50代の髪悩みのひとつである白髪は、これまで「とにかく染めて隠す」のが当たり前だった。しかし今、その常識は変わりつつある。白髪ぼかしや頭皮ケア、さらには美容医療まで選択肢は確実に広がっている。白髪を“どう隠すか”ではなく、“どう付き合い、どう選ぶか”。50代が知っておきたい最新の白髪ケアが今、アップデートされている。
白髪悩み、どう向き合う?
大人の髪の悩みの中でも、常に上位にランキングするのが「白髪」。そこで白髪対策迷走中のライター、セトッチが、髪の研究者に取材。白髪が発生するメカニズムや対策を、初歩の初歩から根掘り葉掘りおたずねします。まず、私たちを悩ます白髪の正体に迫ります。
50代女子、願いは「白髪の悩みから解放されること」
初めまして。ライターのセトッチ(50代)です。
私が白髪が本格的に気になり出したのは40歳になった頃。そのため、サロンで定期的に染めるようになりました。でも、50代になると、サロンで染めても2週間もすればもう根元、特に頭頂部とフェイスラインの生え際の白いチラチラが気になるように…。
でも、仕事や家族の予定を調整して、2~3週間おきにサロンの予約を入れるのも大変だし、出費もなかなかの負担…と思っていたところ、コロナ禍に突入。「サロンに行くのを少し控えたい」と思ったのをきっかけに、ホームカラーに挑戦したのです。ただ、もともと不器用なうえに慣れない作業とあって、表面は染まっても内側は白かったり、フェイスラインは顔に液剤がつかないよう塗ると肝心の生え際が全然染まっていなかったり。
とにかく白髪のせいで、日々、煩わしいことがいっぱい!この煩わしさから解放される何かよい方法はないものか…と考え続けていますが、いまだに「これ!」という白髪対策には出会えず、白髪は増えるばかり…。
そこで今回は、敵(白髪)を制するにはまず敵を知ることから…と思い立ち、髪の研究者に取材を敢行。白髪についての素朴な疑問から、白髪研究の最前線についてなど、徹底的に調査してみることにしました!
取材にご協力いただいたのは、植物と科学の力で頭皮と髪のエイジングケアにアプローチするイーラルの大原未咲姫さん、幅広いヘアケア製品で日本女性の美を支える花王の島津綾子さん、製薬会社として髪の悩みの根本原因を研究する大正製薬の谷優治さんと廣岡優美さん、サロン専売商品の開発・製造で美容師さんとともに美髪を追求するアリミノの田中二郎さん。総勢4社5名の研究員の皆さんです。
今回、さっそく聞いてみたのは「なぜ白髪になるのか?」です。さあ、気になる答えは…。
イーラル株式会社 化粧品研究部 大原未咲姫さん、花王ヘアケア研究所 主任研究員 島津綾子さん、大正製薬株式会社 谷 優治さんに伺いました。
なんと白髪は無色透明!メラニン(色素)で髪色が決まる
セトッチ:研究員の皆さんにさっそく質問です。「そもそも、どうして白髪なんかになるのでしょうか~!?(涙)」
イーラル 大原:私がお答えしましょう。
まず、髪色のもとになっているのが「メラニン色素」と呼ばれるものです。このメラニン色素が髪に取り込まれることで初めて髪に色がつく、すなわち、髪色が決まります。
メラニン色素には、「ユーメラニン」と呼ばれる黒褐色系の色素と、「フェオメラニン」と呼ばれる、黄赤色系の色素があります。黒い髪は、ユーメラニンが多く、メラニンの総量も多いです。一方、明るい髪色、例えば、ブロンドの髪はフェオメラニンが多く、メラニンの総量が少ない、ということになります。
そして、ユーメラニン、フェオメラニン、いずれのメラニンもほとんど含まないのが白髪です。
つまり白髪と私たちが呼んでいる髪は、光の屈折などにより私たちの目には「白」に見えていますが、実際には透明なんです。
(上の写真:メラニン色素がうまく取り込まれず生えてきた髪(白髪)を観察した様子。 画像提供/イーラル)
セトッチ:では、透明の髪に色がつかなくなり、そのまま透明なまま生えてくる髪(いわゆる白髪)と、黒など色がついて生えてくる髪になるのは何が違うのでしょうか?
