40~50代が感じやすい食後の眠気やだるさ。その背景にある“血糖値の乱れ”を、実測データから読み解く。食後の運動、食事の間隔、主食や食べ方の違いなど、日常の選択で血糖値はどう変わるのか?医師が詳しく解説します。
【教えていただいた方】
食事の間隔が長いときvs.短いとき【血糖値を測ってみた】
食間8時間 vs. 4時間、血糖値が上がりづらいのはどっち?
「朝食や昼食を抜いたりせず、食事はできるだけ3食食べること」とよく言われます。空腹の時間と血糖値はどうかかわっているのでしょうか?食間の長さと血糖値の変動について、40代と50代の血糖値モニター4名が検証してくれました。
ミッションは、朝食と昼食の間隔を長くした場合と短くした場合の血糖値の変動を調べること。朝食も昼食も同じメニューにして、食事の間隔だけ変えてもらいます。
まずは、モニターTさんの場合です
朝食のメニューはもち麦と玄米入りのご飯、ハムエッグ、ベビーリーフ、味噌汁、ヨーグルト&ブルーベリー。
朝食と昼食の間を8時間空けた日の血糖値を見てみましょう
グラフのグリーン部分(70〜140mg/dL)が血糖値の正常範囲といわれる目安です。
【左★朝食7:30/昼食15:30】食事の間隔は8時間
【右★朝食8:00/昼食12:00】食間の間隔は4時間
食間が8時間あった日(食間が長い日)は、15:30のランチで血糖値スパイク(*1)が起きています。
*1 血糖値が急上昇し、その後急降下する状態。グラフにスパイクのようなトンガリができることからこう呼ばれます。特に血糖値ピークが180mg/dLを超え、かつ30分で60以上の急上昇の場合。
そして、食間が4時間だった日(食間が短い日)は、血糖値スパイクが抑えられています。朝食、昼食ともに血糖値スパイクが起きた日とまったく同じものを食べているはずなのに!
Tさんはどちらも在宅勤務の日で、運動などもしないでほぼ一日中、家で仕事をしていました。食間の長さ以外の条件はほぼ一緒です。
同じ食事でもこんなに違う! 血糖値のリアルな変動
この大きな違いについて、糖尿病の専門家であるドクター、やさしい内科医こと山村聡先生に解説してもらいました。
「まったく同じメニューでこれだけ差が出たのは、わかりやすいですね。そもそもペンネに限らずパスタは糖質量が多いので、昼に食べると血糖値は急に上がりやすいんです。さらに8時間も食間を空けたので、血糖値スパイクが起きてしまったんですね。
もう1日の食間が4時間の日はスパイクが起こっていません。ただ、この方は朝食後の血糖値がちょっとずつ上がったり下がったりしているところを見ると、朝食の消化に時間がかかるタイプかもしれません。玄米やもち麦の消化に時間がかかっているのか、もしくはこの方にとって朝ごはんが多すぎるのか…。
こういうタイプはランチまでの時間が短すぎると、朝食で上がった血糖値が下がり切らないうちに次の食事を食べることになるので、食間は5~6時間ほど空けて、なるべく消化がスムーズなものを少量、と心がけるといいかもしれないですね」
食間5時間 vs. 2時間 カツ丼を食べたらどうなる?
次に、モニターFさんの場合を見てみましょう
朝食のメニューは塩パン、ゆで卵、ヨーグルト、コーヒーです。
昼食はカツ丼。2日間とも同じお店で食べています。
血糖値の変動の違いを見てみましょう
【左★朝食8:40/昼食13:40】食事の間隔は5時間
【右★朝食9:15/昼11:20】食事の間隔は2時間
食間が長い日は朝食から5時間後のランチですが、血糖値が思い切り上がり、スパイクが起きてしまいました。食間が短い日は、朝食の2時間後にランチ。血糖値の上がり方はグッと抑えられています。
この血糖値の変動について、山村先生、どう比較分析しますか?
