3月中旬、まだ肌寒い日本を離れ、湿度のある台北へ。
空港を出た瞬間、湿度の高さに気付く。20代の頃、家族旅行で訪れた台北の記憶。台湾出身の知り合いの先生が話してくれた、暮らしの空気。それらが重なり合い、私の中で台湾は「のんびり」「湿度のある場所」として残っていた。
昔読んだ小説。中島京子の『のろのろ歩け』や、吉田修一の『路』。そこに描かれていた台湾も、時間の流れがやさしく、人の距離感が心地よい場所という印象もあった。
今回の旅で大切にしたかったのは、現地のリズムで過ごすこと。歩く速度を落とし、予定を詰め込みすぎず、街の中に身を置くこと。
台北駅
ホテルについた後、台北駅周辺を目的もなく少し歩いた。大きな通りから一本入るだけで、街の表情が変わる。独特な街の匂いもあった。
軽い夕食を、と入った食堂で調味料の使い方が分からず、隣に座っていた母娘に声をかけた。言葉は分からないが、身振り手振りで「これをかける」「これはこっちには入れない」と、丁寧に教えてくれる。
距離は近すぎない。でも、突き放す感じもない。必要な分だけ関わって、にこりと笑って、自分たちの会話に戻っていく。台湾で感じた「感じがいい人が多い」という印象は、こういう場面の積み重ねだった。
一度ホテルに戻り、それからタクシーで士林夜市へ。早速街のエネルギーを感じる。
湯気、八角の匂い、聞きなれない言葉の重なり。
「あぁ、海外旅行に来たんだ」という実感に包まれた。
2日目
地下鉄に乗って、永康街へ向かう。雑貨やスイーツ、食べ歩きで知られる散策エリア。
地下鉄のチケット売り場
10時に到着。人も少なく、空気がすっと軽い。昨夜の湿度はほとんど感じられず、台湾の朝はこんなにも爽やかなのかと、少し驚いた。
永康街、朝10時
永康街にある公園
夫とふたりで
「空いているうちに」と入った店で、マンゴーのかき氷をひとつ。「この時期は冷凍のマンゴーなのだがいいか?」と、店の人が丁寧に聞いてくれる。そういう一言が、やさしい。夫と二人で、スプーンを伸ばす。
エモい街並み
台北名物とも言えるバイクだらけのところも!
オープン前のお店から離れようとしないワンちゃん。飼い主曰く、いつもここに来ているのだとか。名前は「バッキー」ちゃん。
「バッキ―!」
とわたしも呼んでみる。
ちらりとこちらに顔を向けるが、また真っすぐ向き直す。なんだか犬までのんびりとしてマイペースだ。飼い主も急ぐ様子はない。
かわいいバッキ―ちゃん♪
お昼は、地元の人にも人気だという牛肉麺の店、「永康牛肉麵」へ。行列ができる前に入店でき、席に着いた直後にちょうど満席になった。
牛肉麺は、見た目こそ濃い色をしているが、それほど重たさはない。観光客にも支持される理由が、わかる。美味しい。
人気の『永康牛肉麵』
食後、少しまた散策したあと、足つぼマッサージへ。「明易」というお店で、口コミが高いと夫が調べてくれていた。
まずはフットバスで、歩き続けた足を温めるところから始まる。その時点で、かなりリラックスでき、眠気がおそう。施術は足裏だけではなく、ふくらはぎ、膝の上あたりまで。60分かけて丁寧に、しっかりとほぐしていく。
テレビ番組のような激痛マッサージではないが、場所によってはかなり痛い。でも言えば調整してくれるので、その辺は安心だった。
清潔な店内。ここで説明を受ける
施術は2階へ
マッサージのあとは、そのまま近くの「布子咖啡/BUZI CAFE」へ。開かれた入りやすい佇まい。近所の人がふらりと立ち寄るカフェ、という印象もあるが、とってもオシャレ。あとで知ったが、インフルエンサーにも人気だという。
布子咖啡/BUZI CAFE
窓枠がオシャレ!
歩いて、食べて、整えて、少し休む。こんなゆったり時間がとっても贅沢だった。
永康街を出る前に、スコーンが評判だという店、「CIAOCIAO」へ立ち寄った。ホテルで食べるために一つ持ち帰る。観光客っぽくではなく、ほんのひととき「街の人」として過ごしてみる。
ゆっくり歩き、街の人になる。
これがしたくて、台湾に来たのだと、ふと腑に落ちた。