イーラル 大原:大きく言うと3つの原因があります。
白髪(色素がほとんどない透明な髪)になる原因は3つあった
第1の原因は、「色素幹細胞」から、髪色を作る工場である「メラノサイト」が生み出されなくなること。
髪色のもとになる色素が「メラニン」。そして、「メラニン」を製造する工場のような働きをする細胞が「メラノサイト」。そして「メラノサイト」は「色素幹細胞」から生まれます。
色素幹細胞が、毛髪を作っている場所(毛乳頭細胞)に移動して、最終的にメラノサイトになっていきますが、加齢やなんらかの不調で色素幹細胞の動きが弱くなると、メラノサイトが生み出されなくなります。
それはつまり工場自体がなくなってしまうということですから、当然メラニンを製造できなくなり、髪色をつけることができなくなります。
第2の原因は、「メラノサイト(メラニンの工場)」でうまくメラニンが作れなくなること。
色素幹細胞から誕生したメラニンの工場メラノサイトでは、メラニンを作り始めます。
そして、そのメラニン工場には「MITF遺伝子」という司令塔、「チロシン」という材料、「チロシナーゼ」という作業員がいるというふうにイメージしてみてください。司令塔であるMITF遺伝子の命令により、作業員であるチロシナーゼという酵素が、チロシンというアミノ酸を材料にしてメラニンを作っていきます。
ところが、MITF遺伝子からの指令が減り、チロシナーゼがうまく働かなかったり、チロシンが不足したなどがあると、メラニンの製造がうまくできなくなるというのが白髪の第2の原因です。
最後、第3の原因は毛髪のもとである毛母細胞へ、メラニンの受け渡しがうまくいかなくなることです。
メラノサイトは、「樹状突起」と呼ばれる手のようなものを伸ばして、作ったメラニンを髪のもととなる毛母細胞に受け渡しています。何らかの不調で、この受け渡しがうまくいかなくなると髪に色がつかなくなります。
黒髪を作る機能は復活できる?
セトッチ:すごく複雑。まさに人体の不思議ですね~。メラニンって肌だけではなく、髪にもあって黒髪になるか白髪になるか重要な役割を担っているんですね。
そうそう髪とメラニン、といえば花王の「ブローネ ナチュリラ」。
あれは使うたびに「黒髪メラニンのもと(ジヒドロキシインドール)」を、髪の表面に定着させていくという製品ですよね。
先ほど大原さんから説明のあったメラノサイトや色素幹細胞の仕組みなどとは別の発想のもと生まれたアイテムではありますが、一般の人が白髪ケアを考えるうえで、メラニンというワードを意識するきっかけとなったような気がします。
*花王「ブローネ リライズ」は2024年10月に「ブローネ ナチュリラ」に刷新しました。
〔上の写真:「黒髪メラニンのもと(ジヒドロキシインドール)」配合の花王「ブローネ ナチュリラ」。「黒髪メラニンのもと」は植物から成分を抽出し、麹の発酵技術を応用して作られた着色成分で100%天然由来。シャンプー後、髪に塗布したら5分おいて流すだけで自然な黒さを補ってくれる〕
それにしても黒髪となるには必須なメラニンですが、先ほど大原さんから説明があった3つの不調、それを取り除けば、「黒い髪を作る機能」を復活させることはできますか? 花王の白髪ケアのエキスパート、島津さんにお伺いしたいです。
花王 島津:メラニンを作るメラノサイトがまったく作られなくなって枯渇してしまったら、黒い色素を作ることができないということですから、もう黒髪が生えてくることはないということになります。
でも、メラノサイトの機能が低下していたり、一時的に調子が悪くなったりということは起こりうること。
そうした一時的なものであれば、その不調が解消してメラノサイトが復活すれば、再びメラニンの生成や受け渡しができるようになり、黒い髪をつくることができるようになります。
セトッチ:不調が解消すれば、また黒髪が作れるのですね! そういえば、髪色が途中で白くなったり、また黒くなったりしている髪がありますね。
花王 島津:そうです。それは、不調だったメラノサイトがどこかで復活した可能性が考えられます。また、復活すれば、今生えている白髪が抜けて次に生えてくる髪は、黒髪になる可能性があります。
セトッチ:それは希望が持てるお話ですね。頭皮用エッセンスなどを使用して、メラノサイトの復活を狙うのもありかもしれません。
〔上の写真:サトウキビから取り出される黒砂糖エキス*をはじめとする美容液成分が奥まで**浸透し、潤いのある頭肌へと導く、頭肌エッセンス「イーラル プルミエ バランシングスカルプエッセンス」。タオルドライ後の頭皮に適量(1箇所に1プッシュ程度)を塗布し、指でやさしくマッサージを。頭皮に潤いを与え、さらりと健やかな頭皮とハリコシのある髪に導きます〕
*黒砂糖エキス(2)(保湿成分)**角質層まで
メラニンを含んでいるかいないかだけで髪としては白髪は黒髪と同じ
