アラフィーになって、胃がもたれたり、胃が重かったり、胸やけがしたりと、胃の不調が増えたと感じている人が多数。これって年のせい!?と思いがちだけれど、実は原因は加齢以外にあり! 正しい原因や対策を知って、胃の不快感にサヨナラを。
教えてくれたのは
兵庫医科大学副学長 三輪洋人先生

兵庫医科大学副学長 三輪洋人先生

兵庫医科大学病院副院長・消化器内科 主任教授・診療部長・内視鏡センター長。医学博士。専門は消化器内科一般、上部消化管疾患。著書は『胃は歳をとらない』(集英社)など。

 
①胃の不快感「年のせい」ではない?

マンガでわかりやすく“胃の不快感あるある”をご紹介。
マンガでわかりやすく“胃の不快感あるある”をご紹介。
マンガでわかりやすく“胃の不快感あるある”をご紹介。
マンガでわかりやすく“胃の不快感あるある”をご紹介。
マンガでわかりやすく“胃の不快感あるある”をご紹介。
マンガでわかりやすく“胃の不快感あるある”をご紹介。
マンガでわかりやすく“胃の不快感あるある”をご紹介。

 
②胃の不調7つの症状

感じる胃の症状は人それぞれで違うのも大きな特徴

胸やけ

胸やけ
胸のあたりが熱く焼けるような感じの症状。消化不良などで起きる。

胃が重い

胃が重い
胃の蠕動運動が鈍くなると飲食物が停滞するので重く感じやすい。

食欲がない

食欲がない
胃の上部が膨らまないと早期満腹感が現れ、食欲がなくなりやすい。

おなかが張る

おなかが張る
胃の蠕動運動が鈍く、内容物が送り出せないとおなかが張りやすい。

キリキリと痛む

キリキリと痛む
自律神経の乱れによる胃の知覚過敏が原因。胃潰瘍などでも起きる。

ゲップが多い

ゲップが多い
胃にたまったガスが口から出るのがゲップ。胃の動きの悪さが原因。

酸っぱいものがこみ上げる

酸っぱいものがこみ上げる
特に食後に起きやすい症状。こちらは逆流性食道炎でも起きやすい。

 
③胃が“スッキリ”しない2大原因

アラフィーの胃の不調は、加齢のせいではなかった!

ストレスや胃酸を増やす食生活が胃を弱らせる

胃や腸などの消化器は体で最も重要な臓器。そのため“胃は年をとらない”といわれるほど丈夫にできているので、不調が起きるのは、加齢以外に原因があると話すのが三輪洋人先生。

「胃の不調を訴える人の胃を内視鏡で調べても、異常が見つからないことのほうが多いです。これは胃そのものには異常がなくても、“働き”に問題があるためで、現在はこのタイプの患者さんが増えています。その原因のひとつが自律神経の乱れ。自律神経には、緊張時に働く交感神経と、リラックス時に働く副交感神経があり、交感神経が優位のときには胃の動きが止まります。現代人はストレスが多くて常に交感神経が優位になりがちなので胃の動きが悪くなり、不調が起きるのです」

そしてもうひとつの原因が“胃酸”。
「飲食をすると胃酸が分泌されますが、脂っこいものをとりすぎたりすると胃酸が出すぎてしまいます。これが続くと胃酸が食道や十二指腸に逆流して、胸やけやゲップや胃もたれなど、さまざまな胃の不調が起きるのです」

そのほか、ピロリ菌も胃の不調の原因に。以下でさらに詳しく解説!

これが胃が“スッキリ”しない、2大原因!

これが胃が“スッキリ”しない、2大原因!

【原因1】ストレスや疲れによる自律神経の乱れ

《仕組み》
「胃の動きをつかさどるのが自律神経。リラックスして副交感神経が優位のときは胃の働きは活発になりますが、ストレスがかかったときや、緊張・興奮時は交感神経が優位になり胃の働きは抑えられます。そのため交感神経優位の状態が続くと、胃重、胃もたれ、胃痛などさまざまな胃の不調が発生。これは『機能性ディスペプシア』と呼ばれる病気で、最近この病気の人が急増中」

《主な症状》
□胃がシクシク痛む
□胃が重く感じる
□すぐにおなかが膨れる
□胃がもたれる
□胃がムカムカする など

機能性ディスペプシアの可能性アリ!