「食間が5時間というのはまあまあ普通で、間隔は長くはないかもしれません。でも、こんなに血糖値スパイクが起きているのはカツ丼だからでしょう(笑)。カツ丼の白米は、丼1杯でかなりの量になります。おまけにカツの衣も炭水化物なので糖質量は高いんです。
この方にとっては糖質量が多すぎたと考えるのがいいでしょう。ここまで血糖値スパイクが起きていれば、ランチのあとはすごく眠かったはずですよ。
糖質量が多いと、その分血糖値を上昇させます。カツ丼のような糖質量の多いものを食べるときは、最初に野菜サラダなど糖質以外のものをゆっくり時間をかけて食べ、できればご飯を残すくらいにしたいものです。
カツ丼に限らず、天丼や親子丼などの丼物やパスタなどの単品メニューは、どうしても炭水化物を最初から食べてしまうので注意が必要です。ちなみに、間が短い日も、ピークは抑えられているとはいえ、血糖値の山が二つに分かれています。これもトータルの糖質量が多いせいですね」
食間が長いときの対策は? 間食のススメ
山村先生、食間が長くなりそうなときはどうしたらいいのでしょうか?
「間食がおすすめです。昔からいう“3時のおやつ”って、そのためにあるんだと思います。空腹が長く続くと血糖値が下がりすぎ、その反動で次に食べるもので血糖値がぐーんと上がってしまう傾向にあるので、空腹を感じたらおやつを食べましょう。もちろんおやつといっても、甘いものなど糖質が多いものは選ばないでくださいね。血糖値の観点からすると、おやつに向くのは高タンパク質&低糖質のもの。サラダチキンなんていいですね。または脂質はあっても糖質が少ないナッツなどもよいと思います。」
取材・文/蓮見則子
初出:OurAge 2025/3/27
白米vs.玄米【血糖値を測ってみた】
GI値が低いと血糖値は上がりにくいの?
「GI値」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。GI値(グリセミック・インデックス)は、どれくらいの速度で血糖値が上昇するかを食品別に数値化したものです。血糖値を猛スピードで上げるブドウ糖を「基準値100」とし、100に近いほど血糖値が上がる速度は速く、反対に低い数値ほど血糖値を上げにくいとされます。血糖値の専門家である山村聡先生に伺って、今回はこのGI値を深掘りすることに!
白米と玄米を比べてみましょう。
GI値で比べると…
白米:69.4~84.0、玄米:50.2~59.7
玄米のほうがGI値が低いため、血糖値は上がりづらいはず。果たしてこれは本当でしょうか?
引き続き、40代・50代の血糖値モニター4名が白米と玄米を食べて検証してみました。
GI値が低いのに? 玄米を食べた後の意外な結果!
まず、最初はHさん。朝食で白米を食べた日と玄米の日を比べてみました
おかずはまったく同じです。
1日目。白米おにぎり2個(鮭、昆布)、味噌汁(豆腐、しめじ、小松菜)、五目ひじき煮、りんご1/2個
2日目。玄米おにぎり(鮭、昆布)、味噌汁(豆腐、しめじ、小松菜)、五目ひじき煮、りんご1/2個
血糖値の変動を見ていきます
左は白米おにぎりの朝食を9:00に食べたときのグラフです。朝食を食べた直後から血糖値が上昇し、ピークで150mg/dL以上を示していますが、大きな血糖値スパイク(*1) は避けられました。
右は玄米おにぎりの日。8:45に食べています。なんと、血糖値のピークが200mg/dLを超えてしまいました。玄米のほうがGI値が低いはずなのに、なぜ?