大正製薬 谷:これについては私がお答えしましょう。メラノサイトを生み出しているもとの細胞である色素幹細胞の消失によってメラニンが作られなくなってしまうと、もう黒髪を作る機能が復活することはありません。
色素幹細胞がなくなってしまう原因は加齢によってDNAがダメージを受けてしまって、幹細胞自体がメラノサイトになってしまい、新しいメラノサイトを生み出す機能がなくなるといったことが挙げられます。
そして最近になりもうひとつ言われていることが、精神ストレスによっても同じように色素幹細胞が消失して、新しいメラノサイトを生み出せなくなるということ。
色素幹細胞は本来、メラノサイトを生み出す役割の細胞ですが、加齢などによって不適切なタイミングで自らがメラノサイトになってしまい、幹細胞が枯渇してしまうというような現象が起きてしまうようです。
また、幹細胞は一度メラノサイトになってしまっては元の幹細胞に戻ることはできないため、すごく貴重なのです。
セトッチ:これもまた、すごい世界。生物の細胞の神秘ですねぇ…。
大正製薬 谷:ですから、個人的には、色はついていなくても、髪の毛があるというだけで幸せなのではないかと思っています。
というのも、毛髪は作られなくなってしまうと、薄毛・脱毛が進行してしまいます。たとえ白髪でも、それは髪が作られているということ。
髪を作っているのは、髪色を作っているのとは別の細胞で、髪を作る機能はきちんと働いているということですから。
それに、白髪であれば染めることもできますし、色素幹細胞が完全に消失したわけではないのであれば、髪色が復活する可能性もありますから。
セトッチ:なるほど…。白髪は不健康な髪ではないんですね。
観葉植物に出没する枯葉のようなものだと思っていたので、若いときは枯葉を取り除くように抜いていました…。
大正製薬 谷:メラニン色素があるかないかだけで、髪としては黒髪も白髪も同じ。
髪は1人の人に10万本くらい生えているといわれ、それがおよそ2~6年の周期で生え変わっています。
これは白髪も同じで、成長期→退行期→休止期→自然脱毛のサイクルを繰り返しています。
黒髪と白髪の違いについては世界中でさまざまな見解がありますが、黒髪よりも白髪のほうがと太いといわれています。
これは白髪の成長期が黒髪よりも長いためです。
セトッチ:白髪も黒髪と同じサイクルで、成長したり抜けたりを繰り返すんですね。
それってつまり、白髪は「もう用済みの髪」ではないのですね。なんだかこれまで敵のように思っていて申し訳なくなりました。年齢を重ねても、頑張って生えてきてくれる健気なヤツだったんですね。
白髪さんごめんなさい。これからは老化を一緒に楽しむ相棒と思って仲良くしていきます!
初出:OurAge 2024/5/13
白髪を増やさないための頭皮ケアと習慣
白髪悩みを抱えている方へ、美容エディターの伊熊奈美さんがおすすめの頭皮ケアアイテムを厳選! 頭皮美容液からサプリメントまで、効果を実感したものを厳選。
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白髪は治療できる?美容医療・再生医療の最前線
白髪お悩み歴15年。50代後半になってもいまだ白髪対策迷走中のセトッチが、白髪の悩みを解消すべく、情報収集に奔走。再生医療を応用した「白髪注射」を取材。白髪やダメージなど、さまざまな髪悩みの解決法を模索してきた編集部員ギリコとともにその正体に迫ります。銀座よしえクリニック 総院長 廣瀬嘉恵さんにお話しを伺いました。
今注目の再生医療を応用した白髪治療をレポート
セトッチ:白髪悩みを解決する方法で何かよいものは見つかりましたか?
ギリコ:(ニヤリ)ケアアイテムではないのですが、興味深いものを見つけました! とあるクリニックが行っている治療に、なんと「白髪注射」というものがあったんです。
セトッチ:白髪注射?
ギリコ:そのクリニックでは薄毛や脱毛、白髪など、毛髪に関する治療を行っていて、そのひとつが「白髪注射」と呼ばれているのです。今まで主に美容面から白髪ケアについてアプローチしてきましたが、白髪注射は医療面からの対策。いわゆる再生医療によって白髪の改善が期待できるというもので、今、私が最も注目している白髪対策です。今や再生医療は美容の分野にもどんどん取り入れられていて、シミやシワの治療をはじめ、最近では、再生医療の応用から生まれた化粧品まであるんですよ。
セトッチ: 再生医療ってニュースなどでよく話題になっていますが、私はよく知らないんです。
ギリコ:では、簡単に説明します。
再生医療というのは、病気やケガなどで機能を失った組織や臓器を修復、再生する治療のこと。患者さん自身の細胞、あるいは他の人の細胞などを用いて、組織や細胞を人為的に作り出し、それを移植することで、失われた組織や臓器を再生するという治療のこと。もはやさまざまな治療分野において用いられているんですよ。
セトッチ:なるほど。組織や細胞を作り出すってなんだかすごい世界ですが…。でも、その技術でどんなふうに白髪を治療するのでしょうね?
