藩政時代の城下町、村上は当時の面影を残す街並みが美しい。歴史を受け継ぎ、洗練を帯びた食文化にも注目。今回は、地元食材をふんだんに盛り込んだ老舗の『割烹 新多久(しんたく)』へ。
『割烹 新多久(しんたく)』
アラのお造り。塩をもみ込みねっとりとした食感に仕上げ、煮こごりと天然の海塩を添えて。料理はすべて¥22,000のコースから
兄弟で村上の食史つなぐ老舗割烹
新潟市街地から車で約1時間。山形と県境を接する北部、村上市で食通が目ざす一軒が『割烹 新多久』だ。慶応3(1867)年の創業から約160年の歴史を誇る老舗。現在、山貝真介さん、亮太さんが兄弟で厨房に立つ。
ローカルの食が脚光をあびるようになる以前から、地元・村上の食材と食文化を掘り下げ、独自の表現を磨いてきた。とびきりの魚は、そのうま味のすべてを盛り込み、野菜は季節の色彩の美しさもそのままに。力強く、同時に澄みきった味わいの料理は、土地の文化を宿し、心も満たしてくれる。
すがすがしい店内に彩りを添えるのは、村上木彫堆朱などの工芸品。主の人柄がにじむ、飾らない接客も再訪したくなる理由だ。
村上の夏に欠かせない食材、甘鯛のうろこ焼き
鮎ごはん。焼き鮎の身をきゅうり、もち麦と合わせたひと皿。青い香りと香ばしさ、苦味がもち麦の食感とともに口の中ではじける
右が兄の真介さん、左が亮太さん。亮太さんは釣りに出て、魚をとることも。ジビエの処理場を設け、食材として取り入れるなど進化を続ける
Data
新潟県村上市小町3の38
☎︎0254・53・2107
昼12:00~(一斉スタート)、夜17:00~(19:00最終入店)
定休日:火・水曜
コースは昼夜共通¥11,000 ~
https://murakami-sintaku.com/
撮影/宮濱祐美子 取材・原文/佐々木ケイ ※エクラ2026年10月号掲載