体や心が揺らぎやすい更年期世代。夏は低気圧や酷暑などが重なり、さらに不調が続出。その背景にあるのが自律神経の乱れだ。自律神経という言葉は知っていても、正しく理解している人は意外と少ない? そこで自律神経研究の第一人者、小林弘幸先生に話をうかがった。
教えてくれたのは
自律神経研究の第一人者としてアスリートなどへのコンディショニング、パフォーマンス向上指導にかかわる。著書は『科学的に証明された 自律神経を整える習慣』(アスコム)など。
自律神経とは?
人間の生命を維持するための機能をつかさどる重要な神経
近年、“自律神経”という言葉が大きな注目を集めている。更年期世代の心身の不調にも深くかかわっているからこそ、正しく知っておきたいテーマだ。
「自律神経は、呼吸や心拍、体温、血流、代謝、内臓の働きなど生命を維持するための機能をつかさどる重要な神経です。自分の意思でコントロールすることはできず、24時間休みなく働いています」
そんな自律神経は、交感神経と副交感神経の2つから成り立っている。
「交感神経は車でいうアクセル、副交感神経はブレーキです。交感神経が優位になると血管が収縮して心拍数や血圧が上がり、体が活動モードに。一方、副交感神経が優位になると血管がゆるみ、心拍数や血圧が落ち着き、体は休息モードになります。健康な状態では、日中の活動期は交感神経が、夜や睡眠中は副交感神経が優位になるという自然なリズムが刻まれています。大切なのはどちらか一方ではなく、両方が高いレベルで機能していること。それが理想的な状態です」
では、自律神経が整っていると、心身にどんなメリットがあるのだろう。
「全身の血流がよくなることが大きいです。そのため腸の動きが活性化して、免疫機能の向上にもつながります。血行不良による肩こりや頭痛などが改善しやすくなり、肌や髪もみずみずしく保たれるうえ、更年期症状の緩和も期待できます。脳の働きも活性化して仕事のパフォーマンスがアップし、気分の落ち込みやイライラも改善しやすくなります。逆に自律神経が乱れるとこうした働きがうまくいかず、体に不調が現れたり、メンタルが不安定になったりとさまざまなトラブルが起きます。自律神経を整えることは健康と若さを保つための大切なカギなのです」
【交感神経】とは
活動時に優位になり心身を活動モードにする
緊張や活動時に優位になる「アクセル」役。優位になると血管が収縮して心拍数や血圧が上昇し、体が活動モードに。集中力や瞬発力が高まり仕事や運動のパフォーマンスが上がる一方、過剰に優位な状態が続くとイライラしやすくなり、血流の悪化や免疫力の低下を招きやすい。
【副交感神経】とは
リラックス時に優位になる休息モードの神経
リラックスや休息時に優位になる「ブレーキ」役の神経。優位になると血管がゆるんで心拍数や血圧が落ち着き、消化機能が活発になるなど体が休息モードへと切り替わる。ただし過剰に優位な状態が続くと、やる気や集中力が上がらず、だるさや無気力感を招きやすくなる。
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両方が高いレベルで活動しているのがいい状態
自律神経が乱れると、こんな症状が
●動悸、不整脈、めまい、倦怠感、不眠、肩こり、腰痛などの自律神経失調症
●神経性胃炎
●過敏性腸症候群
●過呼吸症候群
●血流の悪化から脳梗塞や心筋梗塞にも
自律神経が乱れると最も大きな影響を受けるのが血流。血管が収縮して全身の血流が悪くなり血液がドロドロ状態に。すると脳や内臓に十分な栄養や酸素が届かなくなり体のあちこちにさまざまな不調が発生。動悸やめまい、倦怠感、不眠などの自律神経失調症をはじめ、ストレスや過労が引き金となる神経性胃炎や過敏性腸症候群、過呼吸症候群などを起こしやすくなる。血流障害が長期化すれば、脳梗塞や心筋梗塞にまで発展しかねない。
取材・原文/和田美穂 イラスト/SAITO KANAE ※エクラ2026年7・8月合併号掲載