ギリコ:ですから、今回はそのあたりをしっかりクリニックに取材しましょう!
今日お話を伺うのは、都内を中心に7つのクリニックを持ち、毎月20~30人、年間約300人が白髪治療に訪れるという「銀座よしえクリニック」の総院長の廣瀬嘉恵先生です。
銀座よしえクリニック」銀座院
白髪の進行を抑えて黒髪を増やす
ギリコ: こんにちは、廣瀬先生。今日はよろしくお願いします。さっそくですが、先生のクリニックには、主にどんな患者さんがいらっしゃいますか?
廣瀬:治療に来られる方の年齢層は幅広いです。若い方ですと30代くらいから。いちばん多いのが40~50代の方ですが、さらに上の年代の方もいらっしゃいます。男性も女性もいらっしゃいますね。
ギリコ:髪の毛のお悩みとしては、どんなものが多いですか?
廣瀬:悩みの種類としては白髪の悩みをはじめ、薄毛に悩む方も多いです。特に女性は、薄毛と白髪の両方に悩んでいる方が多いです。また、治療に訪れた際の希望もさまざまで、「白髪を目立たなくしたい」「白髪がこれ以上増えないようにしたい」といったものから、「白髪を完全になくしたい」という方もいらっしゃいます。
セトッチ:白髪をすべてなくすこともできるんですか?
廣瀬:さすがにそれはできません。あくまでも「進行をくい止める」とか、「ある程度、黒髪の割合を増やす」治療だと説明しています。
ギリコ:治療にいらっしゃる方は、クリニックのホームページを見てくる方が多いのですか? それとも口コミとか?
廣瀬:ホームページを見てくる方もいますが、周囲の人に教えてもらって来院してみたという方も多いです。いわゆる口コミです。
セトッチ:治療によって白髪や抜け毛が改善されていると感じるのは、治療開始からどれくらいたったときなのでしょうか。
廣瀬:白髪や薄毛など髪に関する治療は、その悩みが改善されたのを実感するのにある程度の期間がかかります。ですから、その効果の有無や程度を判断するのに、最低でも2~3カ月、できれば6カ月はみてくださいと最初にお伝えしています。
それもあり、1クール(2週間に1回×5回)の治療が治療が終了したあとも、さらに治療を継続する方が多いです。
セトッチ:白髪や薄毛の治療効果を実感するのに時間がかかるのは、なぜでしょうか?
廣瀬:それは、毛髪は伸びるのにある程度時間がかかるからです。
髪の毛はだいたい1カ月に1cm伸びるといわれていますよね。その間に産毛がちょっと出てきても、目視ではあまりよくわからないのです。 最初はひょろっとしていた産毛がだんだん太くなり、コシも出てきて長くなっていくのですが、そのくらいになってようやく自分でも実感できるようになるのです。 個人差もありますが、そこに至るまでには最低でも2~3カ月、通常は半年くらい見ていただきたいなと思っています。 セトッチ:ちょっと長い目で見ないといけないということですね。 廣瀬:はい。ただ、見た目には実感できなくても、例えば「そういえば、洗髪の際、抜ける髪の量が少し減ってきた」と治療開始から1カ月くらいで効果を感じたという人もいます。 セトッチ:なるほど。すごく興味がわいてきました。ではどんなふうに〝白髪を治療する〟のか教えてください。
「髪を作る細胞」と「色素を作る細胞」を活性化
廣瀬:まず白髪になるメカニズムをご説明し、そのあと治療の内容についてお話ししますね。
髪は頭皮にある毛根から生えているわけですが、その毛根部分に「髪の毛を作る細胞(毛母細胞)」があります。この毛母細胞を活性化することで、発毛・育毛を促します。
また、白髪を改善するには、髪の色を司る細胞にもアプローチします。
というのも、髪の毛はつくられたときは、もともと透明(無色)。それが、毛根にある「色素を作るメラノサイト」で作られた色素で色がつけられて、黒や茶色の髪の毛として生えてきます。
ところが、それらの色素を作る細胞の働きや、色素を毛髪に受け渡す機能が弱くなっていると、髪に色がつかないまま生えてきてしまい、白髪になります。色素を作る細胞の働きを元気にしてあげることで、白髪の進行を抑えることが可能になります。
セトッチ:「髪を作る細胞」や「色素を作る細胞」の働きが弱くなってしまうのはなぜですか?
