更年期に入ると、夜に突然目が覚める、汗のかき方が変わる、夏だけ異様にだるいなど、 “場所”ではなく“状態”として現れる不調が増えてきます。 これらは年齢のせいにされがちですが、漢方では 自律神経・体温調節・気の巡りといった“体の調整力”の乱れが生むサインと考えます。見過ごされやすい更年期の不調を3つの視点で整理し、 それぞれに合う漢方や養生法をわかりやすくまとめました。
【教えてくれた人】
自律神経の乱れ
漢方薬剤師・漢方ライフクリエーターの樫出恒代です。漢方カウンセリングの際にお伝えすることがある、漢方の基本の考え方「氣・血・水」。
漢方の基本の考え方
「氣・血・水」は身体の中をめぐる3つの要素のこと。
氣…ぐっすり眠れる(元氣を養う)
血…美味しく食べられる(栄養になる)
水…すっきり出せる(尿・便・汗)
この3つができていることが、氣血水を巡らせて健康で元氣でいると考えます。
最近多いのが更年期以降に 〈ぐっすり眠れない〉「氣」のお悩み
もちろん、「氣・血・水」全て大切ですが、最近のお悩みで増えてきたのは
〈ぐっすり眠れない〉
これは〈氣〉と関係すること
不眠というわけではない
寝つきは悪くない
全く眠れないというわけでもない
だから放置しがちな問題でもあるのです。
更年期、また、更年期以降の方に多い眠れるのだけど途中で起きるいわゆる〈中途覚醒〉
夜中に目が覚めるのはやっぱりいやですね。昔はこんなことなかったのに。。目覚ましのアラームも聞こえないくらいだったのに。。。と若い頃を思い出す。。などとカウンセリングの際にお話しされる方もいて、夜中に目が覚めることで睡眠が中断され、疲れも取れにくくなるんですね。
1日のパフォーマンスも落ちてしまう。そう、疲れも溜まりがちになります。なんとかしたい、だからこそその理由を知るのが漢方の大切なところ
更年期、更年期以降の中途覚醒は2パターンあって
①尿意で目が覚める
②ただ、ふっと目が覚める(物音などで)
これにはそれぞれの理由が
①尿意で目が覚める
漢方的に〈腎〉のちからが落ちてきているため。腎というのは、氣を貯め、腎臓、膀胱にも影響がある、と考えるため、膀胱の力も落ち、おしっこを貯めておけなくなる。くしゃみなどでも尿がもれることも。
おすすめの養生
1.冷やさないこと
2.黒っぽい食材、豆類などを摂ること
3.氣を使いすぎないこと
4.夜11時までには寝ること
5.呼吸を深くを意識する
おすすめの漢方薬
八味地黄丸(はちみじおうがん)
夜間尿、腰痛、疲れ、坐骨神経痛、高血圧など
清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
頻尿、残尿感、排尿痛、疲れやすい、口や舌が乾くなど
②ただ、ふっと目が覚める(物音などで)
〈肝〉〈心〉に熱がこもり、熟睡できない。考え事・心配なこと・落ち込み・怒りなどのストレスがあるとき
物事、音にも敏感になりすぎる傾向
おすすめの養生
1.身体をまめに動かすこと
2.香りのよい果物、野菜を摂り入れること
3.我慢をしない(なるべく)こと
4.花やハーブ、植物を身近に
5.好きな香りを身にまとう
おすすめの漢方薬
四逆散(しぎゃくさん)
不安感、イライラしやすい、不眠
敏感になっている、胃腸障害などに
加味帰脾湯(かみきひとう)
不眠、精神不安、貧血
神経症、胃腸が弱い、疲れやすいなどに
夜中にトイレに2回起きる女性(52歳)に八味地黄丸を処方
先日、漢方カウンセリングにおいでになられた方
52歳の女性、冷え症のご相談でしたが、睡眠についてお伺いしたら
「ここのところ、夜中にトイレに起きるようになったんです。。それも多い時は2回。。。」
というお話が。
冷え症にもよい八味地黄丸をお出しして1ヶ月。次のカウンセリングの際には「よく眠れるようになりました。トイレに起きることが、1週間に1回くらいに減ったんですよ」という嬉しいご報告。
もちろん、個人差がありますから全ての方に当てはまるわけではないですが、早めの漢方カウンセリング、漢方薬と養生ですっきり。
どんなことも早め早めに、それが、漢方のお得意「未病を治す」
今夜も良い眠りを。
体温調節の乱れ
漢方的に「夏」ってどんな季節?