*1 血糖値が急上昇し、その後急降下する状態。グラフにスパイクのようなトンガリができることからこう呼ばれます。特に血糖値ピークが180mg/dLを超え、かつ30分で60以上の急上昇の場合。
次はMさんの例です
こちらは朝食が白米の日。
玄米の日の朝食です。
両日とも、ご飯に鮭フレークと焼き海苔をのせ、りんご1/4個、ヨーグルトwithはちみつ。食後にコーヒー。
では、グラフを比較してみましょう
左は白米の朝食の日で、7:10に食べています。朝食後の血糖値はそれほど上がっておらず、血糖値的にはかなり優等生なグラフです。
右は玄米の日。8:30に食べています。あれあれ! 朝食の後、150mg/dL近くまで上昇。血糖値スパイクとまではいかないけれど、玄米を食べた日にトンガリができています。急に血糖値が上がってしまった証拠です。
「GI値」はもう古い! 血糖値の新常識
常識だと思っていた「玄米のほうが血糖値を上げにくい」。予想がみごとにハズレてしまいました。糖尿病の専門家である 山村聡先生、この結果をどう考えたらいいのでしょう?
「GI値の理論は1980年代に登場したもので、ちょっと古い考え方なんですよ。食事の1時間後、2時間後の血糖値を測定して評価したもので、食べた直後に血糖値がどう推移するのか、正しく知られていない時代に作られたものなんです。今のように血糖値の推移をリアルタイムで測定できる時代になって、初めて食後すぐから血糖値が上昇することがわかってきたんです。
結局、血糖値は摂取した糖質量の影響を受けます。白米より玄米のほうが確かにGI値は低いけれど、実は糖質量はほぼ同じ。FreeStyleリブレを使って継続的に血糖値を測定できる今、GI値を見直してみると、『あれ? GI値通りにはならないじゃないか』ということがわかってきたんです」
山村先生は、自身のYouTubeチャンネルで体を張って血糖値実験をやっています。白米vs.玄米の実験は先生も検証ずみ。結果はどうでしたか?
「例えば、白米と玄米、普通のパンと全粒粉のパン、普通のパスタと全粒粉のパスタのように、ほぼ同じ種類の食材の場合、GI値が異なっても血糖値の上がり方には差が出ませんでした。 もちろんナッツvs.いも類など、まったく種類が異なるものを比べればGI値通りになると思いますが、そこを比較する意味はあまりないですよね。低GI食がいい、なんていわれていますが、実は血糖値という観点ではあまり意味がない。神話だった!と言っていいと思います」
血糖値の真実、GI値の神話を見直すとき
衝撃的な解説でしたが、今回のモニター4名のうち3名が、玄米のほうが血糖値のピークが大きくなってしまいました。残りの1名は白米と玄米でピークはほぼ同じです。糖質量が同じだから血糖値の上昇も同じ、というのならわかりますが、玄米のほうが上ったのはなぜでしょうか?
「血糖値の推移は個人差もありますし、その日の体調や状況にもよるので、理由を断定するのは難しいのですが、前日の夕食の時間が早かった(食間が長かった)など、何かしら影響したのかもしれませんね。玄米だから安心と油断して、うっかりいつもより量を食べてしまう、ということも往々にして起こりがちです。
玄米のほうが食物繊維はもちろん、ビタミン、ミネラルも豊富で栄養価は高いので健康メリットはあります。けれど、糖質量は白米とほぼ同じです。血糖値コントロールをしたいなら、この点はしっかり覚えておきましょう」
初出:OurAge 2025/4/10
うどんvs.そば【血糖値を測ってみた】
「そば=ヘルシー」というイメージだけれど、血糖値の観点からは?