廣瀬:その原因はいろいろあって、加齢や遺伝のほか、外部からの刺激、精神的なストレス、不規則な生活、栄養不足、ホルモンバランスの乱れ、などが影響します。
セトッチ:では、その「毛髪を作る細胞」と「色素を作る細胞」の働きを活性化すればよいということですね。どうやってこれらの細胞を元気にするのでしょうか?
廣瀬:細胞そのものが死んでしまっていたら、もう対策がないのですが、今挙げたような原因でダメージを受け、「髪を作る細胞」や「色素を作る細胞」の働きが弱くなっているだけであれば、細胞の機能を以前のレベルに戻してあげることで元気な髪が生えて、髪色の回復も期待できるというわけです。
毛根に栄養を与え、頭皮の血流を改善。さらに…
廣瀬:当院では3つのアプローチで白髪の原因を解消し、白髪を抑えて黒髪が生えるようにサポートします。
ひとつ目は、髪の毛を再生するための栄養補給。髪の毛を作るもとになる毛母細胞や、色素を作るメラノ細胞に栄養を与え、細胞の働きを活性化します。
ふたつ目は、血流を改善すること。毛髪の成長に必要な栄養は、血液によって毛根に運ばれてきますので、血流が悪いと必要な栄養が届かず、脱毛や白髪の原因になります。
セトッチ:これは、わかりやすいです。髪も皮膚や筋肉と一緒で、材料となる栄養がないと作ることができないですもんね。
廣瀬:はい。これが当院で使用している「Cellbooster®HAIR (セルブースターヘア)」という薬。特許取得のCHACテクノロジーを使用し、頭皮に栄養を与え、毛根の強化と毛髪の成長の促進、抜け毛や脱毛症、白髪を予防します。
これがCellbooster®HAIR (セルブースターヘア)
セトッチ:どんな栄養を与えるのですか?
廣瀬:おもな成分は3つ。
まずは、ヒアルロン酸。ヒアルロン酸は、毛髪繊維に浸透し、頭皮深層部へ潤いを与えます。また、高い保湿効果により、頭皮の乾燥を防ぎ、健康な毛髪の成長を促進します。
次にアミノ酸。これは、毛髪の主成分であるケラチンの生成をサポートし、毛髪の強度と弾力性を向上させます。また、強力な抗酸化効果をもたらし、髪質を改善。髪に活力を与えます。
そして、最後はビタミン。毛嚢の老化と若白髪の発現を遅らせて脱毛と白髪を予防します。特にビタミンB群やビタミンEは、頭皮の血行を改善し、毛根の健康を保つ働きがあります。
そのほか、血管壁を強化し、循環を改善して頭皮内の血流をよくする「ルチン」、髪の老化に関与する活性酸素による髪の酸化を抑える「ナイアシン(B3)」、細胞免疫機能を強化し、 頭皮・毛髪の酸化を予防する「グルタミン」、タンパク質の代謝を促進し、 髪の新陳代謝を活性化させて育毛をサポートする「亜鉛」、髪を作るもととなるケラチンの合成に欠かせない「システイン」など、さまざまな成分が含まれています。
セトッチ:なるほど。どれも髪に栄養を与えて、血流を改善する成分なのですね。育毛剤や頭皮ケアエッセンスなどの成分として、耳にしたこともある成分も含まれますが、自宅やサロンで使用する、発毛剤や育毛剤、頭皮エッセンスなどとの一番の違いはなんですか?
廣瀬:それはもちろん、これを注射によって毛根に直接届けるということです。
セトッチ:でも、これらの栄養を入れるだけだったら、私のように注射は苦手だという人は、エッセンスを頭皮に塗布してマッサージなどでなじませる、という方法でも十分な気がするのですが、それではダメでしょうか。
廣瀬:頭皮に塗布した場合だと、期待できるのは頭皮の表面から吸収される経皮吸収のみになりますよね。経皮吸収では塗布した成分を100%吸収することはできません。その点、注射ですと、頭皮の下の細胞組織にこれらの成分を直接注入することができるので、吸収率がよいのです。
セトッチ:なるほど…そう言われれば、確かにそのとおりだとは思うのですが…。
ギリコ:ちょっと横から失礼しますね。注射で成分を頭皮に与えることができるというのは、まさに医療の分野だなと思いますが、「白髪注射」が白髪改善に対してより期待できるのは、単に直接注入するという「吸収の効率のよさ」だけではないですよね? 確か、注射する成分も、医療ならではのものがあると伺いました。
廣瀬:はい。それが先ほどお話しした〝当院が行っている白髪への3つのアプローチ〟の3つ目、「CPC-PRP®」になります。
ギリコ・セトッチ:「CPC-PRP®」?
