原因のわからない「蕁麻疹(じんましん)」の対処法を医師が解説【変わりゆくカラダ学】

更年期世代に突入すると、これまでは感じなかった“体の不調”を感じやすくなるもの。連載「変わりゆくカラダ学」では、アラフィーからのカラダのお悩みに専門家が回答! 今回は、出たり消えたりを繰り返す蕁麻疹について、皮膚科医の千貫祐子先生がアドバイス。

慢性特発性蕁麻疹

【読者のお悩み】
原因のわからない蕁麻疹が、出たり消えたりを繰り返しています
――48歳・主婦

蕁麻疹

このかたのように、蕁麻疹(じんましん)が出たり消えたりを繰り返し、なかなか治らないと悩んでいる人は少なくありません。蕁麻疹は、かゆみを伴う赤い膨らみが皮膚に現れる病気。通常24時間以内に跡形もなく消えますが、新しい蕁麻疹が次々と現れ、症状がずっと続いているように感じられることも。食べ物や薬、寒冷刺激など原因がはっきりしている場合もありますが、実は約8割は原因が特定できない「特発性蕁麻疹」で、そのうち6週間以上続くものを「慢性特発性蕁麻疹」と呼び、全体の過半数を占めます。

女性は男性の約2倍発症しやすく、20〜50代に多いことがわかっています。原因はまだ完全には解明されていませんが、体の免疫の働きが過剰になり、ヒスタミンというかゆみや蕁麻疹を引き起こす物質が放出されることが関係していると考えられています。更年期世代の女性にも多いため、女性ホルモンの変動もかかわっていると考えられますが、はっきりしたことはわかっていません。

症状は強いかゆみです。腕や脚、腹部など柔らかい部分に出ることが多いほか、顔など人目につく場所に現れることもあり、人前に出るのがためらわれ、精神的にも負担がかかりやすくなります。夜間から明け方にかけて悪化しやすいため、睡眠が妨げられて日中仕事に集中できなくなるなど、日常生活への影響は少なくありません。

蕁麻疹は皮膚の深部に原因があるため、市販のぬり薬はほぼ効かないので皮膚科を受診しましょう。受診時には症状が消えていることも多いため、出たときに写真を撮っておくと診断の際に役立ちます。蕁麻疹の治療の基本は抗ヒスタミン薬の内服で、多くの場合これで改善しますが、一部の慢性特発性蕁麻疹は改善しないことも。こうしたかたへの治療法として、’26年に8年ぶりに改訂された蕁麻疹診療ガイドラインでは、「オマリズマブ」や「デュピルマブ」といった分子標的薬の使用が正式に位置づけられました。いずれも皮下注射で、オマリズマブは4週間に1回、デュピルマブは2週間に1回が基本です。これで治りにくい慢性特発性蕁麻疹も改善しやすくなりました。ただ、こうした治療を知らない患者さんも多く、導入している皮膚科もまだ多いとはいえないのが現状です。抗ヒスタミン薬で改善しない場合は、この治療を受けられるか主治医に確認を。

セルフケアとしては、患部を冷やすことが炎症を抑えるのに有効です。刺激物やお酒を控え、入浴で悪化するならシャワーにするといった工夫も助けになります。慢性特発性蕁麻疹の治療は進歩しています。あきらめず、正しい情報を知ることが改善への近道です。

【お話をしてくれたかた】

皮膚科医 千貫祐子先生
千貫祐子先生
皮膚科医
千貫祐子先生
皮膚科医

ちぬき ゆうこ●島根大学医学部 皮膚科学講座 准教授。同大学医学部附属病院アレルギーセンター センター長。蕁麻疹や食物アレルギーなど、原因のわかりにくい皮膚トラブルの診療・研究に力を注ぐ。

【お悩み募集中!】
この違和感は何? この不調は私だけ? 気になる体のお悩みがありましたら、編集部(mail : info.eclat@ms.shueisha.co.jp)まで声をお寄せください。

text:Miho Wada illustration:Ogasawara ※エクラ2026年10月号掲載

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