和食の2大麺料理、うどんとそば。よく「どちらが好き?」と比較されがちですが、まったく違った特徴を持っています。うどんは小麦粉+塩+水を原料にして作られます。一方、そばはそば粉+水に、つなぎとして小麦粉を使うのが一般的。つなぎの小麦粉が2割、そば粉が8割なら「二八そば」、つなぎを使わずそば粉のみで打ったのが「十割そば」です。
カロリーの観点からいうと、うどんもそばもメーカーによって個体差があり、さらにはつけ汁やかけ汁など、めんつゆによってもカロリーや糖質量に差が出ます。
どちらかといえば、そばのほうがヘルシーなイメージが強いのは、栄養面で勝っているからです。
そばは、小麦粉に比べて良質のアミノ酸を豊富に含みます。うどんのように精製した小麦粉と違い、そばは実の外側まで食べることが多く、ミネラルやビタミンも比較的多く、さらにはルチンが含まれます。ルチンはいわゆる腸内環境を整え、さまざまな病気予防に役立つ研究結果が出ている栄養素。そういったプラスアルファの栄養面でも、そばのほうが健康によさそうです。
うどん vs. そば。どちらが血糖値を上げなかった?
では、本題です。うどんとそば、血糖値の上がり具合を比較してみましょう。血糖値の変動を追うことができる「freestyleリブレ」を装着した、読者モニターの結果を紹介します。
最初はモニターTさん。別々の日の朝食に、うどんとそばを食べて比較しました。Tさんは、自宅で乾麺を使用し、具材もめんつゆもまったく同じものでそろえてくれました。
1日目。うどんです。具材は豚肉、三つ葉、わかめ、卵。
2日目。十割そばです。具材はまったく同じで、豚肉、三つ葉、わかめ、卵。
食べたあと、血糖値はどうなったでしょう?
左はうどんを10:00に食べた日:急に血糖値が上昇し、ピーク時150mg/dLになってはいますが、山が尖ってはいません。右は十割そばを9:30に食べた日:なんと! うどんよりも明らかに急上昇。ピークが170mg/dL近くに。そばを食べたあとにもう一度山ができているのは、休日でダンスのレッスンに行ったためと思われます。振り付けを覚えるためにずっと集中しているため、交感神経が優位になり、上がってしまったようです。
うどんよりもそばのほうが上昇する、という結果になりました。
もう1名、モニターMさんの場合です。
同じようにうどんとそばを異なる日に食べてもらいました。
1日目はうどんです。薬味に小ねぎと生姜を使いました。
2日目は十割そば。同じく薬味に小ねぎと生姜を使っています。
血糖値の変動を見てみると…
左はうどんを14:15に食べた日:90mg/dLくらいから、食べた直後に160mg/dLまで急激にアップ。その差70mg/dL。右は十割そばを14:10に食べた日:150mg/dL近くまで上昇。うどんに比べると少しはピークが抑えられた感じ。
4名がこの実験に参加してくれましたが、うどんのほうが血糖値のピークが高かったのはMさんのみ。ほかの3名はどちらもあまり変わらないか、むしろ十割そばのほうが上がる、という結果になりました。
GI値が低いはずのそば。なぜ血糖値が上がる?
ヘルシーなイメージのそばのほうが血糖値が上がりやすかったのはなぜでしょうか?
この結果を血糖値に詳しいドクター、 山村聡先生に考察してもらいます。
「うどんとそば、実は糖質量はほぼ同じなんです。どちらも1食180g当たり、糖質が40gほど含まれています。白米はお茶碗1杯の糖質が55g前後、コンビニのおにぎりひとつの糖質が40gくらいです。白米よりは糖質は少ないかもしれませんが、うどんもそばもそこそこ糖質がありますよね。『GI値』の観点でいうと、そばは低GIで血糖値の急上昇を抑えられると思われがちです。でも、糖質量がほぼ同じなので、血糖値の上昇幅もほぼ同じ。どちらも摂取した糖質の量だけ上がります。
『白米vs.玄米』と同じですね。実は、GI値の理論はちょっと古い考え方なんです。うどんよりはそば、普通のパスタより全粒粉のパスタのほうが血糖値を上げにくいと思われていましたが、そうでもなかった。糖質量が同じなんだから、血糖値の上がり方もほぼ同じだったんですよ!」
もちろん、栄養素的には生成された白い炭水化物よりは、そば粉、玄米、全粒粉などのホールフード(精製を極力抑えた食品)のほうが優れています。でも血糖値という観点では、どちらも同じように血糖値が上がるということ、肝に銘じておきましょう。
消化がよい=血糖値が上がりやすいということ
さらには、お米よりも麺のほうが血糖値が上がりやすいと指摘する山村先生。
「麺は、穀物を製粉したものですよね。粒になっている米より消化がスムーズなんです。だから食べて即、血糖値が上がりやすい。例えば、普通のご飯よりお粥は血糖値が上がりやすいんですよ。病気のときに消化のいいものを、といわれますが、そういった食べ物はたいてい吸収されやすく血糖値が上がりやすいです。もちろん体調が悪いときは、血糖値の上昇よりも栄養補給を意識してくださいね」
消化がいいといえば飲み物も?