機能性ディスペプシアとは?

自律神経の乱れで消化活動が抑えられ、不調が発生

機能性ディスペプシアと診断されるのは、どんな場合かをまず知っておこう。

「機能性ディスペプシアの診断の基準は、内視鏡検査で、胃にびらん(ただれ)や、炎症、潰瘍、がんなどの異常はないのに、胃が痛い、重いなど不快な症状が続く場合です。症状が週2〜3回以上、1カ月以上続くなら、機能性ディスペプシアと考えられます」

この病気の原因には、>>「胃の不調の原因」記事で紹介したように自律神経の乱れが関係。

「通常は食事をして胃に食べ物が入ると、胃の上部が膨らんで胃酸が分泌され、胃が波打つような蠕動運動をして食べ物を細かく砕きながら胃の出口に運びます。でも、ストレスなどで交感神経が過剰に優位になると、この消化活動が抑えられます。胃に食べ物が入っても上部が膨らまないので食べはじめてすぐ満腹感を感じたり、蠕動運動が鈍くなって胃に内容物が長くとどまり胃もたれが起きたりします。また、胃の知覚が過敏になって、胃酸の刺激や胃の収縮を痛みと感じることもあります」

ただ、現在は薬などで治療が可能に。治療法は下記をチェック。

「機能性ディスペプシアは、早食い、よく噛まない、食事の時間が不規則という習慣がある人に多く見られます。また、食べすぎたときや、脂っこいものを食べたときに症状が出やすいので、こんな習慣の見直しも不可欠です」

正常な胃はこう動く

《1》ためる

正常な胃はこう動く

《2》混ぜる

正常な胃はこう動く

《3》送り出す

正常な胃はこう動く

自律神経が乱れると

《ためる、送り出すが不全に》

自律神経が乱れると

《さらに知覚過敏まで!》

自律神経が乱れると

治療法は?

「機能性ディスペプシアの治療には、『アコチアミド』などといった胃の運動機能を助ける薬が用いられます。この薬を服用すると、胃の上部が膨らむようになったり、蠕動運動もスムーズになり複数の不調を改善できます。また、胃の知覚過敏で胃酸の刺激を痛みと感じる場合には胃酸分泌抑制薬を用いたり、ストレスを緩和する抗不安薬や抗うつ薬のほか、胃の働きを活発にする漢方薬を用いることもあります」

【原因2】食べすぎや食生活による胃酸分泌異常

《仕組み》
「胃酸とは胃壁から分泌される強酸性の消化液。胃に飲食物が入ってくると胃酸が分泌され、消化されて十二指腸に送られます。ただ、脂っこいものや動物性タンパク質を食べすぎたりすると、胃酸の分泌量が増え、それによって胃の痛みや胃もたれなどが起きることも。また、増えた胃酸が食道に逆流する“逆流性食道炎”にもなりやすく、そうなると胸やけやゲップ、酸っぱいものがこみ上げるなどの症状が生じます」


《主な症状》
□ゲップがよく出る
□酸っぱいものがこみ上げる
□胸やけがする、胸が痛む
□食べ物がのどにつかえる
□吐き気がする など

逆流性食道炎の可能性アリ!

逆流性食道炎とは?

胃の入口の閉まりの悪さや、胃酸の増加によって逆流

胃酸が食道へ逆流する逆流性食道炎。

胃酸が逆流してしまう理由とは?
「食道と胃の境目には、噴門という開閉部があります。この噴門は飲食物が通るとき以外は、横隔膜と、下部食道括約筋という筋肉によって閉じられていて、胃の内容物や胃酸の逆流を防いでいます。でも、加齢や食べすぎ、脂っこいもののとりすぎ、肥満、前屈み姿勢などが原因で下部食道括約筋はゆるみやすくなり、すると噴門が閉まらず胃酸の逆流を招くのです。また、動物性タンパク質など胃酸の分泌を増やすもののとりすぎも逆流を招く原因。そして逆流した胃酸で食道粘膜に炎症が起きるのが逆流性食道炎です」

