イラストレーター&エッセイスト・石川三千花さんが『プラダを着た悪魔2』を独自の視点で深掘り!

現在大ヒット上映中の映画『プラダを着た悪魔2』。前作から20年の時を経て、時代は大きく変わった。そんな中、劇中で描かれるファッションや“働く女性像”はどう変化した? イラストレーター&エッセイスト・石川三千花さんが独自の視点から、映画の世界を読み解く。

成熟した大人だからこそ着こなせる装いとは?

成熟した大人だからこそ着こなせる装いとは?

文・石川三千花(イラストレーター&エッセイスト)

私が一番、感心したのは、20年後のアンディが、数あるラグジュアリーブランドのコスチュームを、彼女自身の存在感をもって着こなしていたこと。なんというか、高級服に負けてない強さや自信を身につけて、着せられている感がなかったのだ。

思えば20年前、『ランウェイ』編集部にそこらの学生のようなセーターとスカートで現れて、ミランダ編集長にガン無視されていたアンディ。優しい上司のナイジェルの助けにより、シャネルやブルガリの洋服を着るまでになったが、それは若さからくるフレッシュでかわいらしい魅力であった。

だが、今作のアンディは念願だった硬派な報道記者として成功したあとに、40代の大人の女性としてのエレガンスを、高級ブランド服に身を包んだときに醸し出していた。特に、ここ一番のイベントの夜に着用したジョルジオ アルマーニプリヴェのシアーなブラックのひとそろえは、モード界に生きる仕事人の目をひくようなすごみと同時にセクシーさもちゃんとあり、ドレスの格と一体化してカンペキ! 若きアンディのブラックドレスを思い起こしてみると、そのバージョンアップぶりは歴然だ。

それから洋服だけではなくて、注目すべきはヘアスタイルですね。大人の女性は、デコを出す! きりりとまとめ上げたシニヨンとスモーキーなアイメイク。キツイくらいに自信をもった人格でないと、こういうコスチュームは着こなせないし様にならない。

つまりファッションとは見せかけのカッコよさだけでなく、中身も充実してこそ輝きが本物になる、ということを教えてくれた続編だった。

石川三千花(イラストレーター&エッセイスト)
セツ・モードセミナー卒業後、デザイナーを経てフランス・パリへ移住。現在は、イラストレーター、エッセイストとして活躍。著書に『石川三千花の勝手にオスカー』(集英社)などがある。

Information

『プラダを着た悪魔2』

『プラダを着た悪魔2』
ファッション業界のアイコンである編集長ミランダ(メリル・ストリープ)と、その右腕ナイジェル(スタンリー・トゥッチ)がある危機に直面したとき、元アシスタントのアンディ(アン・ハサウェイ)が再び『ランウェイ』編集部へ戻ってくる。元同僚のエミリー(エミリー・ブラント)とも再会するが……。前作から20年、成長を重ねた彼らの今を見逃さないで!
監督/デヴィッド・フランケル 配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン

写真協力/ Getty Images 原文/石川三千花 ※エクラ2026年7・8月合併号掲載

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