「そうです! 糖質の中でも飲料の糖分はスピーディに消化吸収されます。その最たるものが甘い炭酸飲料。消化の必要がない飲み物がいちばん血糖値に影響するんです。甘い飲み物には、砂糖のほか『果糖ブドウ糖液糖』などの糖類が含まれていますが、これは果糖とブドウ糖を主成分とする液状の糖です。清涼飲料水やジュース、栄養ドリンク、スポーツドリンク、市販の菓子、ドレッシング、そして焼き肉のたれなど調味料まで、幅広く使用されています。砂糖以上に血糖値を急上昇させるだけでなく、体内の老化を進める物質『AGE(終末糖化産物)』の生成を促進してしまうのでより注意が必要です」
原材料を見て気をつけたいものは、「果糖ブドウ糖液糖」のほか「ブドウ糖果糖液糖」「高果糖液糖」「砂糖混合異性化液糖」など。うどんやそばに使う、めんつゆにも使用されていることが多いので、市販のものを購入する際は、原材料表示をチェックしてみては?
初出:OurAge 2025/4/24
洋菓子vs.和菓子【血糖値を測ってみた】
羊羹、草餅、豆大福…カロリー的には和菓子がベターだけれど?
「長らく、和菓子と洋菓子では和菓子のほうがヘルシーといわれてきました。今もそう思っている人は多いですよね?確かに和菓子のおもな材料は米粉や小麦粉、小豆、砂糖なので、脂肪分少なめ、カロリーが低くてヘルシーな印象。一方の洋菓子は小麦粉、バター、オイル、牛乳、生クリーム、卵、砂糖などが使われ、脂肪分が多めでカロリーは高めです。でも! 血糖値となるとどうでしょうか? 僕自身もいろいろな食べ物の血糖値を測ってきましたが、その結果がすごく面白いんです」
そう解説してくれたのは、YouTubeでのユニークな血糖値実験が話題の糖尿病内科医、山村聡先生です。
今回の企画ではエクラ世代の6名が2週間、血糖値をモニタリング(*1)。血糖値の変動を見るため、点ではなく線で血糖値をチェックしました。
さっそく、和菓子と洋菓子を食べたときの血糖値を見てみましょう。
*1:自動的に血糖値(正確には間質液中のグルコース値)を測ってくれる「FreeStyleリブレ2」を装着。
よもぎ餅とコンビニのシュークリーム、血糖値が急上昇したのは?
まずは、モニターYさんから。
よもぎ餅とシュークリームの対決です!