逆流性食道炎の代表的な症状が、胸やけや、酸っぱいものがこみ上げてくるような“呑酸(どんさん)”という症状。また、上のリストのように、胃以外の部分に症状が出ることも。

このような症状があったら消化器科へ。下記のような治療法で改善が可能。

「逆流性食道炎は軽症なら自然に治ることもあります。ただ、放っておいて重症化すると食道に潰瘍ができて、出血や穿孔(せんこう)(孔(あな)があく)につながったり、食道の粘膜の性質が変化する“バレット食道”になって食道がんのリスクが高まることも。ですから逆流性食道炎のような症状があったら、早めに受診をして治療をすることが大切です」

原因は、胃の入口の筋肉のゆるみ!

 

 

 

 

《正常な胃》

逆流性食道炎

《逆流性食道炎の胃》

逆流性食道炎の胃
正常な胃は、下部食道括約筋によって噴門(ふんもん)が閉じているので、胃酸は逆流しない。しかし、なんらかの原因で下部食道括約筋がゆるむと、噴門がきちんと閉じないため胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症が起き、逆流性食道炎になってしまう。

CHECK LIST
逆流性食道炎の症状は胃の症状だけではない!

(胃の主な症状)
□胃がムカムカとして重い
□胸やけがする、胸がつかえる
□酸っぱいもの、苦いものがこみ上げる
□吐き気がする

□おなかが張る

(胃以外の部分の症状)
□のどがヒリヒリする
□声がかすれる
□心臓が痛い
□咳が出る
□耳のあたりが痛む

胃には胃酸から胃壁を守る仕組みがあるが、食道の内壁には粘膜を守る仕組みがないので、胃酸が流れ込むと粘膜が傷み、食道の内壁に分布する感覚神経などが刺激されて上記のような症状が起こる。胃や食道以外に症状が出ることもある。

治療法は?

「逆流性食道炎は、胃酸の分泌を抑える『プロトポンプ阻害薬』などの薬での治療がメイン。胃酸の分泌が抑えられることで食道の粘膜の傷も回復し、症状が改善することが多いです。ただ、粘膜の傷が治りきらないうちに服用をやめると再発しやすいので、医師の指示どおりに服用することが大事。改善しない場合は、食道の動きを改善する薬や、胸やけを中和する制酸薬、食道の粘膜保護薬などを用いることも」

人によっては、ピロリ菌感染が原因の場合も!

《仕組み》
人により胃の不調の原因になるのがピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)。「ピロリ菌は胃に炎症を起こし、胃潰瘍や胃がんなどの原因に。乳幼児期に不衛生な水などから感染するので、衛生環境がよい時代に育った若い人ほど感染が少なく感染者の多くは60歳以上ですが、アラフィー世代にも可能性はあり。胃不調が続いた場合、感染を疑ってみて」

《主な症状》
□胃がシクシク痛む
□胃が重く感じる
□胃がもたれる など

ピロリ菌感染が疑われる場合は?

胃炎、胃潰瘍、胃がんの原因になるピロリ菌は、除菌するにかぎる!
>>「胃の不調の原因」記事で紹介したように、胃の不調はピロリ菌が原因の場合も。「ピロリ菌に感染していると、ほぼ100%胃に炎症が起き、これが何年も続くと胃の粘膜が徐々に薄くなって萎縮性胃炎になり、胃酸の分泌も減ってしまいます。萎縮性胃炎は胃がんの原因にもなるので、胃の不調がある人はまずはピロリ菌に感染していないか検査をして、感染していた場合は除菌をしましょう。ただし、ピロリ菌の除菌をすると、胃酸が急に増えて逆流性食道炎になることがあるので、除菌後に胃の調子がよくなったからといって食べすぎたりしないように気をつけましょう」。(三輪先生)

どんな検査でわかるの?
ピロリ菌の検査は消化器科や内科などで可能。胃の内視鏡検査で調べられるほか、呼気をとって特殊な尿素に由来する二酸化炭素が排出されるかどうかで調べる方法や、検便で調べる方法、血液や尿、唾液を採取してピロリ菌に対する抗体が含まれているかどうかを調べる方法などで感染の有無がわかる。