廣瀬:これは再生医療の分野で、「成長因子を刺激する」という治療になります。
ギリコ・セトッチ:成長因子~?
廣瀬:患者さんの血液を採取して、そこから血小板(多血小板血漿/PRP)だけを抽出して濃縮したものが、CPC-PRP®。
これを、先ほどお話しした、ヒアルロン酸やアミノ酸などの入った薬剤
「Cellbooster®HAIR(セルブースターヘア)」に1㏄プラスして頭皮に注射することで、成長因子が刺激されて細胞が活性化し、発毛・育毛を促すのです。
セトッチ:ひぇー。簡単に言うと、自分の血液から「血小板」を抽出し、それを濃縮して頭皮に注射するんですね。これが白髪注射の最重要ポイント、再生医療なんですね!
廣瀬:はい。「Cellbooster®HAIR (セルブースターヘア)」にCPC-PRP®を組み合わせたものが、「CPC毛髪再生プラス」という治療メニューになります。
CPC-PRP®は副作用もほとんどなく、治療効果も高いことから、白髪や薄毛に悩む患者さんにはCPC-PRP®をプラスした治療をおすすめしています。
ギリコ:確かに、それは新しい治療方法ですね。
この「CPC-PRP®をプラスした治療白髪」について、初歩の初歩から教えていただけますか。
廣瀬:もちろんです。セトッチさんにもわかるように説明しますから、質問があったらなんでも聞いてください。
セトッチ:先生、よろしくお願いします!
初出:OurAge 2024/9/2
血小板の中の成長因子を利用し頭皮に注射
ギリコ:廣瀬先生のクリニックではシミやシワの改善などとともに、薄毛や脱毛、白髪といった毛髪の悩みに対する治療も行っているということですが、そのひとつがクリニックのHPに「白髪注射」とあるものなのですよね?
廣瀬:そうです。ヒアルロン酸、アミノ酸、ビタミンをはじめ毛髪の成長を促し、頭皮の血流も改善する成分で構成される「Cellbooster®HAIR (セルブースターヘア)」を頭皮に注射するという治療法です。
頭皮にこれらの栄養を与えることで毛根を強化し、毛髪の成長の促進、頭皮の血流の改善を行って、抜け毛や脱毛症、白髪を改善・予防します。
そして多くの患者さんが、これに「CPC-PRP®」を組み合わせた「CPC毛髪再生プラス」という治療を行っています。
セトッチ: CPC-PRP®というのは、自分の血小板を培養したものを注射するという、再生医療を応用した治療なのですよね?
廣瀬:そうです。患者さんから採取した血液から、多血小板血漿(PRP)を抽出し、濃縮したものがCPC-PRP®。
CPC-PRP®を、「Cellbooster®HAIR (セルブースターヘア)」に1㏄プラスして頭皮に注射することで、毛髪の成長を司る「毛母細胞」や、髪の色素を作る「メラノサイト」を活性化し、発毛・育毛を促し、白髪を改善します。
セトッチ:血小板…昔々、小学校の理科で習った記憶がうっすらとあります。確か、ケガをしたときに「かさぶた」を作って、止血する役割があるのでしたよね?
廣瀬:そうです。そして、止血するだけではなく、血小板の中にはさまざまな成長因子が含まれていて、傷の修復も行ってくれるのです。
CPC-PRP®は毛髪だけでなく、目元のシワや目の下のくまやたるみのほか、ほうれい線、毛穴、にきび跡、赤み、口まわりの小ジワなど、さまざまな肌悩みの改善にも用いられている治療法なんですよ。
セトッチ:血小板がそんなにすごい働きをするなんて。知りませんでした!
廣瀬:自分の血液から抽出し培養されたものなので、安全性が高いということでも人気があります。
一般に肌のアンチエイジングに多く用いられている注射を使用しての治療に対し〝自分の体にとっては異物を入れることでは〟と、懸念を抱く方もいます。例えばシワやたるみの改善を目的とした注射をしたら、過度に効果が出て顔がむくんだようになってしまうのではないかとか、不自然なハリが出るのではないかとか…。
その点、このCPC-PRP®は、もともと自分の血液の中にある血小板から作ったものですから、異物に対する反応、いわゆるアレルギー反応などが出るといったリスクが低いのです。
自分自身のコラーゲン産生能力を引き上げて、肌や髪を再生していくという仕組みなので、過剰な反応が起こる心配がないというのがこの治療の一番の利点です。
セトッチ:「もともとは自分の体内にあったものを注射する」と理解すれば、確かに安心しますね。
クリニック内の細胞加工施設で生成しているから高品質
ギリコ:白髪注射に使用するCPC-PRP®は患者さん自身の血小板から作るということですが、どこで作っているのですか? 海外ですか? それとも国内ですか?