[A]よもぎ餅 [B]シュークリーム
左のAがよもぎ餅を食べたときのグラフ。
19:00に夕食をとった2時間後によもぎ餅(*2)を単独で食べてみました。
ちょうど食事によって上がった血糖値が下がりかけているタイミングです。すると、血糖値が25mg/dLほど上昇。その後また急に下がるなど寝ている間に乱高下してしまいました。
右のBがシュークリームを食べたときのグラフです。
夕方、セブン-イレブンのとろ生カスタードシュー(*3)を単独で食べています。
空腹時にいきなりスイーツを食べたので、血糖値は急上昇するかと思いきや、結果は意外にも上がらず。むしろ、夕食までの空腹時間を長引かせない、よい間食になったようです。
*2:よもぎ餅の推定糖質は20g。
*3:セブン-イレブンのとろ生カスタードシューの糖質は13.8g。
羊羹とシュークリーム、血糖値が急上昇したのは?
続いて、モニターTさん。
あえて、ランチにまったく同じコブサラダを食べ、デザートとして和菓子と洋菓子を食べて比較しました。
[C]羊羹 [D]シュークリーム
左のCがコブサラダ+いちご羊羹の日。
14:00にランチのコブサラダと小さないちご羊羹(*4)を食べると、血糖値はぐーんと上昇。基準値(グリーンの範囲)を超えて180mg/dL近くなり、血糖値スパイクを起こした様子です。
右のDがコブサラダ+シュークリーム
この日も14:00にコブサラダのランチ、そしてシュークリーム(*5)です。血糖値はやや上がりましたが、いちご羊羹に比べるとピークは低く、基準値内で収まっています。
*4:とらやの小形羊羹「いちご」の炭水化物(糖質+繊維質):33g。
*5:シュークリームの推定糖質:20g。
豆大福とショートケーキ、血糖値が急上昇したのは?
次は、モニターMさんです。
豆大福とショートケーキを食べ比べました。
[E]豆大福 [F]ショートケーキ
左のEが豆大福を食べたときのもの。
18:20に豆大福(*6)を食べると、いきなり急上昇してしまいました。お腹が空いて血糖値が下がっている時間帯だったことも影響していそうです。
右のFがショートケーキ(*7)を食べたときのグラフです。
15:00のおやつに食べています。じわじわ血糖値が上がったり下がったりを繰り返してはいますが、急激な上昇には至りませんでした。
*6:豆大福の推定糖質は30.7g。
*7:いちごのショートケーキの炭水化物(糖質+繊維質)は23.6g。
血糖値上昇という観点で見ると、洋菓子のほうがベター
3人の結果を見ると、どちらも血糖値が上がっていますが、和菓子のほうが急上昇しやすい傾向があるようです。
「糖質は栄養素の中で唯一血糖値を上昇させる栄養素ですが、お菓子に含まれる糖質量は多いですからね。どちらもある程度は上がります。バターやクリームが使われている洋菓子のほうが一般的にトータルカロリーは高いのですが、糖質で見るとどうでしょうか? 和菓子は米粉(餅やぎゅうひ)が主原料だったり、小豆を砂糖で煮たあんこがメインだったり、小麦粉を使ったお菓子もあるので、合わせ技でトータルの糖質量はかなり多くなります」
現在、糖質量を抑えた低糖質のお菓子もたくさん出ています。 和菓子と洋菓子、同じ糖質量だった場合はどうなりますか?
「いいところに気づきました! もし同じ糖質量だったとしても、洋菓子のほうが血糖値が上がりにくいんですよ。なぜって、バターや生クリームなどの脂質が含まれているから。脂質と一緒に食べることによって、糖の消化と吸収が遅くなり血糖値の上昇は緩やかになります。上がり方がゆっくりだから、血糖値を下げるインスリンの放出がゆっくりでも血糖値のピークが低くなるし、スムーズに血糖値が下がってくれます。逆に、和菓子はあまり油分を含まないので、ダイレクトに糖質が血糖値に影響を与えます。
とは言え、油脂が血糖値の急上昇を防ぐと言うと、ポテトチップスなど油で揚げたお菓子もいいんだと思ってしまう人がいますが、いもは糖質が高いので気をつけてくださいね。また、しょっぱいせんべいや辛い柿の種ならいいでしょうという人もいますが、さにあらず。せんべいはお米ですからね、そのまんま糖質ですよ」
なるほど。血糖値を急上昇させたくないけれど、ちょっと甘いものが食べたいな〜という場合は、低糖質の洋菓子なら理想ですね。
スイーツといえばお砂糖ですが、 お砂糖の種類も気にしたほうがいいですか?
