更年期世代に突入すると、これまでは感じなかった"体の不調”を感じやすくなるもの。連載「変わりゆくカラダ学」では、アラフィーからのカラダのお悩みに専門家が回答! 今回は、「天気痛」とその対策について。
天気痛
【読者のお悩み】
朝起きると頭痛がひどくてつらいです。そんな日はたいてい曇り空なのですが……
――47歳・会社員
頭痛やだるさ、めまい、気分の落ち込み……。50歳前後でこうした不定愁訴があると、「更年期のせい」と思いがちです。でもこのかたのように天気の変化によって症状が出るなら、更年期症状でなく「天気痛」の可能性があります。
天気痛とは病名ではなく、天気の変化によって悪化する痛みや不調の総称です。頭痛、肩こり、めまい、気分の落ち込み、息苦しさなど症状は多岐にわたります。台風や梅雨時のように気圧が下がるときや、気温や湿度が急変するときに起きやすく、天気がくずれる前から不調が始まるかたもいます。
天気痛には、耳の奥の内耳(ないじ)が関係しています。内耳が気圧変化を感知すると脳の自律神経中枢に伝わり、交感神経が優位になります。すると血管が収縮して末梢の血流が悪化し、酸素不足からさまざまな不調が起きるのです。
天気痛が起きやすい人は、内耳が一般の人より約3倍敏感だという報告もあります。乗り物酔いしやすい人はその傾向があるので注意。女性は自律神経が乱れやすいため、天気痛は男性の約4倍多く見られます。更年期症状も自律神経の乱れが関係しているので似ていますが、実は天気痛だったという例も多いのです。症状が出るタイミングと天気を一度照らし合わせてみましょう。
対策は、まず自分はどんな天気のときに不調が出るかを把握することです。「天気痛予報」などのアプリを活用して天気を事前に確認し、くずれそうな日には無理な予定を入れないようにしましょう。
また、内耳がむくむと過敏になって天気痛が起きやすくなります。その改善によいのが「くるくる耳マッサージ」。耳を上下左右に引っぱったり後ろに回したりする方法で、血行を促進してむくみが軽減します。
また、漢方薬の「五苓散(ごれいさん)」も余分な水分を排出して内耳のむくみを改善します。ドラッグストアでも購入でき、症状が出そうなときに飲んでおくのもおすすめ。めまいの場合は、耳鼻科などで処方してもらえる抗めまい薬も効果的です。
症状がひどいときは、頭痛なら脳神経内科、めまいなら耳鼻科、天気痛か更年期症状かわからない場合は婦人科というように症状に合わせて受診を。天気痛に詳しい医師は「臨床気象病研究会」のサイトで探すこともできます。
また、最新の研究では、ブロッコリーなどに含まれる「ケンフェロール」という成分が、末梢血管への酸素供給を高め天気痛改善に役立つことがわかっており、サプリも登場しています。これらの対策とともに、ぜひ、起床・就寝時間を一定にするなど生活リズムを整えて自律神経を安定させることを意識してみてください。これだけでも症状がやわらぐかたがいます。異常気象が続く昨今だからこそ、自律神経を整えて天気の変化に負けない体をつくっていきましょう。
【お話をしてくれたかた】
さとう じゅん●医学博士。
中部大学生命健康科学研究科教授。長年にわたり気象と痛み、自律神経の関係を研究。近著は『最新版 マンガでわか
る!「天気痛」のやわらげ方』(小学館クリエイティブ)。
【お悩み募集中!】
この違和感は何? この不調は私だけ? 気になる体のお悩みがありましたら、編集部(mail : info.eclat@ms.shueisha.co.jp)まで声をお寄せください。
text:Miho Wada illustration:Ogasawara ※エクラ2026年6月号掲載