廣瀬:患者さんから採った血液は、私どもの7つのクリニックのうちの1つ、都立大の院内にある、CPC(Cell Processing Center:細胞加工施設)で作っています。採取した血液を遠心分離機にかけて、赤血球や白血球などを排除し、血小板を抽出して、PRPを生成します。
都立大の院内にある、CPC(Cell Processing Center:細胞加工施設)でPRPを生成している様子(クリニックHPより)
セトッチ:先生の7つのクリニックのうちのひとつに、細胞加工施設があるんですね? それはすごい! こうした白髪注射を行っているクリニックは、どこでも、そうした施設を持っているものなのですか?
廣瀬:いえ、「どこでも持っている」のではないと思います。こうした特定細胞加工物製造施設は、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律第35条第1項」の規定により、厚生労働省が管轄する地方厚生局からの許可が必要です。
銀座よしえクリニック(医療法人社団 優恵会)は国の定める基準をクリアし、認可された細胞加工施設を院内に設置しています。
セトッチ:厳しい基準があるのですね。
廣瀬:日本で再生医療は、法律によって管理されていて、PRP治療を行うには認可が必要です。厚生省が厳しい基準を設けていて、それに合格した医療機関でしか行えません。
セトッチ:ということは、こうした細胞加工施設を自分の院内に持っていないクリニックは、外注というか、どこか外部の施設に細胞の加工をオーダーするのですか?
廣瀬:はい。専門機関に依頼するか、または、市販の細胞加工キットのようなものが何種類かありますので、そうしたキットを購入して行っている医療機関もあります。
セトッチ:市販のキット? それはなんだかお手軽なイメージです。素人が聞くと、大丈夫なんだろうか…と不安になります。
廣瀬:もちろん、心配は無用です。キットでもきちんとしたものを作ることは可能です。ただ、私たちのクリニック内にある施設は、幹細胞も培養できるほどの設備が整っているので、キットを使って調剤したものより、クオリティが高いということは言えると思います。
セトッチ:やはりそれに特化した専門の施設が作っているもののほうが、品質が高いというのは当然といえば当然ですよね。
廣瀬:なお、血小板を利用して行う治療は、再生医療の中でも安全性の高いものの部類に入るんですよ。
手動と機械で頭皮に注射。施術後は刺激を避けて
セトッチ:それでは、クリニックを訪れたときに患者さんが体験すること、つまり治療までの流れを教えてください。どんなことをしますか?
廣瀬:まずは診察ですね。患者さんの髪悩みを伺って、治療方針を立てます。それから治療の詳細をご説明し、リスクや副作用についてもお伝えします。
それから血液検査+血圧検査をします。何か基礎疾患を持ってないか、また、これから治療を始める際に体に問題はないかをチェックします。
セトッチ:先生…、注射というからには、針で刺すんですよね? 頭皮にどうやって刺すのでしょうか(プルプル…)。
廣瀬:頭皮に何百カ所も細かく入れていきますが、これは手動と機械を併用します。細かい針で頭皮全体に薬を入れていきます。
銀座よしえクリニックHP「ミノキシジル注射」より
セトッチ:仕事帰りにクリニックに立ち寄り、治療を受ける人もいるそうですが、美容院でヘアカラーなどをする感覚で手軽に受けられちゃうんですか?
廣瀬:いえ。これはやはり医療行為なので、決して「手軽」ではないです。
来院したらまずは洗髪をして、頭皮を消毒してから注射をします。終了した後、消毒をして整え、軽く消毒液を流し、髪を乾かして帰宅していただきます。注射した直後の整髪剤の使用はNGです。
セトッチ:帰宅後は洗髪してもいいのですか?
廣瀬:お湯で髪の汚れを軽くとる程度であれば。翌日からは、軽く洗髪しても大丈夫です。カラーやパーマは2週間以上あけるようにしてください。
ギリコ:毛髪は1cm伸びるのに約1カ月かかるため、治療の効果を感じるまでに少し時間が必要なのですよね?
廣瀬:1クール(2週間に1回×5回)を基本としていますが、効果を感じるまでには個人差があります。
ギリコ:痛みや副作用はありますか?