治療法は?
ピロリ菌に感染していたら、抗生物質を朝晩1回ずつ、1週間飲み続けることで除菌ができる。その4〜8週間後に再びピロリ菌の検査をし、陰性であれば治療終了。除菌できなかった場合は、別の抗生物質を同様に1週間服用。2次除菌まで受けるとほとんどの場合、除菌が完了する。除菌は保険適用。

 
④胃がスッキリする7つのメソッド

胃に負担をかけない食事と自律神経を整える生活を

元気な胃を取り戻すために、心がけたいことを三輪先生にうかがった。

「まず見直したいのは食習慣です。早食いや食べすぎ、食事時間が不規則、食後にすぐ横になるなどといった習慣は、胃に負担をかけ、胃酸過多や胃酸の逆流を招くので改善を。自律神経を整えることも大事なので、リラックスできる時間を増やしてストレスをうまく発散し、十分な睡眠をとって、生活リズムを整えることも大切です。また、肥満で内臓脂肪がたまると胃を圧迫して胃酸が逆流しやすいので、食事を見直したり、運動をしたりして適正体重に戻すこともポイントです」

簡単にできる以下のメソッドを実践し、スッキリ胃を手に入れて。

メソッド1.「脂」「酸」「辛」「熱」禁止!

食事で控えたいのがまず脂っこいもの。「その理由は、脂肪を消化する過程で分泌されるホルモンには下部食道括約筋をゆるめる作用があるので、胃酸が逆流しやすくなるからです。また、酸性度が高いものは胃や食道の粘膜を刺激して胸やけを起こしやすいですし、辛いものや熱いものはその刺激で胃や食道の知覚過敏を招き、少量の胃酸の逆流でも胸やけしやすくなるので、控えめに」。

メソッド2.肉よりも魚や大豆製品を!

タンパク質は、胃のことを考えるなら肉よりも魚や大豆を。「肉よりも魚や大豆製品のほうが消化がいいので、胃酸の分泌される時間も短くて済み、胃に負担をかけません。魚の中でも特にイワシやサンマ、アジなどの青魚に含まれる油は、胃酸の分泌を抑える効果もあり、おすすめ。肉をとる場合は、鶏ささ身肉や、鶏むね肉などの脂肪の少ないものを選べば、消化は比較的早めです」。

メソッド3.眠るときは、左を下に!

寝ると逆流性食道炎の症状が出やすい人は、左を下にして寝るのが◎。「胃の約3/4は中心より左に寄っていて、左側のほうが内容物がたまるスペースが広いので、左を下にして寝ると胃酸が逆流しにくいのです。ただし、食べすぎの消化不良で胃もたれするときは、右を下にして寝るほうが消化物が早く送り出されておすすめ」。
胃の右側は左側よりスペースが広くないので、右を下にして寝ると胃酸が逆流しやすい。消化不良のときは右下寝でOK。
胃の右側は左側よりスペースが広くないので、右を下にして寝ると胃酸が逆流しやすい。消化不良のときは右下寝でOK。
胃の上部のスペースは左側のほうが広いので、左を下にして寝ると胃の左側に内容物がたまって胃酸が逆流しにくい。
胃の上部のスペースは左側のほうが広いので、左を下にして寝ると胃の左側に内容物がたまって胃酸が逆流しにくい。

メソッド4.胃薬は症状に合わせて選ぶ!

胃の不調があるときは、とりあえず市販薬を飲むのも手。「胃の不調に対応する市販薬には、以下のようにさまざまなタイプがあります。選ぶ際には、自分の症状のうち、最もつらいのはどれかという優先順位を考えて、パッケージの説明と照合して選びましょう。選び方に迷ったら店舗の薬剤師に相談を。市販薬を飲んでもつらい症状が3日以上続く場合や、市販薬を飲んでも症状が改善しない場合は、消化器科や内科へ」。