「黒糖、三温糖、てんさい糖など砂糖の種類は、血糖値の上がり方とあまり関係がありません。大きい分類で言うとどれもショ糖なので、糖は糖。量が多ければ多いほど血糖値を上げます。栄養面からすると、精製されていない糖のほうがいいかもしれませんが、玄米、白米の比較と同じで、どちらも糖質の量だけ血糖値を上げますよ」
朝食でとる人も多いフルーツはどうでしょうか?
「フルーツの糖質は、果糖(フルクトース)と呼ばれる糖類です。皆さんが装着した『リブレ』で測っているのはブドウ糖(グルコース)だけなので、実は直接果糖を測ることができません。フルーツを食べると果糖は肝臓で代謝され、一部が腸内細菌の力でブドウ糖に転換されます。血液中に出てくるのはその後なので、血糖値の急上昇にはなりにくいと思いますね。
ただ、ドライフルーツは干すことによって糖分が凝縮されていますから注意が必要です。
40代以降は血糖値を下げるインスリンを出すすい臓の働きが少しずつ落ちてきます。血糖値を急激に上げるスイーツやおやつの食べすぎには注意してくださいね」
結論。和菓子と洋菓子では、和菓子のほうが血糖値の急上昇を招きやすい。
健康診断で血糖値が高めと言われた人、血糖値スパイクが気になる人は、血糖値の上昇をなるべく緩やかにしてくれるおやつをを選びましょう。
初出:OurAge 2024/8/4
食後のウォーキング vs スクワット【血糖値を測ってみた】
食後すぐ歩くと血糖値は下がるのか? 実験開始!
血糖値モニター4名へのミッションは、食後に運動しない日と食後すぐにウォーキングした日では、血糖値がどう変動するのか比較すること。
その結果、血糖値の急上昇を抑えられた人が2名、あまり変化がなかったのは2名と分かれました。
明らかに違いが出たHさんの例を見てみましょう
ウォーキングした日もしない日も、朝食は同じメニューです。パニーニ(卵、ハム、マヨネーズ)、野菜スープ、りんご、紅茶
運動していない日は血糖値が急上昇して、ピークは約180mg/dLに。ところが、食後に40分ウォーキングをした日はピークが140mg/dL程度で抑えられています。
やさしい内科医こと山村聡先生、この違いはどう解釈しますか?
「ウォーキングした日としない日で、まったく異なりますね。わかりやすい推移になりました。
朝食後に運動しなかった日は血糖値スパイクに近い急上昇。歩いた日は急上昇が抑えられ、食事から吸収されたブドウ糖がすぐに全身で消費されているのがわかります。この方は、サンドイッチにフルーツも食べているので糖質量が多めなんですが、40分歩いたことでちゃんと消費できたことになりますね」
ですが、2名は効果があり、他の2名はそれほど効果が出なかったのはなぜでしょう?
「血糖値の動きには個人差がかなりあります。もともとの筋肉量の違いもあるかもしれません。ウォーキングの速度や距離も左右したと思います」
食後すぐの運動は血糖値を下げてくれる
血糖値が上がりやすい人は、やはり食後に歩いたほうがいいでしょうか?