廣瀬:治療には軽い痛みを伴うことがありますが、ごくわずかで、ほとんどの方が耐えられる程度のものです。稀にですが、軽い副作用(赤み、腫れ)が出ることはあります。
ギリコ:ほかに、控えたほうがよいことはありますか?
廣瀬:治療中はアルコールの摂取や過度の喫煙は控えたほうがよいと思います。また、刺激の強いヘアケア製品の使用も避けるようにしてください。
毛髪や色素を作る細胞が元気なうちに治療をスタート
ギリコ:白髪に悩んでいる人は私の周囲にもいっぱいいるので、こういう治療法があることを教えてあげようかなと思いますが、この治療ができないという人もいるのでしょうか?
廣瀬:特定のアレルギーを持っている方、自己免疫疾患を持つ方、妊娠中または授乳中の方、重篤な皮膚疾患を持つ方は、治療が適していない場合があります。まずは医師の診断が必要です。
ギリコ:治療によくない影響を及ぼすので、気をつけてほしいということはほかにありますか?
廣瀬:白髪の治療結果には、遺伝的要因やホルモンバランスが影響しますが、生活習慣も重要です。栄養バランスのよい食事、適度な運動、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。特に、ストレスは髪の状態と密接にかかわっていて、過度なストレスは白髪や脱毛を悪化させることがあります。
医療で提供できるのは、原因に対して改善できる範囲内のことです。白髪や脱毛に関していえば、①栄養を与えて、②血流を改善し、③成長因子を与えること。ですから治療と並行して、生活習慣の改善を意識していただくことも重要ですね。
「こういう生活習慣は白髪や抜け毛に関係あります」と患者さんにはお話ししていますが、あとは本人がどこまで努力できるかということになります。
セトッチ:最初の診察で、「これは治療を行っても無理だな」と判断されるケースもあるのですか?
廣瀬:老化、加齢、病気などにより、髪を作る毛母細胞や、髪色を作るメラノサイトや、その元になる色素幹細胞などが完全に機能を失った場合です。こうした場合は、治療で改善するのはもう難しいですね。
セトッチ:それらの細胞にまだそうした機能が残っているのかは、診察で判断できるのでしょうか? それとも、やってみないとわからないのでしょうか?
廣瀬:そうですねぇ。やってみないとわからないこともありますが、「これはもう難しいな」と診察で判断できることもあります。例えば、ダーマスコープ(拡大鏡)で頭皮を見たときに、通常毛穴から2~4本の細い毛がひょろひょろっと出ているので、その状態でしたら可能性はあり、ある程度期待できるというふうに判断できます。
でも、完全に毛穴が閉まってしまっている状態だと「治療しても無理だろう」という判断になります。
ギリコ:毛穴が完全に閉じてしまったら、もうダメ…なんですね。そう考えると、白髪や薄毛などは気になり出したら、早めに治療するほうがよいということですよね。
廣瀬:頭皮は髪の毛を育てる畑のようなもの。あまりにも長く畑をほったらかしにしておくと、急に栄養を与えてもすぐに土壌を改善するのは難しいように、頭皮も改善するのが難しくなってしまいます。
ですから、頭皮の状態が悪化し始めたら、早めに治療を開始したほうがいいです。もし、「白髪」や「抜け毛」などが気になったら、お早めにいらしてくださいね。
セトッチ:先生のクリニックには、全国から患者さんがいらしていると聞きました。
廣瀬:はい。私たちのクリニックには、飛行機や新幹線を使って遠方から来る方もいます。毛髪再生だけでなく、肌の治療も含めたCPC-PRP®の治療としては、1カ月で150名くらい、年間1500~1800人くらいの患者さんがいらっしゃるので、これまでトータルで5000~6000人がこの治療を受けたということになります。
セトッチ:そんなにたくさんの方が受けているのですね。驚きました! 今日は詳しいお話をありがとうございました!
<取材を終えて>
セトッチ:ギリコさん、白髪注射ってすごいですね。世の中進んでいますね。びっくりしちゃいました。
ギリコ:再生医療は本当に日進月歩なので、まだまだ進化していくと思いますよ。
セトッチ:そうなんですね~。勉強になりました!
ギリコ:今後も私のアンテナに引っかかった白髪対策、白髪染めしている人におすすめの情報を見つけたら、即セトッチさんにお知らせしますから、お楽しみに!
銀座よしえクリニック銀座院
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CPC毛髪再生プラス(CPC-PRP®+セルブースターヘア)
1クール(5回セット)¥350,000(税込み¥385,000)
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※CPC毛髪再生プラスは、1回の採血で5回分生成します。そのため1クールは必ず5回セットとなります。
初出:OurAge 2024/9/9