「もともと、ひとくせあるものが好き」という俳優・宮下今日子さん。個性的なアイテムを、ハイブランドのピースなどに合わせて楽しんでいる。そんなおしゃれ上級者ならではのこだわりを聞いた。
辛口の黒コーデに楽しくウィットを重ねる
美しいシルエットの黒のニットとスカートに重ねたのは、『ミナ ペルホネン』のジャケット。「おばけ柄」で愛嬌のある一着だ。ゴールドのストライプがインパクトを放つ靴下は『スポロガム』のもの。
「靴は履き慣れたものが中心。デザインの効いた靴下をはくと、足もとの印象がガラリと変わるのが楽しくて。靴を買うより気楽だと思うと、ついお買い物が増えちゃうんです(笑)」。(アイテムはすべて私物)
年齢を重ねると、貫禄が出ちゃうから(笑)。
愛嬌のあるものでフレンドリーに
――宮下今日子(俳優)
『ミナ ペルホネン』は、ブランドがデビューしたころからずっと好き。ものづくりへの愛が深いんです。時折お直しもお願いしています。時代の流れに流されず、いつ見てもかわいい。だから結局長く着られるんですよね
成熟した今、くせのあるものがますます愛(いと)しい!
「よく見ると、ゆるっとしたおばけのモチーフなんですよ(笑)。キュートさにやられて、色違いで即決しました」と宮下さん。シックな黒の着こなしに、ユーモアのあるジャケットが軽やかに映える。
『ミナ ペルホネン』に出会ったのは学生時代。最愛の小林モー子さんのブローチとは、15年ほど前に百貨店のポップアップで。最近は日本の若手デザイナーにも注目している。「どれも大ファンのかたのものばかり。ポップアップにもよく行きますし、推し活みたいですよね(笑)」。
宮下さんにとって“くせ強”アイテムは、単にインパクトがあるものではなく、繊細さや作り手の温度が伝わってくるものだという。「なによりもデザイン。センスですね。高い技術や作り手の哲学に裏打ちされた逸品には、惹きつけられますし、愛すべき理由があります」。
一年のうち300日は『yunahica』の黒のパンツをはいていて、そこにくせのあるアイテムをひとつ、ふたつ。「この年齢は、貫禄も迫力も増して強く見える。でもシンプルすぎるとサボって見えちゃう。くせ強なものを合わせれば愛嬌が出て、フレンドリーな印象に。工夫いらずでおしゃれに見えるのもいいんです」。
ベーシックなものほど、その形に時代が反映される。「くせのあるものは、強さに目がいくからか古びません。だからずっと愛用しつづけられます」。宮下さんがこんなにもいきいきとしているのは、好きなものを心底愛(め)でるハートと、軽やかに今を楽しむ心意気によるのだろう。
みやした きょうこ●’98年より演劇活動を開始。演劇とダンス、マイムなどが融合したフィジカルシアターに多数出演。近年の主な出演作品に舞台『ジャンル・クロスⅢ ほぐすとからむ』『レイディマクベス』、TBSドラマ『不適切にもほどがある!』、映画『ルノワール』など。6月、舞台『豪華客船タイクツニック号沈没』に出演予定。
撮影/赤尾昌則(whiteSTOUT) ヘア&メイク/徳田郁子 スタイリスト/比嘉仁絵 取材・原文/松井陽子 ※エクラ2026年7・8月合併号掲載