夏は漢方的な考えによると〈漢方の古典医学書・素問による〉
「夏は草木が成長し、万物が茂り花咲き乱れ、陽気が最高潮に達する時期。適当に運動して1日1回は発汗するように。
↓
そうしないと、身体の内に熱がこもって病気になる」
と、書かれています。
夏にしっかり汗をかいて、一年分のデトックス。漢方では、出ること、出すことはOKと考え逆にいらないものを貯めておいては病気の元となると考えます。
この排出の時期に冷たい飲み物やアイスクリームそして、冷房で身体の内と外を冷やし動きを止めてしまうとさらさらの気持ちいい汗が出にくくなる。
汗をかくって大切なんです!
漢方カウンセリングでも「汗」は、すごく大切なキーワード。
「汗」をかくか、かかないか、どんな汗か?どこにかくか?
それが養生法のアドバイスやぴったり合う漢方薬を選ぶ上で重要なポイントになるんです。
特に私たち更年期世代は、更年期障害のひとつホットフラッシュにより急に大量の汗をかいたりすることも多く人前で、「汗をかきたくない」と思えば思うほど出てくることも。
これは、女性ホルモンの分泌が低下し、汗腺機能の調節が乱れるため。また、更年期特有の「氣の乱れ」=「自律神経の乱れ」から、暑くもないのに汗をかいたり、急にほてってきたり、イライラすることで、発汗に。
「どこに汗をかくか」で体調がわかるのだそう。
汗をかく場所にも意味がある
手のひら、足の裏の汗
緊張しやすい。ストレスがかかり、「氣」の流れが停滞し、交感神経が優位になっている状態。
手に汗握る、と言いますね。
首の汗
解毒をうまくできてない可能性が。イライラがたまっていて、肌荒れ、ニキビの悩みも同時に抱えているかもしれません。
肝臓の疲れ。
頭からの汗
胃腸系の弱り。食べすぎや熱いもの、冷たいもの、辛いもの甘いものなど、刺激のあるものを食べすぎ、おなかが弱って冷えているので、からだの熱が頭に上がっているから。
大食い・早食いに注意。
脇の下の汗
不安や緊張があるときにドキドキしたり、めまいがしたり、、、。
心臓の弱り
胸から上(上半身)の急な汗
更年期、ホットフラッシュの時の汗。
女性ホルモン低下による自律神経の乱れ
急にほてって、ドバーッと汗が出る
どんな汗であるのかも大切です。
どんな汗?
サラサラの汗
においもせず、さわやかな汗は◎。
ペタペタの汗
さわるとペタペタ、においも。。✖️
身体に水がたまっている〈水毒〉。
身体が冷えている人に多い。皮膚に汗がとどまりきちんと発汗できない。触ると冷たく感じるはず。また、身体が冷える。
汗を気持ち良くかくためには
・夏も必ず入浴する
入浴の前にコップ一杯のお水を飲んでぬるめのお湯にゆっくりつかる
・冷たい食べ物飲み物は避け、温かいものを食べるように
・薬味をとりいれる
シナモン、ナツメグなどの刺激のあるスパイスは発汗作用あり
・冷房の効いた部屋に長くいない
冷房のきいたオフィスでの仕事の場合は、お昼休みに1度外へ出ることをオススメします。あったかい、気持ちいいと感じるはず。
・適度な運動
筋肉を動かすこと。歩くだけでもOK。ただし、暑い日には避けてくださいね。
氣力低下気味 「氣虚(ききょ)」の「汗」
●ちょっと動いただけで汗をかく
●食事をしただけですぐ汗をかく
●ちょっと緊張すると、すぐに汗をかく
●寝汗がひどい(パジャマびっしょり)
●首から上に汗をかく
すぐに汗をかく方は汗で毛穴が開くので冷気が入りやすく、冷えてお腹を壊し、下痢になりやすい場合も。
また、睡眠不足、考えすぎ。食事のバランスが悪い。冷たいものや甘いものが好きなどの原因も。
汗対策の漢方薬
★汗に対しての漢方薬は体質により選び、ある程度の期間しっかり飲んでください。
例えば
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
不安や緊張などからの汗に
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
肥満体質でよく汗をかく方。
身体に水が溜まりやすい方に。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
イライラなどのストレス。
更年期のホットフラッシュなどの汗に。
〈加味逍遙散(かみしょうようさん)との併用も効果的〉
など。
もともと、汗の役割は暑い時や運動している時体温が上がりすぎないように調整してくれるもの。汗が蒸発する時身体の熱を奪います。
氣持ちいーいすっきりしたーの汗をたくさんかいてデトックスを!