薬名 胃酸分泌抑制薬
主な症状と決め手の成分
胃酸の分泌を抑えるH2ブロッカーや、M1ブロッカーなどの成分が配合された薬。M1ブロッカーはH2ブロッカーより胃酸抑制効果は弱いが、胃粘膜の保護作用をあわせもつ。胃酸過多で、胃痛や胃もたれ、胸やけがしたときなどに。

薬名 制酸薬
主な症状と決め手の成分
胃酸分泌抑制薬と同様に、胃痛、胃もたれ、胸やけなどに有効。炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウムなどが含まれ、過剰に分泌された胃酸を中和して酸度を抑え、胃粘膜がダメージを受けないように保護する。

薬名 胃粘膜保護・修復薬
主な症状と決め手の成分
胃の粘膜を保護して修復するテプレノンやカンゾウなどの成分や、胃粘膜を保護するスクラルファートなどの成分が配合された薬。空腹時の胃痛や吐き気などに。消化剤や健胃剤も配合され、胃痛や胃弱に対応する薬もある。

薬名 消化剤
主な症状と決め手の成分
消化酵素と同じように働く成分のリパーゼやジアスターゼ、ウルソデオキシコール酸などの成分が含まれ、消化吸収を助ける薬。食べすぎ、飲みすぎ、脂っこいものを食べたあとの胃痛、胃もたれなどに効果的。

薬名 健胃剤
主な症状と決め手の成分
オウバク、センブリなど、味覚や嗅覚を刺激し、唾液や胃液の分泌を促すような生薬の成分が含まれ、胃の働きを元気にする薬。飲みすぎ、二日酔い、食べすぎのむかつき、胃もたれ、食後の胃痛や胃もたれなどに。

薬名 鎮痛鎮痙(ちんけい)剤
主な症状と決め手の成分
副交感神経を活発にする神経伝達物質アセチルコリンの働きを抑える抗コリン剤を配合し、副交感神経が活発になりすぎることで起こる胃や腸の痙攣や痛みを予防。ストレスや緊張で胃が痛むときや、痙攣するような胃痛に。

薬名 総合胃腸薬
主な症状と決め手の成分
胃粘膜保護成分や、消化成分、健胃成分など複数の成分がバランスよく配合されているのが総合胃腸薬。不快な胃の症状がいろいろあって、どの薬を選んでいいかわからないときなどに最適。

メソッド5.今すぐ、ねこ背解消!

日中の動作で気をつけたいのがねこ背の改善。「ねこ背で前屈み姿勢になると、おなかが圧迫されるので胃の内部の圧力が高まって、胃の入口あたりの下部食道括約筋がゆるみ、胃酸が逆流しやすくなります。ねこ背を改善するには、下の図のように壁を背に立って、背中を伸ばすようにするのが効果的。これを毎日行うと、ふだんからこの姿勢を意識するようになり、自然にねこ背が改善していきます」。
今すぐ、ねこ背解消!
壁に後頭部、肩甲骨、おしり、ふくらはぎ、かかとをつけて立つ。全身鏡があれば、左右の肩が傾いていないかチェック。ふだんもこの姿勢になるよう意識して。

メソッド6.猫のポーズで胃をゆるめる!

胃の不調の予防によいのがヨガの猫のポーズ。「ねこ背姿勢を続けると胸の筋肉が縮んで、よけいにおなかが圧迫されやすくなりますが、猫のポーズは、丸まった背中と縮んだ胸の両方をストレッチすることができ、逆流性食道炎などの胃の不調の予防になります。深呼吸をしながら行うので横隔膜が鍛えられ、下部食道括約筋の機能の向上や、胃の運動の活性にも効果的」。
猫のポーズで胃をゆるめる!
四つ這いで両手を肩幅に開く。鼻から息を吐きながらおなかを引き上げて背中を丸め、視線をおへそに向け、ゆっくりと呼吸を繰り返して30秒キープ。
鼻から息を吸いながらおなかを落として背中を反らし、おしりを天のほうに向け、ゆっくりと呼吸をしながら30秒キープ。
鼻から息を吸いながらおなかを落として背中を反らし、おしりを天のほうに向け、ゆっくりと呼吸をしながら30秒キープ。

メソッド7.ツボ押しでスッキリ!