「はい、まずは食後に15分、できれば30分歩いてほしい。血糖値のピークは食後30分くらいに来るので、そこである程度消費しておくとピークを抑えることができます」
食後すぐに運動すると、消化に悪いような気がします。
「それほど気にしなくてもいいと思いますし、食べた分からどんどん消化吸収されて血糖値が上がってきてしまうので、血糖値が上がりやすい人は、すぐに動き出してほしいんです。散歩でもいいし、階段の上り下りもいいでしょう。食後は歩くのさえしんどい、なんていう人は食べすぎです。程よく運動ができる程度の食事が理想と思ってくださいね。
おすすめしているのはオフィスから15分〜20分くらい歩く場所にランチを食べに行き、20分で食べて20分歩いて帰ってくること。これだけでも血糖値スパイクを防げますし、昼食後に眠くなることも避けられますよ」
スクワットで血糖値スパイクを防げるか? ガチ検証!
次のミッションは、スクワットです。
食後にスロースクワット(1回に8秒程度かけてゆっくり)を20回以上。行った日と行わない日を比較します。
その結果。
4名のうち血糖値の急上昇が抑えられたのが2名、あまり変化がなかったのは2名。ウォーキングと同じく差がありました。
明らかに違いが出たTさんの例を見てみましょう
スクワットした日もしない日も、同じ食事です。ハムエッグ、ベビーリーフ、ご飯(白米、玄米、もち麦)、味噌汁、ヨーグルトとブルーベリー。
Tさんは血糖値が上がりやすい自覚があり、ご飯の量を控えめにしていますが、運動をしていない日はピークが180mg/dL近くになってしまいました。ところが、食後にスクワットを40回した日は140mg/dL以下に収まっています。
「スクワットによってみごとに血糖値スパイクが抑えられていますね。40回という回数も大きかったと思います。スクワットは大きい筋肉(お尻と太もも)を動かせるので効率よくエネルギー消費ができます。それで我々もおすすめするんですが、正直20回くらいでは、糖を消費できないのかもしれません。間にインターバルを入れてもいいので、20回を数セットやれるといいですね。
『私に運動は無理』という人は、食事の糖質量を減らしてください。例えば、ランチのご飯の量を半分にし、その代わり血糖値を上げないタンパク質を増やしてみてはどうでしょう」
食後の運動、結局どれがベスト?
今回ウォーキングとスクワットをミッションに選んだのは、有酸素運動と無酸素運動では血糖値を調整する効果に違いがあるのか知るためでした。
どちらも効果に個人差のあることがわかった今、何を指標にしたらいいでしょう?
「エネルギー消費という意味では、有酸素運動も無酸素運動も血糖値を抑える効果はあります。続けないと意味がないので、自分がやりやすい運動を選べばよいと思います。有酸素運動は脂肪を落とすのに向いているし、無酸素運動は筋肉を大きくしたり、筋肉量を維持することができますよ」
筋トレで、逆に血糖値が上がる人もいると聞いたことがあるのですが…?
「筋肉が少ない人、つまり筋肉に蓄えられている糖エネルギーの量が少ない人は、運動時にエネルギーが足りないということで、肝臓に貯めていた糖が血液に出てきます。そのとき、一時的に血糖値が上がっているんじゃないかと推察します。研究がまだ進んでいないので、個人差の要因はわかりにくいんですよ。どちらにしても、自分が何を、どの程度やれば血糖値が下がるのかを知ることは大切だと思います。リブレのような血糖値を測定できる機器で、一度、自分の血糖値の動きを知っていただけるといいですね。
ただ、正直言って運動で消費する糖の量は微々たるものです。血糖値は摂取した糖質量に大きく左右されるので、まずは食事を適量にすることが大事です。炭水化物はできるだけ食事の後半に食べること。そして、糖質をとりすぎないことを肝に銘じましょう」
※血糖値の変動には個人差があり、モニターの結果はあくまで一例です。同じ食材をとっても人によって、また食べるタイミングなどによって変化します。
※モニターはFreeStyleリブレ2を2週間装着して間質液中のグルコース値を測定しました。間質液中のグルコース値は血糖値と相関することが知られています。この記事中では、間質液中のグルコース値を「血糖値」としています。
初出:OurAge 2025/3/13