気の巡りの滞り
のぼせ・不眠、熱中症、夏バテを予防する漢方薬
更年期の症状は、暑い夏に出やすい
特に、更年期世代は女性ホルモンのバランスが乱れ自律神経が乱れ、さまざまな症状がでやすい。更年期障害の症状で多いのが、のぼせる、イライラする氣もちが不安定になる。これは、暑い夏にもっと症状が強く出やすくなりがち。
○頭、顔からの汗がだらだらと出る
○動悸がする
○イライラする
○眠れなくなる
○だるくなる
などの、症状がでます。
こんな時の養生は
〈暑いからと言って冷やしすぎたりしないこと〉
〈冷たーいものを摂りすぎないこと〉
胃腸を冷やすことで逆にまた、のぼせやすくなるのです。
まずは自分の身体を触ってみてください
直にお腹
腰
太もも
足首
冷たくないですか?
冷えてないですか?
自分の手をあててみて「あー、氣持ちいーい」と思ったら身体はそれをよろこんでいる。
「あたためてーー」って言ってます!暑い時期にはエアコン、冷たい飲み物、食べ物で逆に冷える。
お腹や腰、足などの下半身が冷えることで熱は上にあがりやすくなりのぼせやイライラがおこりやすくなる、夏の暑さのせいでなお。熱は上に上がり、冷氣は下にさがるもの。
だから。
それがすすむと毎日だるさが出てきて、氣力も低下、胃腸も動かなくなり食欲もなくなる。
食べられないから、氣力もでない
という悪循環になり
ぐったりの夏に。。。。
そうならないために
夏の食養生のおすすめ
〈なつめ〉がおすすめ
更年期は氣も血も不足しがちになり汗が出やすくなる。
なつめは多すぎる汗を抑える、
不要な汗を抑えることも。
氣と血を補ってくれる
ゆりね、蓮の実、れんこんなどは
心を安定させる作用
トマト、きゅうり、スイカなど
さっぱりした夏の野菜もおすすめ
反対に味の濃いものは避けて〈熱がこもるから〉
味付けはなるべくさっぱりしたものを。
熱中症、夏バテ、のぼせ・不眠を予防する漢方薬
暑い日外に出かける時
熱中症の予防に・頭痛・喉の渇き
・五苓散(ごれいさん)
顔が赤くなるくらい熱がこもったら
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)を併用。
昨年の夏に熱中症になりかかった方が、このふたつの漢方を組み合わせて早めに飲んだことで楽になったというご報告もありました。本当に助かりました、と喜ばれましたよ^_^、
夏バテ防止に(すでに夏バテでも)
氣を補う・胃腸も元氣にする
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
すぐにお腹がゆるくなる・食欲低下
・六君子湯(りっくんしとう)
のぼせ・不眠に
・六味丸(ろくみがん)
顔色は赤く、体が熱っぽく、手足がほてる
・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
歯ぎしり・もやもや・イライラ・不眠など
漢方は自分を知ることが第一歩。そのために自分のからだをできれば毎日、触ってみることは大事なことです。
夏は3食美味しく食べられることよく眠れること、しっかり汗をかき、氣もちよく便がでること。そうすれば、元氣でいられる。夏は食べない無理なダイエットは禁物ですよ。からだを触って、早めに氣づいて、ケアして。
それでも、つらいときはぜひ、漢方薬もためしてね。
注:漢方薬については漢方専門の医師や漢方薬剤師、漢方アドバイザーなどにご相談・カウンセリングの上お飲みください。