手軽にできるのがツボ押し。「昔から鍼灸やツボ押しは胃の不調によいとされていますが、最近その有効性に関するエビデンスも報告されています。特に中脘(ちゅうかん)、胃兪(いゆ)、足三里(あしさんり)の3つのツボは、胃もたれ、食欲不振、消化不良、胃痛などさまざまな胃の不調によいといわれています。イタ気持ちよく感じる強さで、1回10〜20秒押すのを3〜5回繰り返して」。
おへそとみぞおちのちょうど真ん中が中脘のツボ。おへそから人さし指〜小指までをそろえた幅の分だけ上がった部分。ここを押す。
おへそとみぞおちのちょうど真ん中が中脘のツボ。おへそから人さし指〜小指までをそろえた幅の分だけ上がった部分。ここを押す。
背中側、両腕を下ろして左右の肘を結んだ線と背骨の交差点から、親指の幅2本分ほど外側の部分が胃兪。ここを押す。
背中側、両腕を下ろして左右の肘を結んだ線と背骨の交差点から、親指の幅2本分ほど外側の部分が胃兪。ここを押す。
膝の外側の下にあるくぼみから、手の人さし指から小指までをそろえた幅の分、下がったところが足三里。左右にある。ここを押す。
膝の外側の下にあるくぼみから、手の人さし指から小指までをそろえた幅の分、下がったところが足三里。左右にある。ここを押す。

 
⑤気になる胃知識Q&A

胃に関する素朴な疑問に、兵庫医科大学副学長 三輪洋人先生が回答。知っておくと、胃の重大な病気予防につながり、不安も減るから要チェック!

Q.とりあえず食欲があれば、胃に問題はないと思っていい?

A.食欲の有無だけで、胃の健康は測れません
「胃の調子と胃の病気は相関せず、食欲があっても胃がんが見つかることもあります。胃の調子がいい100人のうち3人に胃がんが見つかる一方で、胃の調子が悪い100人のうちにも3人に胃がんが見つかるというデータも。胃の調子がいい=胃の病気がないというわけではないので、定期的に検査を受けるのが理想的」

Q.50歳前後になって胃が不安定になったのは、更年期のせい?

A.明確なエビデンスはなし。でも…
「今のところ、更年期のせいで胃の調子が不安定になるというデータは特になし。ただ、更年期には女性ホルモンの減少で自律神経が乱れやすくなるのは事実なので、それにより胃の調子が不安定になることはありえます。どちらにしても自律神経の問題なので、リラックスを心がけて」

Q.病院に相談するタイミングの目安は?

A.症状が1カ月続くようなら、病院に相談を
「胃の不調があって1カ月たっても改善しないなら消化器科を受診しましょう。もちろん、強い痛みや嘔吐などひどい症状がある場合には、もっと早く受診を。また、ピロリ菌がいることがわかっていて除菌していない人も不調があったら早めの受診が肝心」

Q.アラフィー以降かかりやすい、胃の病気とは?

A.3大疾病は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん
「アラフィー女性に多い胃の病気は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんの3つ。ただこれらはピロリ菌が原因の場合が多いので、感染していない場合は神経質になりすぎずに。またピロリ菌に感染していても、特に胃の不調がない場合もあるので、健康診断の際にピロリ菌検査をしておくのも手です」

Q.やっぱり内視鏡ってつらいの?

A.どんどん進化しているので怖がらないで
「胃の内視鏡検査は、最近は麻酔をして眠っているうちに行うのが一般的で、痛みなどをあまり感じずに受けられます。また近年、採血で胃がんはじめ、さまざまながんを発見できる検査も登場し、今後、もっと増えていくと思うので、胃の重大な病気の疑いがあっても、必ずしも内視鏡検査を受ける必要はなくなっていくと思います」

Q.日本人は欧米人よりも胃が弱いというけれど……?

A.今はそうではありません
「かつては日本人は欧米人よりピロリ菌感染者が多かったので、胃炎や胃潰瘍などになる人が多く、胃が弱かったと考えられます。でも、現在は、下水道の普及でピロリ菌感染者が減ったうえ、除菌をしている人も多いので、欧米人と日本人の胃の強さは変わらないと思います」

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