【医師に聞いた】「夏疲れ」をのりきる方法とは? 原因から対策まで、意外な事実がいろいろ!

そもそも夏は、なぜ疲れやすいのだろう? その理由を疲労を専門とする梶本修身先生にうかがったのでご紹介。医学的根拠のある最新の夏疲れ対策も教えていただいたのでチェックして。

教えてくれたのは

梶本修身先生
梶本修身先生
梶本修身先生

かじもと おさみ●医学博士。東京疲労・睡眠クリニック院長。大阪大学大学院医学系研究科修了。元大阪市立大学大学院疲労医学教室特任教授。産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。著書に『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書)ほか多数。

夏疲れの理由は暑さと日照時間。女性ホルモンの低下も一因に

夏になると、決まってバテぎみになったり、食欲不振になったり……。なぜ夏はこんなに疲れやすいのか。そのメカニズムを、疲労研究の第一人者である梶本先生にうかがった。

「夏に疲れやすくなる原因は主に2つあります。ひとつ目は暑さによる自律神経の疲弊です。人間は自律神経が脳の温度をコントロールしています。暑い環境に長時間さらされると体温調節のために自律神経が働き続け疲弊します。また、冷房の効いた室内と猛暑の屋外との寒暖差も、自律神経への負担に拍車をかけます」

そして2つ目の原因は、日照時間による睡眠不足なのだそう。

「夏は冬より睡眠時間が約25分短くなることがわかっています。哺乳類は、日照時間が長くなる夏は活動量が増え、自然と睡眠が減る。睡眠は疲れを回復させるための大切な時間ですから、それが減るだけで疲れはどんどん蓄積していきます。つまり夏は“暑さで疲れやすい”うえに“睡眠不足で回復しにくい”という2重の問題を抱えているんです」

さらにエクラ世代には、もうひとつ疲れやすくなる理由があるという。

「50歳前後になると女性ホルモンが低下し、血流悪化や筋力低下、睡眠の質の低下が重なってきます。またこの世代は、いびきをかきやすくなる人が急増しますが、これも女性ホルモンの低下と関係しています。いびきは睡眠の質をさらに悪化させるので、夏の疲れがなかなかとれないという悪循環に陥りやすいんです」

夏疲れが進むと、だるさや食欲不振に始まり、立ちくらみや体重減少、睡眠リズムの乱れへと発展することもあるというから要注意。

「だるさや食欲不振が長引いたり、日常生活に支障が出るようなら医療機関を受診しましょう。一般的な症状であれば内科で大丈夫ですが、いびきや睡眠の問題が気になるなら、睡眠専門のクリニックへ。放置すると心身ともに負のスパイラルに陥るので早めの対策が肝心です」

以下でご紹介するのが、梶本先生おすすめの夏疲れ対策。ぜひ実践して夏を元気にのりきって。

医学的根拠のある最新「夏疲れ対策」

茶色の背景に、ベッドに横たわる女性と、その周辺のインテリアが描かれたイラスト。左にはハンギングプランター、右にはエアコンと化粧品が置かれた棚がある。

26℃以上で脳疲労が蓄積! 寝るときはエアコンの温度を22〜25℃に

“冷えるのが心配だから”“電気代がもったいないから”などと睡眠中の冷房の設定温度を28℃にしている人も多いかもしれないが、これでは疲労は回復しないのだとか。

「脳にとっての快適な温度は22〜25℃。26℃以上の室温ではクールダウンできず、睡眠の質が悪くなって脳疲労が蓄積する原因に。体が寒いと感じるのは服装の問題です。冷房を22〜25℃に設定し、冷えやすいなら冬用のパジャマを着て、冬用のかけ布団をかけて寝るほうが睡眠の質が高まり、疲れがとれやすくなります」。

寝室は真っ暗にする

眠りの質を左右するのは、室温だけではない。実は、光の影響も大きいという。

「豆電球程度のわずかな明かりでも、睡眠の質はかなり低下します。寝るときはできるかぎり真っ暗にすることが良質な睡眠のカギです。常夜灯をつけて眠る習慣がある人は、ぜひ見直してほしいですね。それだけで、眠りの深さがずいぶん変わってきますよ」。

寝室のドアは1cm開けて二酸化炭素対策を

意外に見落としがちなのが、寝室のCO₂(二酸化炭素)濃度。密閉した寝室では、思いのほかCO₂がたまりやすいという。

「エアコンをかけて閉めきった8畳以下の寝室で夫婦ふたりが寝ると、CO₂濃度が1000ppmを超えることがあります。1000ppmを超えると体にだるさが出てきて、眠りも浅くなり、中途覚醒や朝のだるさの原因に。エアコンをつけていても廊下側のドアを1cmだけ開けておくと外の空気が循環して、CO₂濃度を抑えることができます。朝起きたときのだるさが気になる人は試してみてください」。

イミダペプチドを毎日とる

茶色の液体が入った、イムダペプチドという記載のあるペットボトル飲料。右側に日本語のラベルが貼られている。背景は明るいベージュ色。

夏疲れ対策に梶本先生がすすめるのが「イミダペプチド」という成分。

「これは鶏胸肉に豊富な成分で、脳の自律神経の負担を抑え、疲労感を軽減する効果があることがわかっています。効果が得られる目安量は1日200mg、鶏胸肉なら約70g分。毎日続けてとることが大切なのでサプリメントで補うのもおすすめです」。

1本にイミダペプチドを200mg配合したドリンク。疲労感を軽減する機能性表示食品。
日本予防医薬(株) イミダペプチドドリンク
30㎖×10本¥3,000
https://imida.jp/

夏は無理に湯ぶねに入らず、シャワーで十分。朝のラジオ体操もNG

夏疲れを感じているときの入浴は、逆効果になることもあるとか。

「夏疲れの本質は、体温調節による自律神経の疲弊です。入浴はさらに体温調節をしいる行為ですから、湯ぶねにつかるとさらに疲れてしまうことに。疲れているときは無理に入浴せず、シャワーですませるほうが自律神経への負担を減らせます。また、夏は早朝にラジオ体操をするという人も少なくないと思いますが、これも疲れにとってはおすすめできない習慣。早朝は脱水や血栓リスクが高まり、救急搬送が最も多い時間帯です。早朝から激しく体を動かすのは避けましょう」。

体温を下げない「冷感グッズ」に注意

暑い夏の必需品として、近年一般的になった「冷感グッズ」だが、種類によっては注意が必要なのだとか。

「メントール系などのひんやりとした感覚を与えるだけの冷感グッズは、実際には体温を下げません。ひんやり感によって汗の分泌が抑えられてしまうため、体の中に熱がこもり続け、熱中症リスクがかえって高まる場合もあります。実際に体温を下げてくれる“冷却アイテム”を意識して選ぶのも、夏疲れ予防のポイントです」。

撮影/那須野友暉 取材・原文/和田美穂 イラスト/小泉由美 ※エクラ2026年9月号掲載

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